贈りもの

母をなくしました。

おしゃれで生きることを愛した母は精一杯生きたと思います。

母とはいっぱい遊びました。

私を愛して愛して愛してくれました。

病の中、ここまで生きてくれたのは私のためでもあったはずです。

ありがたかった。


親戚も友人も沢山の人たちが足を運んでくれて、お別れをしました。

入れ替わり立ち代わり私の前に現れる人たちはお悔やみを言い、母との思い出話をしてくれました。
そうすると聞こえないほど小さなかそけき声で、それぞれの人の心からの声が聞こえるのです。
死について生きることについて親子について、それぞれが折々に見つけた宝物のような大切なものを、今この瞬間だからこそ私に、と差し出してくれていました。

それはとても遠慮深く、私が静かにしないとわからないくらいの控え目な優しさでした。
挨拶だったり、気遣う言葉だったり、ちらとこちらを見る目であったり、その場に来てくれることであったり、お花だったり。

大きく胸と腕を広げ空間を作り、よくよく耳を澄ませて、多分言葉にならないものも一緒に、大切に受け取りました。

みなさん、いっぱいの贈りものをありがとう。

これもまた母からの贈りものでもあるのでしょう。


（母の作品 伊豆沼の曙）