神戸の小父さん日記

五十代サラリーマンのオフタイム

「麦秋」、「東京物語」

2007年02月04日 | その他
 早稲田松竹の豪華二本立てです。通して観ると結構疲れます。
 どちらも小津安二郎の代表作、ということなんですが、私は「麦秋」の方が圧倒的に好きですね。「東京物語」はあまりにもリアルで、身につまされてしまいます。はっきり言って、私は悲しい映画は苦手です。お金まで払って暗くなりたくありませんからね。
 ところで「麦秋」ですが、この映画は私が生まれた前の年の公開です。ですから、当然リアルタイムでは観てないのですが、でも、結構若いときに、多分学校で見たようなんです。ひょっとしたら大学時代かも知れませんが、で、そのときずいぶん感動した記憶があります。昔はこんな映画があったんだと驚きましたね。今回久し振りに観て、矢部たみ(杉村春子)が紀子(原節子)に「息子の嫁になって欲しいと思っていた」と告白して、それに紀子がYesと言う場面で、思わず泣けてしまいました。この息子思いの母親の心情に共感してしまったんでしょうね。このあたりの作品での、原節子のオーラと杉村春子の芝居の上手さというのは、やはり圧巻ですね。
 年をとるというのは、つらいことも多いのですが、人生経験を経るにつれ、映画を観るときの共感の幅というものは確実に拡がっていきますね。これは音楽でもそうですね。音楽なんてストーリーがあるわけではなし、人生経験も関係ないと若いときは思ってましたけど、人間、生きてる限りは気づかないうちに成長しているのかもしれません。