せっかち歌仙・その１９「白南風の巻」

　　　　　　　

参加者＝茶目猫・紅蓮・長者巻・良流娯・少艶・逐電・晩菊

発句.....白南風や　ひかりを滑る　三角帆　　（茶目猫）　　　　　　　　　
脇句......涼風を背に　故郷目ざす　（紅蓮）　　　
３...........静かなる 母屋の縁に 横たえて （長者巻）
４（月）...月光まとい　夢の世界へ（良流娯）
５............秋高く　宇宙旅行に　まっしぐら　　（少艶）
６............野分の馬場を走る子どもら（逐電）
（初折裏）
７............夜は更けて　一人嗜む　温め酒（晩菊） 　
８............そぞろ心に　ひと肌求め （長）
９............古稀迎え　妻のいぬ間の　ラヴレター　（紅） 　
10...........虹の向かうへ　渡る舟欲し　　　（茶）　 　
11...........鯖缶の 油脂匂う夜 子と眠る　　（逐） 　 　
12...........母の煮物で　父と晩酌 （良）　 　
13（月）.. 古池に　泛ぶ月取る　河童哉 （少）
14...........良夜のしじま　飛沫上がりて （晩） 　 　
15..........身に沁むや　薄く広がる　朝の雲 （茶）　 　
16..........頂目ざし　山路たどらん　（紅）　 　
17（花）..　古刹にて　銅屋根越えし　花明り　　（長）　
18..........バス降り急ぐ　草餅の店　（良）　 　
（名残折表）
19..........なんとまあ　菜の花化して　蝶となる （少）　 　
20..........親の意見の あとで利く春 （逐） 　 　
21..........ゆるやかに　時世は流れ　諭す身に （晩）　 　
22..........老いてなお増す　悪への渇き （長）　 　
23..........人と会い　自分と出会う　旅に出ん　（紅） 　 　
24..........リュックに入れし　磁石と季寄せ （茶） 　 　
25..........妾宅で 鰻重を食い 日向ぼこ （逐）　 　
26..........咽喉に刺った　　小骨ややこし　（少）　 　
27..........深い傷 いつかは癒える 日が薬 （良）　 　
28..........気晴らしに行く　萩ゆれる道 （晩）　 　
29（月）..名月や　心隈なく 澄み渡る（茶） 　
30..........永き夜には　文つづりたし　（紅） 　 　
（名残折裏）
31..........枯葉舞い　振り仰ぐ空　蒼冴えて（長） 　 　
32..........機外覗けば　白の闇かな （良）　 　
33..........乗っ取りに　三猿のほか　思わざる （少） 　 　
34..........つい買いに行く役者の色紙 （逐）　 　
35（花）..麗しき　女（ひと）のまといし　花衣 （晩）　 　
36..........樹下吹き過ぐる　春の風かな （茶）

＜２００８年７月２６日～９月１５日＞