ご挨拶をしてご馳走をいただき、これ美味しいと盛り上がる。
最近どうなのと、ひとしきりいる人の話をする。
それからいなくなった人たちの話をする。
昔住んでいたところ、一緒にしたこと。
思い出話。
おじさんになったいとこの顔に二重写しのように学生時代の残像が見える。
相変わらず父に甘やかされて私たちはこたつで寝転がる。
いなくなった母の気配がする。
こんなものがと見たことのない両親の結婚式の写真が出てくる。
それがなかったらここも私たちもなかった異国での結婚式。
若い、若い父と母。
時はあるところでは厚くまたは薄く層になっている。
異なる情報密度に沿って昔のガラス窓のようにぐにゃんと曲がって映る。
今日は過去の存在がことさらくっきりと感じられるけれど、そうか、違うんだ。
普段は見えていないだけで過去も死者もいつも私たちと共にある。
川のように強い力が私たち全部を押し流していく。
無慈悲に優しく、抱きしめるように。