平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

笑うかどには(2003年6月)

2005年02月17日 | バックナンバー
村上和雄先生の遺伝子に関する過去の平和エッセイ――

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笑うかどには(2003年6月)

 週間誌『アエラ』四月二一日号に、「笑いで目覚める幸福の遺伝子」という興味深い記事が出ていた。

 全国の医師や心理学者らで作る「心と遺伝子研究会」が、糖尿病患者の食事のあとの血糖値の変化を調べた。最初の日は、食事後に糖尿病に関する堅苦しい講義を四五分間聞かせた。次の日には、愉快な漫才を同じ時間聞かせた。両日の血糖値を調べると、漫才を聞かせたほうが、血糖値の上がり方がはるかに少なかった。

 昔から「笑うかどには福来たる」と言われ、笑いが人生を明るくすると考えられていたが、この実験は、笑いが健康状態によい影響を与えることを科学的に証明したと言える。

 笑いによって、なぜこのような変化が生じるのだろうか。研究会代表の村上和雄・筑波大学名誉教授は、「笑いが、血糖値を下げる遺伝子を目覚めさせた」と見る。

 生物はすべて細胞から構成されているが、一つひとつの細胞には同じ全遺伝子情報が含まれている。ただし、各細胞でその遺伝子がすべて働いているわけではない。必要な遺伝子情報のみが使われ、その他の多くの遺伝子は特殊なタンパクで封印され、ふだんは眠っている。たとえば、心臓の細胞では心臓の遺伝子機能だけがオンになり、その他の機能はオフになっている。心臓細胞で髪の毛の遺伝子機能がオンになると、心臓に毛が生えてしまう。そういうことが起こらないように、心臓細胞では毛の機能はオフになっている。糖尿病患者の場合、血糖値調整の遺伝子が不活性なのかもしれない。それが目覚めれば、糖尿病も改善されるはずだ。

 「心と遺伝子研究会」の実験は、笑いという心理作用が、細胞の中でそれまで眠っていた血糖値を下げる遺伝子機能を目覚めさせたことを示している。つまり心の持ち方が遺伝子のオン・オフに影響を与えたことになる。

 笑いが遺伝子のオン・オフに影響するならば、感謝、喜び、希望なども影響するに違いない、逆に、悲しみ、怒り、不安など、否定的な心理状態も遺伝子のオン・オフに影響するに違いない。「病は気から」というように、否定的な感情が体に悪影響を与えることが昔から知られていたが、それには科学的な根拠があったわけである。

 そうすると、健康な生活を送ろうと思えば、食事や運動や休息もさることながら、ふだんの心の持ち方も大切ということになる。私たちは、否定的な感情想念が起こったら、それをいち早く消滅させ、感謝や希望などの明るい心に転換させる必要がある。それをもっとも容易に行なえる方法が、「消えてゆく姿で世界平和の祈り」であり、光明思想徹底行ということになる。
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最近の朝日新聞の記事によると、介護の分野で「お笑いヘルパー」が養成されるそうです。