ベトナムからシンチャオ(10)ゆる~くお開き

2018-03-26 08:09:59 | 日記
 ベトナムは懐かしい。
 一度そこに滞留したひとはたれもがいう。

 それはちょうど、野末で、
 自分の知らなかった親類の家を見つけたような気持に似ている。

 いつかまた帰れるという、たとえそういうことが無いにせよ
 その思いを持つだけで気持が救われるという
 そんなひとびとのいる国である。


 (司馬遼太郎)




牛のよだれのようにダラダラ書き連ねてしまったこのシリーズ、
ようやく最終回となりますが
最後に、ちょっとおまぬけな話でしめて、お開きとさせていただきたきます。

日本人向け(日本語に翻訳された)ニュースペーパーに載ってた
先月起こった犯罪のニュースなんだけどね。

Facebookを通じて、「偽札販売」というアカウントを見つけた人が
180億ドン(約8600万円)分の偽札を買い取るために
42億ドン(約2000万円)を銀行口座に振り込んだけど

犯人側がそのままドロンしてしまい、偽札を受け取ることができず

結局、被害者が警察に被害届を出して
犯人と被害者の両方が捕まって、めでたしめでたし、という記事でした。

この記事を読んで、一人でクスクス笑いが止まりませんでした。

めでたしめでたし・・・?まぁ、いいか。(~_~;)

(写真は、ベトナムの通貨「ドン」。1万ドン=48円です。
 大金持ちになったみたいで、なんかマンモス嬉P~♪)





また、ガイドさんから聞いた、ほのぼの話としては

亜熱帯気候である首都ハノイも、冬場は気温が10度を下回ることもあり
その場合は、「寒いから」という理由で小中学校が休校になるとか
(テレビのニュースで「今日は休みです」と発表があるらしい)

女性の方が働き者のため、髪結いの亭主が多いとか
(確かに、昼間っからプラプラ何もしていないオジサンがたくさんいた)

なんてのもありました。

いかにも南国らしくていいね~。(~_~;)




あと、ワタシも、私事ではありますが

街中を散歩してたら、ココナッツジュース売りのオジサンと仲良くなったので
ココナッツジュースを買って飲んだところ
あとからえらく高い金額をふっかけられたので

「誰がそんな金額払うかよ!日本人と思ってナメんなよ!」と、啖呵をきったら
「金を払わないなら、ジュースを返せ!」と、飲みかけのジュースを取り上げられ
後味悪い感じで、喧嘩別れをしたけれども

30分後くらいに、また別の道端でバッタリ会ったので
この後味悪さを引きずったまま、日本に帰るのはいやだなと思い
「さっきは大人げないこと言って悪かったね。」と謝り
ふっかけられた金額の半額をお支払して、握手をして仲直りできた

という出来事がありました。

(そのオジサン。笑顔が可愛いので、許してあげる。)


めでたしめでたし・・・?まぁ、いいか。(~_~;)





そんなこんなで、楽しくも有意義なベトナムミッションでした。

今度はぜひ、プライベートで旅して、カオダイ教をマスターしてきたいで~す!




 要するにカオダイ教は陽気である。

 その陽気さは、真夏の真昼の太陽の下を
 ホガラカな田舎おやじが合財袋を背負い、町にむかって闊歩しているような陽気さで
 ベトナム人の一面をあらわしているかもしれない。


 (司馬遼太郎)




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ベトナムからシンチャオ(9)不動産について

2018-03-23 06:30:12 | 日記
視察メンバーの中に、
「ベトナムで、日本人駐在員向け高級マンションを経営している」
という方がいらっしゃったこともあり
ついつい、ベトナム不動産市場にも興味が湧いてきました。

急成長中のベトナムでは、土地が年々高騰していて
特に、ハノイやホーチミンといった大都市だと、中には
東京23区より高い地域もあるそうです。

(建築ラッシュが続きます。写真は建設中の高層ビル)



ホーチミンの分譲マンションは
直近5年間で50%前後(!)もの上昇率をみせているそうな。




ちなみに、前のブログで、自動運転車を開発していると紹介した
FPTという会社さんは
ベトナム初の民営企業で、まだ設立30年にも満たないのに
グループ全体で3万人超、世界19か国にまでグローバル展開という
ドラマチックな急成長を遂げているIT企業会社さんです。

でね、その会社さん、今までの国への貢献が認められて
政府から、ダナンの街の都市開発まで任されるようになったのです。

現在開発中の都市も見学させてもらったのですが
広い敷地内に、FPT社の巨大社屋を中心に
大学、マンション、一戸建て、病院、商店街、農場等々、バランスよく配置され
住みやすそうな街づくりが着々と進んでいました。

案内してくださった社員の方から

「最近は法改正により、外国人でも不動産購入可能になりました。
 マンションなら5百万円くらいから買えます。どうですか?」

と言われ、好奇心ムクムク!

自分自身の目で見てみて、ベトナム、特にダナンの街は、成長性を感じたし
ハワイのようにのんびりして美しい街自体も好きです。
5百万円なら、日本で変なワンルームマンションを買うよりも絶対いいし
リスク覚悟で、買ってみようかしら・・・と、しばし真剣に考えました。

しかし、いかんせん
自分の人生にリアルに結びついた経験でないと、面白がれない性格なので
たとえ、買った不動産が、どんなに値上がりしても、どんなに儲けられても、
そう頻繁に来ることのない国や地域のことだったら
あんまり面白くないだろうなぁと思い直し、やっぱりやめることにしました。

昭和50年代の日本と同様、マイカー・マイホームは、庶民の夢です。
投機目的の外国人が下手に手を出すのは失礼な話で
マイホームを持ちたい、そこで暮らしたい、と考えている
自国人が買うのが一番だよね。




ちなみに、株式投資がお好きな方がいらっしゃいましたら
ベトナム企業の株を買ってみるのはどうでしょう。

昔は、ベトナム現地で口座を開設することが必要だったけど
今は日本の証券会社の口座で直接購入できるんだって。

自動運転車の完成を祈って
オススメ銘柄としてFPT社をプッシュしておきます。
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ベトナムからシンチャオ(8)バイクや車の多さときたら

2018-03-21 05:39:36 | 日記
 世界のどの町にくらべても
 オートバイの密度が比較にならないほど高いこの町は

 かつて小さなパリといわれた優雅な視界的印象よりも
 気筒をいそがしく爆発させて駆けまわるこの音響的印象のほうが
 はるかに特徴的に感じられる。

 (司馬遼太郎)




今朝の新聞で
「Uberで開発中の自動運転車が、初の死亡事故を起こした」
というニュースが載っていました。

よく読んでみると、歩行者が車道へ急に飛び出してきたことが原因で
しかも、実験走行中のため、助手席にはブレーキを持った人間がいたということで
それでも防げなかったということは、車側にはあまり非は無いようですが

Uber反対派からは、「危険なUberのせいで死者が出た」と非難ごうごうらしく
これがきっかけで自動運転の研究が停滞することがないよう、祈るばかりです。

労働力不足への対応は、外国人の力を借りるだけでなく
機械や科学技術の発達でもって対応する方が、よほど根本的な解決だよね。




さて、ベトナムの交通事情も、噂にたがわず大変でした。

以下、バス車窓から撮った写真です。




横断歩道が圧倒的に少ないので
道路を渡りたい人は、こんな道路をテクテク歩いて渡るしかないのですが

コツがあって
「立ち止まらない」「小刻みに歩を進める」
ということが大切だそうです。

そうしたら、バイクや車の方がよけてくれるのだとか。

実際、現地の人たちは、そのようにして道路を横断していましたが
いざ自分がやれと言われたら、きっとできないだろうな。

こんなに圧倒的な量のバイクと車が、ひっきりなしに走っていたら
怖さのあまり足がすくんで、立ち止まってしまい、轢かれる自信があります。嗚呼。

ふと興味が湧いて、交通事故の死者数の統計を調べてみたら
日本の2倍強くらいでした。

この数字、多いと見るか、少ないと見るか。
ワタシ的には、日本の10倍くらいあるのでないかと思っていたので
意外に少ないんだなというのが本音の感想です。





ちなみに、ベトナム視察先企業の一つである
FPTというIT企業さんでも
自動運転車を研究開発中でした。


ゴルフカートみたいな、簡単な構造の車でしたが
近所に買い物に行くくらいであれば、ちょうどいいかも。

どんくさいうえに、運転も下手な人間としては
自動運転車が早く普及しますよう、切に願っております。
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ベトナムからシンチャオ(7)逆海外進出

2018-03-21 04:47:07 | 日記
海外からベトナムへ進出してくる話とは逆に
ベトナムから海外へ出ていく人たちも多いです。

ベトナムから海外へ、出稼ぎに出る人たちは、
昨年1年間で、約13万人。

そのうち、日本へ来る人は、全体の4割を占めます。

ということは、渡航先の一番人気は、日本?と思ってしまいそうですが
実は、一番人気は、台湾です。

全体の約5割が、台湾へ渡るのです。HEEEEE!

(残る1割は、韓国とかサウジアラビアとか諸国にちらばる)

ちなみに
ベトナムの輸出相手国は、金額が多い順に、アメリカ・中国・日本・韓国。
輸入相手国は、金額が多い順に、中国・韓国・日本・台湾。

貿易収支は、ほぼとんとんくらいで
多くの国と、出たり入ったり、お付き合いがあります。




過去には、ベトナム戦争という歴史もあるため
アメリカや韓国には、嫌な国民感情を持っているのでは?
と思っていましたが

留学先の一番人気はアメリカで
韓流スターや韓流コスメも大人気と聞き、驚きました。

ベトナムに住んでいる人の数で見ると
日本人1万人に対し、韓国人は10万人と多いため
二世(ベトナム人と韓国人のハーフ)も増えているとか。

イメージで物事を考えてはいけないね。

なお、そのような感想を、通訳ガイドさんに漏らしたところ
「実は、本音のところでは、反韓・反米感情もあるんですよ」
と、ローカル裏話などをいろいろ聞かせてもらいましたが

それを言うならば、ワタシたち日本人だって
韓国やアメリカに対して、複雑な気持ちを持っているものね。

原爆を二度も落とされたり、理不尽な言いがかりつけられてる日本も
枯葉剤を撒かれたり、大勢の同胞を傷つけられ殺されたベトナムも
ともに、敵を静かに許す懐を持っている、というところは
やはり、似ているのかもしれないと思いました。




 この土地では、ひとは劇的な人生をもたざるをえない。
 たれに何をきいても、かれの人生はベトナム動揺の年表のどの項かに触れ
 それで切り裂かれて血が流れつづけているような感じがある。

 そのくせ、ベトナム人の表情のこのしずかさはどうだろう。
 過去に、侵略をしたり侵略をはねかえしたりした激しい歴史をもち
 いまなおそれをつづけていながら
 激情というものはあまり見せない。

 人生や世間に対する心がそうあるだけでなく
 体つきまでは植物の繊維質でできているのではないかと思えるほどにしなやかである。


 (司馬遼太郎)

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ベトナムからシンチャオ(6)海外に打ってでる

2018-03-20 20:36:46 | 日記
すでに人口減少が始まっている日本にとって
東南アジアは、今後も大きな成長が期待できる市場として
多くの企業が注目を寄せています。

(昨年海外進出した九州山口の企業のうち
 行き先の8割は、東南アジアげな。)

東南アジアの中でも、特にベトナムは
親日な上に、国民性が日本と似ていると言われることも多いため
「まずはベトナムを足掛かりとして
 ミャンマー・カンボジア・ラオス等の国々への展開したい」
と考えている人も多いです。




ちなみにこれが、ベトナムの地図です。


あら不思議!
30度傾けると、日本地図っぽくない?


国土面積も、人口も、日本のそれ×90%くらい。
若干小さいくらいで、ほぼニアリーイコールです。

勤勉な国民性、と言われますが
日本人が考える「勤勉」と、世界一般で言われるそれでは、意味が違うようで
日本人からすると
「こんなに無責任で適当なのに、どこが勤勉やねん!」
と怒り出したくなることも多々あるようですが
まぁ、でっかい目で見ると、似てるらしいですよ。




実際に、ベトナムで工場を経営している方に話を伺ったのですが
こういう傾向があるそうです。

(1)残業を嫌がる
家族や仲間とのプライベートタイムを大切にするため
たとえ仕事が遅れていようと、納期が迫っていようと、
定時になったら、仕事を放り投げて帰る。

(2)ドライに転職する
見込みがある人は、幹部候補生として大切に育て
日本へ語学研修も兼ねた企業研修とかに行かしていても
少しでも他社の待遇がいいと、さっさと転職してしまう。

(3)リーダーシップがない
上司が部下への育成指導を行わない。
部長クラスでも労働組合のストに参加したりする。

(4)プライドが高くて要求が多い
アメとムチの使い分けをきちんとしていかしないと
親切に接していると、要求がどんどんつけあがる




ワタシは、自分で自分のことを
「空気を読まないし、空気を読めない」タイプだと思っていましたが

まだ
「期日が決まった仕事は、期日までに終わらせる」
「中間管理職は、ちゃんと中間管理職の仕事をする」
「会社や仲間に対する恩義・感謝」
といった、ジャパニーズ企業文化は、身にしみこんでいるので
海外に出たらきっと「空気が読める人」と評価されそうだわ。。。(汗)

日本企業にいたら
「期日を守るのは、社会人として当たり前でしょ!」
「部下を育成するのが、上司の仕事でしょ!」
ということを、集団圧力を味方に、堂々と主張できますが

外国に来たら、そんな考え方をしてる方が、少数派の異分子だから
そんなことを言ったって、軽く無視されるだけだろうし
外国で仕事の陣頭指揮をとるのは、さぞかし難しいことと思います。

そこで、工場を案内してくれた方に
「マネジメントで、工夫されている点などはありますか?」
という質問をしたのですが

「うまくいくコツなんて、ないですよ。」と、バッサリ返されました。

「言葉を変え、品を変え、
 ずーーーーっっと、何度でも何度でも言い続けて
 ずーーーーっっと、態度で示し続けるしか、ないんです。」
とのこと。

で、ですよね。。。(汗)
甘い質問しちゃってすみません。


でも、そういったことをぼやきながらも

「以前、中国で工場をやっていた頃には
 とても比じゃないくらい、それはそれは大変な苦労をしたので
 ベトナム人は、まだ日本人と相性がいい方ですよ・・・。」
(ぼそっ)
と、暗い目で言われたので

海外に進出するとは、相当な覚悟が必要だぞと
肝っ玉が震え上がってしまいました。




もちろん、世界中が、ベトナムの成長市場を狙っている中で
その中で、日本企業がどう太刀打ちしていくか
課題は内外ともに山積しておりますが

大きな目で見て「国民性が似ている」というのは
結構なアドバンテージですし
九州は距離も近いし、福岡ならハノイ・ホーチミンに直行便もあります。

虎穴に入らずんば虎子を得ず!

九州のヘルスケア業界で、ベトナム進出を検討中の方がいらっしゃいましたら
不肖七吉、シバリョー先生の御霊とともに、全力でサポートさせていただきますんで
ぜひご一報ください。
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ベトナムからシンチャオ(5)経済の謎

2018-03-20 07:20:58 | 日記
現在のベトナム経済は、日本で言うと「昭和40~50年代くらい」だそうです。
道路や建物には、あちこちヒビが入り、汚れて、埃っぽく、雑然と混沌としています。

痩せて日焼けして、ギョロッとした目つきのオジサンが
上半身裸+薄汚れたズボンという、ホームレスのような恰好で
排ガスまみれのラッシュの国道わきの地べたにしゃがみこんで、ご飯を食べてる
なんて光景も、大都市でも田舎でもあちこちで見られます。

各家庭に、洗濯機は1/3、冷蔵庫は2/3しか普及していないため
「洗濯物は手で洗う」「その日に食べる食材だけを買う」のが割と普通。

こういう風景を見ると
まだ昔の日本のように、貧しい国なんだなー、と感じました。




また、数字の部分でも。
一人あたりのGDPは、2164ドル。日本の1/20くらいです。

初任給(月給)は、日本円に換算すると
作業員で2~3万、大卒技術職で3~4万、くらいが相場だそうです。

こういうデータを見ると、
まだ昔の日本のように、まだ貧しい国なんだなー、と感じました。




ただし!あなどるなかれ。
ベトナムでは「統計に出てこない経済活動」が大きいそうなのです。

税金対策のため、企業は二重帳簿をつけるのが当たり前。
労働者は、ダブルワーク・トリプルワークが当たり前。
ビジネスやや進学就職の節目には、賄賂を渡すのが当たり前。

ある人に言わせると
「表向きの数字の1.5~2倍くらいの経済力はあるはず」
とのことです。

そういわれてみれば、ベンツやフォードやレクサスも
(日本で1000万円するレクサスは、ベトナムでは3000万円するらしい)
バンバン走ってたわ!

また、街並みや、建物や、人々の服装や、トイレなどが
日本人の目から見て、みずぼらしく不衛生に見えたとしても
だからといって、貧しく遅れているかというと、あながちそうとも言えないもんね。

ああ見えて、実際には、経済的にも精神的にも
ワタシよりもよほど豊かなセレブ生活を送っているかもしれないぞ。




ちなみに、ベトナムのGDP成長率は、6.7%!
首都ハノイなんて 過去5年間の経済成長率は9.2%もの高さです。
これからますます、経済成長は進んでいくでしょう。

人件費や材料費がどんどん上がっていったら
ベトナムに進出している企業さんは困るだろうなぁ・・・と考えたところで
はたと、「あまり経済成長されると困る」と考えている
自分の傲慢さにハタと気がつき、愕然としました。

積極的に「貧しい国から搾取してやろう」という意識はなくても
人件費や材料費がどんどん上がっていったら困る、というのは
裏を返すと、そういうことだもんね。

東南アジアのように、物価が安い国へ旅行に行って
ショッピングもグルメもエステも安くてラッキー、と喜んだり
このままずっと物価が安くあってほしいな、と願うのは
裏を返すと、そういうことだもんね。

口ではどんな綺麗ごとを言いながらも
経済的に優位に立ちたい、既得権を失いたくない、という
無自覚がゆえにタチの悪い、富める者の傲慢さかと。恥ずかしや。。。

シバリョーさんだったら、こんな傲慢さも
「人間の集団が宿命的に持っている愚かさとしか言いようがない」と
バッサリ斬ってくれるかな。




 ベトナムはどうなるのであろうか。
 ということを、サイゴンにいるあいだじゅう考え、
 ひとにもきいたが、ついに答えがなかった。

 いまのままでは、ハノイとサイゴンとそして解放戦線がたがいに殺し合って
 ついには一人残らず死んでしまう以外の見通しは無い。

 この悲惨さは、たれが、そして何国が悪いということで片付かない。
 人間の集団がもたらす惨禍であり
 さらにはそれぞれの集団を支配している正義的正義という観念の害悪
 としか言いようがない。

 (司馬遼太郎)

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ベトナムからシンチャオ(4)技能実習制度

2018-03-19 21:56:26 | 日記
日本では現在、原則として「移民」の受入れは行っていませんが
人手不足に悩んでいる業界では
EPAだ留学生だ特区だと、いろいろな制度をつかって
外国人の労働力確保にがんばっています。

技能実習、という制度もその一つ。

表向きには
「日本で技術を身につけ、母国に帰ったあとにその技術を生かす」という
研修が目的の制度であるとされていますが
実際には、人手不足を補うために活用されていることが多いです。

技能実習で受け入れられる職種は、建設・溶接・工場など
人手不足が深刻で、大変度や危険度が高い職種に限られていますが
このたび新たに、介護職も対象に追加されました。




今回のツアーには、介護職の人手不足に悩む介護施設経営層が参加も多く
ベトナムから日本へ人材を送り出すための、現地教育機関も
いくつか視察してきました。

まだ10代の若い子たちが、全寮制の学校にカンヅメになって
毎日朝早くから夜遅くまで、日本語や日本企業文化の勉強をしています。



我々、受け入れる日本人側からしたら
日本語でコミュニケーションが取れて、日本のやり方を理解してくれている
若くて元気な子たちが来てくれたら
ありがたいことこの上ないのですが

実際の教育現場を見てみると
ありがたいを通り越して、何ともやるせない気持ちになってしまいました。

学校の中には(女子高のようなホンワカしたところもありましたが)
軍隊のように厳しい、スパルタ学校もあり
そこでは、日本で優秀な労働力として、肉体労働に従事できるように
厳しい教育・躾や、ハードな体力訓練が日々なされていました。

 #女の子でも毎日「腕立て伏せ100回」「スクワット100回」
 「30kg砂袋を背負って階段ダッシュ」などのメニュー!

 #男の子の場合は、その倍!(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

この若さで、家族や友達と離れて
言葉も文化も違う外国に出稼ぎにくるのも、寂しく苦労が多いことでしょうに
経済格差にかこつけて、貧しい国の子たちを自分らの都合のいいように教育して
日本人がやりたがらない仕事を押し付けてる罪悪感というか
何だか、何だか、ねぇ。。。

もちろん
日本へ短期間の出稼ぎに来たがってる人がいてのことだし
日本の言葉や技術を習得して、キャリアを伸ばしたい人がいてのことだし
双方に、需要と供給があって成り立っているのだし
悪い制度だとは言いませんが
何だか、何だか、ねぇ。。。

まるで、異国へ出稼ぎに行く子供を送り出す、おかあちゃんの気分だよ。
ごはんはしっかり食べるんだよ。
病気や怪我には気をつけるんだよ。
悪い人にだまされちゃいけないよ。
つらくなったら、いつでも帰ってくるんだよ…。(´;ω;`)




今のワタシの仕事は、技能実習生受け入れを推進する立場ですので
あまりアレなことは言えないのですが

日本に働きに来てくれる人たちに、感謝の気持ちを忘れないように。
正しい制度運用がなされ、人権侵害なんてことが起こらないように。
人間として対等に、お互いにハッピーな関係が築けますように。
そういう発信や、仕組みづくりをしていきたいと思います。




 メコン・デルタにおける水と緑と太陽の豊かさというのは
 想像を越えたものだった。

 なるほどこのデルタだけで一億人を養えるという話は誇張ではない。

 ただし本格的な農政と技術指導がおこなわれればという条件がついているが
 しかし現在の比較的粗放な農業だけでも十分余剰生産がある。

 (司馬遼太郎)
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ベトナムからシンチャオ(3)シバリョーとともに

2018-03-19 20:49:34 | 日記
いつも旅に出るときは、コンパクトにまとめた荷物の中にも
必ず一冊は、普段なら読みたくもない骨太の本を入れるようにしています。

日本にいると、本やネットなど、好きなことで
一人の時間を満たしてくれる刺激があふれていますが

旅行中ならではの、移動時間/スキマ時間/寝つきの悪い夜の時間などに

こんな時でないと、とても手に取らないような本をお供にして
いやがおうにも読まざるをえない環境を作ると
意外や意外、とてもディープな読書体験ができるのよ。




今回の旅のお供は
司馬遼太郎著「人間の集団について ~ベトナムから考える~」

ベトナム戦争まっさかりの昭和48年に
シバリョー氏が内戦下の南ベトナムに滞在した際
考えたことや感じたことをまとめたものです。

いかんせん、半世紀近く前に書かれた古い本。

出発前の日本で、パラパラッと流し読んだ限りでは
いわゆるエラい文豪オジサンの、偏見と私見に満ちた本という印象を受けたので
まるで食指が伸びなかったのですが
だからこそ旅のお供にちょうどいいと思い、持参しました。




そもそも、司馬遼太郎氏といえば
「竜馬がゆく」「坂の上の雲」をはじめとする名著を多数書かれているので
ワタシも今まで「日本人の教養として、読んでおきたいべー」と
何度かチャレンジしたのですが

・何やら格好いいヒーローが活躍する
・みんなで戦ったり殺しあったりする
・登場人物がやたら多い

といった男子的物語って、とことん苦手なため
何度チャレンジしても、全くもってストーリーが頭に入ってきませんでした。

「項羽と劉邦」なんて、学生時代の憧れの先輩のお薦め図書だったため
3回くらい繰り返し読んでみたのですが
その面白さ、1%も理解できませんでした・・・(淡恋玉砕)




あれからウン十年。

ワタシも少しは大人になったのか。
歴史小説でなく紀行文形式の文章だからよかったのか。
異国の地にいるという奇妙な高揚感と緊張感のなせるわざか。

なんかよく分かりませんが
この本については、いろいろ考えさせられる、深い読書体験ができました。

「人間の集団について」なんて、ずいぶんでっかいタイトルで
そのくせ書かれている内容は、ベトナムという一国に関する考察ですが
何度も読み返しているうちに、人類全般について
自然と考えさせられてしまいます。

ベトナム戦争に対するくだりなどでは

「大国はたしかによくない。
 しかしそれ以上によくないのは
 こういう環境に自分を追い込んでしまったベトナム人自身であるということを
 世界中の人類が、人類の名において、かれらに鞭をうたなければどう仕様もない。」

なんて、お前は神か?的にまで、厳しい物言いをしていたりしますが
「ベトナム」というところを、どこの国の名に置き換えてもおかしくない感じがします。

人類はきっと、個々人としては、賢くものを考えられたとしても
全体の総意となると、愚かな判断を下しやすい生き物でないかしらん。




旅行中、わずかなスキマ時間を縫うようにして
この本を何度も読み返しましたが
ここまでしつこく読んだも、ベトナム滞在中だったからこそと思います。

どうやらワタシのようなタイプの人間は
実生活と密にリンクしていることが実感できないと
歴史とか、政治とか、経済とかいう難しい本は
頭と身体に入ってきづらいみたいです。

これからも、他国に行ったり、他国の人と付き合ったりして
さまざまな国や地域を理解していくことになるにあたり
もっともっと、いろんなことを勉強したい!

勉強したいという気持ちを高めるために
もっともっと、いろんなところに行こう!

と、思いまふ。




 独自の文化の中に閉じこもってきた一民族が
 世界史的な潮流の中で自立しようとするとき
 かならず普遍性へのあこがれがある。

 唇や文字で説かれる思想よりも
 ひきがね一つで相手を目の前で殺傷できる兵器のほうが
 はるかに普遍性を旋律的に体感でき
 それも万人が体感できるという点でこれほど直戴な思想はなく

 この思想はベトナムにあっては、サイゴン政府軍においても
 解放戦線においても、ハノイ政府軍においても、変わりはない。

 (司馬遼太郎)
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ベトナムからシンチャオ(2)女の人や男の人

2018-03-18 21:02:29 | 日記
 ほとんどのベトナム人は、不必要な脂肪はついておらず
 小柄で痩せている。

 兵隊たちも、竹ぼうきのように細い手足をだし
 町を漕ぎまわっている輪タクの運転手たちも
 身体の繊維質が浮き出ていて

 植物がうごきまわっているような感じがする。

 (司馬遼太郎)




さて、まずは女の子の話題から。

ベトナムと言えば、アオザイ女子のイメージがありますが
「実際には、
 アオザイを着ている(しかもそれが似合っている)女子は
 そう多くないだろうな」
と、思っていたんですよ。

ほら、日本だって。
伝統衣装である「着物」で暮らしている日本人は少ないじゃないですか。
ましてや、上半身の身体のラインがもろに出るデザインなので
スタイルに自信のある人でないと着こなせないだろうし。

そう思っていたのですが・・・

意外にみんな、普通に着てる!(゜.゜)

そして、腕やウエストは細くて胸は豊かという
アイドル並みのナイスバディ女子が
ビックリするほどあっちこっちにいるのです。

ホテルスタッフや、レストランのウエイトレスさんといった
近距離で観察できる子なんかは特に
あまりのスタイルの良さに、女のワタシでも見とれることしばしばでした。

(いい目の保養をさせていただきました・・・合掌)

なお、視察団として参加していた、他の女性からは

「ベトナム土産を買おうと、下着屋さんに入ったら
 ブラジャーがどれもこれも、分厚いパットが入っていた」

という証言を聞いたため
豊かな胸という点については、ちょっとアレかもしれませんが
ほっそりスリムな体形の人が多いのは確かです。




男性も同じく、ほっそりした体型の人が多いのですが
ちょっと意外で驚いたのが、「オジサンの笑顔のかわいらしさ」です。

ふとした挨拶でチラリと目が合うときですら
みんなすぐに自然な笑顔になってくれて
それは老若男女全般に言えることなのですが

女子供ならともかく
男性、しかもいい齢こいたオジサンになると
ふとした挨拶レベルで、すぐに屈託のない笑顔になれる人って
日本ではあまり見かけないじゃないですか。

オジサンでも、こんなにかわいい笑顔になれるのかというのが
いい意味でのカルチャーショックでした。




そういえば、もう一つ。オジサンは、よく喋る!

2~3人とか、7~8人とか、人数はまちまちですが
中高年のオジサンたちが、円陣を組んで
ぺっちゃらぺっちゃら延々とおしゃべりしている光景が
道端のあちこちで見られました。

これも日本ではなかなか見ない光景でしょ。

「ぺっちゃらぺっちゃら延々とおしゃべり」って
非常に高いコミュニケーションスキルがないとできないことだと思うので

通訳ガイドさんに「これはすごいことですね!」と話すと

「みんな、人の話は聞かず、自分の話ばかりしてますよ」
と、冷静な回答が返ってきて、笑ってしまいました。

まぁ、それはそれで、楽しいならいいか。wwwww

ちなみに、同じく通訳ガイドさんの話によると
ベトナム人は寂しがり屋さんが多く
出張先のホテルでも、仲間たちと相部屋に泊まりたがるんですって。

男同士で一つのベッドに寝るのも
(セクシャルな意味は無く)全くモーマンタイだそうです。

大臣クラスの偉いオジサンたちであってもそうらしいので
想像すると、何となく微笑ましい光景ではありませんか。




スタイルのいい素敵女子たちと、笑顔が可愛い素敵男子たち。

実際には、日本人から見た「親しみやすさ」の裏側で
したたかさ、プライドの高さ、約束を守らないルーズさ、などなど
いろいろあるんだろうけれども
まずは、いいところからカウントしていきましょうぜ。




 ベトナム人は、うわさが好きである。

 うわさは、市中の市場でつねにうずまいており
 かれらが市場へゆく目的のひとつには
 うわさを仕入れにゆくということもあるらしい。

 たとえば解放戦線がいつ攻勢に出るかというような
 生命に関することになると
 幾度かに一度は意外な正確な的中率を占める。

 (司馬遼太郎)
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ベトナムからシンチャオ(1)はじめに

2018-03-18 14:18:38 | 日記

 元来、人間の素朴な暮らしにとって、国家は不要なものである。

 素朴な暮らしとは、食べる・寝る・祈る・愛するといったように
 生存を続けるための諸行為であるとすれば
 ここに国家というナワバリと権力が噛みこんでくる余地は本来ない。

 (司馬遼太郎)





先週1週間、ベトナム出張に行ってきました。

亜熱帯気候のなかスーツを着て、汗をかきながら
中小企業の社長さんたちを中心とした経済視察団の一員として
ツアコンスタッフ的な仕事をしてきましたのよ。

視察先のテーマは、ヘルスケア業界。

現地の病院、介護施設、技能実習送り出し機関、日本語学校、などなど
ヘルスケアまわりの現場をたくさん訪問させていただきました。

自分の担当業務とモロに繋がっているため
非常に興味深く、非常にためになりました。
このような機会をいただき、神様・仏様・カオダイ様に感謝です。

※ちなみに、カオダイ様とは・・・
 ベトナムに総本山がある宗教「カオダイ教」のトップです。
 仏教・キリスト教・神道・回教とか、いろんなジャンルの宗教を
 「融合」というより「足し算」したような宗教げな。(何だか格好いい!)
 



実はワタシ、今までベトナムって行ったことがなくてね。

ベトナムといって思い浮かぶイメージといえば

・三角傘をかぶったアオザイのお嬢さん
・ベトナム戦争、ベトちゃんドクちゃん
・フォーと生春巻きが美味しい

みたいな、薄っぺらいのしか持っていなかったのですが

我が敬愛する上司、A会長からは

「視察は、物見遊山ではない。
 事前にしっかり勉強をして、自分なりの仮説を立てて
 答え合わせをしにいくという心づもりで行きなさい。」

と、いつも口を酸っぱくして言われているので
こんな薄いことではいかんと、慌てて事前勉強しました。




まず、ベトナム経済の特徴には

・高い成長率
・若者が多い
・中国より安くて豊富な労働力
・中国の隣国という好位置
・農産物(米、コーヒー、天然ゴム等)、海産物(エビ、イカ等)
・共産党が一党支配する社会主義国

といったことなどがあります。

(あと、他にもいろいろ書いてあったけど、忘れてしまった)

いかんせん、付け焼刃の予習では
独自の仮説と言えるほど、大層なアイデアは思いつきませんでしたが
これから伸びていくマーケットであることはよく分かりましたぞ。

そして、実際にベトナムに行ってみて
リアルなベトナムの現場を見てみると
(仮説というにはおこがましいけど)先入観やイメージとかは
しばしば頻繁に、覆されました。

例えば

「いくら急成長中とはいえ
 GDPや平均年収のデータはまだまだ低いし
 中間層でも生活レベルはいまいちだろうな」

「ベトナム戦争という歴史もあるし
 アメリカや韓国への禍根や反感はあるだろうな」

「アオザイが似合う、スタイルのいい女性は
 実際には、そう多くないだろうな」

といったイメージ。何度も覆されました。

更には、覆されたものが、さらに覆されたりして
結局何が「ホントウ」なのか分からなくなってきて
実は「ホントウ」なんて、人の目の数だけあるのでないかとか
色々考えさせられるのも面白かったんですけどね。




いかんせん、1週間という短い滞在期間のため
偏った経験と私見が入っているとは思いますが

ベトナムで感じたこと、考えさせられたこと、
つらつらと書いていきたいと思います。




ちなみに「シンチャオ」とは、「こんにちは」の挨拶です。
「おはよう」も「こんばんわ」も兼ねる、便利な言葉なので
滞在中はしょっちゅう使っていました。

あなたも、コンビニとかでベトナムの店員さんを見かけたら
ぜひ「シンチャオ!」と話しかけてみてね。(^o^)/
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