20年ぶりの女たち

2024-07-14 09:43:29 | 日記
「あの…、七吉さんじゃないですか?」

ある朝の通勤時間中のことです。
会社に向かって歩いていると
道端で、マスク姿の女性から
いきなり声をかけられました。

いかにも、ワタシは七吉ですが
かくいうあなたはだあれ?

おもむろにマスクをとった
彼女のお顔を見てビックリしました。

20年前に、同じ会社で働いていた
仲良しの同僚Sちゃんだったのです!




Sちゃんとワタシは、年齢もほぼ同じで
宮崎出身でお酒も強いことから
飲み友達でもありました。

絵に描いたような宮崎県人キャラで
明るくて、優しくて、ゆったりしてて、
そばにいるだけで周りが癒されるという
稀有な人財です。

しかし、そんなSちゃんは
旦那さんの関東転勤により
惜しまれながら18年前に退職しました。

その後しばらく
年賀状のやりとりは続いていたものの
次第に疎遠になり
いまやすっかり没交渉になっていました。

そんなSちゃんと、まさか
18年ぶりの思いがけない再会!!!

さっそくLINEを交換して
昨日、二人で飲みに行きました。




アラサーの時期をともに過ごし
アラフィフになって再開した女友達。

そりゃー、20年もの歳月が流れれば
お互いにいろいろなことがありました。

とかく女の人生というのは
 ・結婚している/していない
 ・子供がいる/いない
 ・仕事をしている/していない
これらの2×2×2=8パターンに
大きく分別されます。

(あと、正社員かパート社員か、
 子どもは何人か、介護はどうか、など
 いろいろあるけどさ)


だから、アラフィフで再会した
女友達の話を聞くというのは
「自分が選ばなかった、選べなかった、
 異なる世界線を生きる自分」

の話を聞くようで
とても興味深いものなのです。




Sちゃんは、あれから
関東で6年間暮らしたあと
また旦那さんの転勤で
福岡に戻ってきていました。

その頃には、子どもも生まれていたので
子育てに良い環境をと
この機会に、糸島に一軒家を購入。

(その頃は、まだ九大の移転もなく
 現在のような糸島移住ブームもなく
 のんびりした田舎町だった頃なので
 先見の明があるねー!)


小さかったお子さんは、いまや
18才の女子高生になりました。

思春期も反抗期も真っ盛りで
お父さんが大嫌いな時期な上に
大学受験を控えているため
家の中はピリピリムード。

Sちゃんの仕事はというと
福岡に戻ってきてから
また就職活動を始めたものの
しばらく苦戦しました。

なんせ当時は
小さな子どもがいる母親を
新たに雇ってくれる企業なんて
ほとんどなかった時代です。

たくさん応募し、落ち続けた中で
唯一、採用してくれたのが
コールセンターのパートのお仕事。

モンスターなお客さんから
カスハラを受けることも多く
離職率が高い仕事なので
ハードルが低かったのでしょう。

自分に続けられるかしらと
恐る恐る始めた仕事だったけど
そこはさすが、宮崎県民ならではの
ホンワカ受け流す力で
今や勤続10年のベテランになりました。

パートの仕事は、午前中の4時間のみで
あとは、ワンコを散歩に連れていったり
家事全般を片付けたりと
割と時間に余裕がある毎日です。

しかしこれからは
お嬢さんが目指しているのが
学費の高い、遠方の大学であるため
仕事を増やさないといけないかも。

また、Sちゃんは一人っ子で
ご両親は2人とも健在なのですが
高千穂の限界集落に住んでいるため
近々、糸島に呼び寄せよる計画もあり
今後は色々と忙しくなりそうです。




そんな中、昨年はSちゃんの身体に
婦人科系のガンが見つかりました。

自覚症状は全くなく元気だったものの
病院からは早期治療を進められ
摘出手術を受けました。

一家の太陽であるSちゃんが
ガンになったということで
旦那さんはショックを受けて取り乱すし
高千穂のお母さんは寝込むし
受験を控えた娘には言えないしと
みんな大変だったげな。

おかげさまで、手術は成功し
1年後の今は、ピンピン元気になりました。

とはいえ、5年間の経過観察中は
再発の不安も抱えながら
薬は飲み続ける生活です。

女性ホルモンを抑える薬のせいで
人工的な更年期を迎えており
身体のあちこちにガタがくるわー、と
昔から変わらない笑顔で話していました。




郊外の庭付きマイホームに
夫と子どもと犬がいる、暖かい家庭。

パートの仕事をしながら
家事育児をこなす生活。

子どもが巣立ち、母親業が終わった
と思ったとたんに
親の介護を見据えるという
社会が女に求める役割。

それは、Sちゃんの人生であるとともに
もしかしたら
ワタシの人生であったかもしれない。
あなたの人生であったかもしれない。

まるで異なる人生を送る我々ですが
もし、あの分岐点で
あの道を選んでいたら。いなかったら。

あなたは、ワタシだったかもしれない。
ワタシは、あなただったかもしれない。

Sちゃんのこの20年の歩みを
強く深い共感とともに聞かせてもらった
感慨深い飲み会でした。





(Sちゃんとの写真を撮り忘れちゃった・・・
 我が家のいろんな人生の女たち。)





p.s.
Sちゃんの記憶によると
アラサーの頃のワタシは
「将来は不動産王になる!」と
吠えていたそうです。www

いまだ不動産王も顧問もなれてないけど
20年間、目標がブレてないというのは
我ながらアッパレwww






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コメント
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