イカットの島 / バリ島に暮す / 風に吹かれながら

バリ島ウブドの小路は手工芸にあふれています。バリヒンドゥーの信仰に息づく暮らしに触れながら手織りの時を楽しみたい。

再びカンボジアへ 2  カンボジアシルク絣を訪ねて

2014年07月09日 | 織りの旅/海外
写真   伝統的なカンボジアシルクの緯絣 
   (クメール伝統織物研究所 2階ショップにて)

今回は「シルクウオーム・ブリーデイングセンター」とNGO職業訓練センター「プロルン・クマエ」の織り工房ではなく、カンボジアシルク絣に魅了された森本喜久男さんが主宰する
クメール伝統織物研究所を訪れました。
ポルポト政権時代に途絶えた織物文化の復興、育成活動1995年にブノンペンで始められ、1999年にシェムリアップに活動を移し、2002年からはアンコールワット北の荒れ地を開墾して「伝統の森」再生事業を進められています。桑の木を育て、養蚕、天然染料を作り、染色、糸を紡ぎ、織りまで、生産の工程を全て行っています。
日程が短く、町から離れている「伝統の森」に行くことは出来ず残念でした。

カンボジア特産の繭は黄金色です。
  

糸の準備
  

高機に張っている経糸にオイルを付けています。
   

経糸は単色、緯糸をモチーフ柄で染めていく緯絣です。染めない部分を芭蕉の繊維 (バリ島ではビニール荷物ひもを使用) できつく括り染め分けます。染めた後、乾しています。
 


インドネシアの織物の経絣、緯絣、バリ島のエンディック Endek(インドネシア語でイカット)、経緯絣と同じようカンボジアもインド、中国の影響が強いと言われているそうです。
バリ島ではかつての王国周辺の村に伝承されていますがカンボジアでは内戦が長く親から子へと伝えてきた自然な営みが断絶しました。
研究所では布の生産と消費が遠い距離ではなく、作り手の精神性が届く売り方にもこだわり、直接販売をしています。研究所の姿勢は生活に欠かせない物づくりのあり方の一つであり、
大量生産大量消費の対極でもあるように思います。

伝統の森は現在、23ヘクタール(約7万坪)に広がり、170人を超える人たちが家族で暮らす小さな村が出来上がったそうです。そこで生まれた子どもたちのために学校も建設、自然と暮らす知恵を取り戻しながら。
最近読んだ「ガンジー自立の思想」
チャルカ(手つむぎ車)を自治・自立の象徴としたガンジーは、近代機械文明の正体を見抜き、真の豊かさは自然と人間の共生であることを知っていた。 編者 田畑 健 (地湧社)
思想を実践する伝統の森・再生の村のように思えました。

参考 研究所内で配布されているパンフレット
1. カンボジアの絣
2. 朝日新聞2004.12.8記事 ひと 
「カンボジア伝統の絹織物を復興させた  森本喜久雄さん」
3. 甦るカンボジア  
伝統織物の復興が暮らしと森の再生に至るまで
4. 森本喜久雄氏主宰のクメール織物研究研究所と伝統の森への同伴案内を受けての感想  吉田恒昭 


クメール伝統織物研究所
No.472 Viheachen Village Svaydongkom Commune  Siem Reap
Tel / +855-(0) 63-964437
 




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