小さな反響がありました

2024年05月15日 | 日記・エッセイ・コラム
「たくさんのご反響をいただきました」はおかしい、反響は大きい、小さいと表現すべき。とのご意見をいただきました。
 おっしゃる通りですね。複数の波が重なってうまれるのが響きですから、響きは一つ、二つと数えるものではありません。
 更に、考えてみました。送り手の刺激から生じた響きの状況が、送り手からみると「反響」なのですから、どんな状況でも「反響をいただく」はおかしな表現ですね。反響はあるか、無いか、です。
 送り手(自分)が感じるものであるので、「ご反響」もちょっと違和感があります。ご飯、ご褒美のような丁寧語、と片付けられません。大きな反響のあった情報発信をされた方に向かって、「大きな反響がございましたね」とは言っても、「大きなご反響がありましたね」とは言わない。「ある」を丁寧に「ございます」と言い換えることはできても、反響は「ご反響」と言い換えられません。反映、反射、反応、反論、反発 返事のうちで、「ご」「お」をつけられるのは、ご反論、お返事。ご反応、ご反発はちょっと変だけど、言えなくもない。でもご反映、ご反射はおかしい。その違いはどこにあるかというと、刺激の受け手のリアクションに対する意志の有無です。相手が反論や返事は意志をもって行うもの、反応、反発は意志を越えた本能的なところもあるけれども主体性はある。それに対して反映、反射は完全に受動的です。反響は反映・反射の音版なので、本来意志はなかったのですが、比喩的に人間のリアクションにも使うようになったために、「ご反響いただきました件」とか「たくさんのご反響をいただきました」のような誤用が生まれてしまったのだとおもいます。