何年か前の冬の夜のこと。
昔からある賑やかな商店通りに今ではもう珍しい占い師が座っていた。
ほら道端にあの四角い灯籠みたいな灯りを灯した小さな机に座っているやつ。
灯りには手相とか顔相とか書いてあって看板と宣伝を兼ねている。
通り過ぎながら見るともなく見ていて、ふうん顔相と目線を上げたらその占い師と目が合った。
若くはないけど年取ってもいない女の占い師だった。
ぼんやりとした意識にダウンロードされるように情報が入ってきた。
(とても情に厚いところがあるけれど
(神経質なところがあり苦労している
(そして頑固
(近くに近親の男性がいてよく言い争っている
え?そういうのが顔相なわけ?
微かな期待をこめてこちらを見る彼女から視線を外し足を緩めず通り過ぎた。
うーんと、結構です。