美味しいご飯とお酒も飲んで、夜それぞれ遊んで帰るからというみんなを置いてホテルに向かうバスの中、大丈夫かしらね、どうしよう祇園の超高級店で数十万円請求されたりしたら、でもあの人たちお金持ちだから払えるか、と話していて気がついた。
そうか、お金について能力が高いということはそれだけではない、言葉も通じない初めての街にいても、決して騙されることはないということなんだ。つまり世知Qが高い、ただ知識があるだけではなく、圧倒的に知識情報的に強者であるということ。
何があっても生き残る軍人の強さとはまた違うけれど、やはりとても、世界でもトップレベルに強い人たちなんだなということが腑に落ちていった。
そしてそれはその人たちの歴史の深い傷と無関係ではない。苦しみが、彼らの言葉を使えば闇が深いから、二度と落ちないようにとつかんだ力。
闇と光、陰と陽。
一見別のもののようだけれど二つの面を持つひとつの姿、そのイメージが立ち上がるように揺れるバスの暗い窓に映って流れていった。