goo blog サービス終了のお知らせ 

前略、ハイドン先生

没後200年を迎えたハイドン先生にお便りしています。
皆様からのお便り、コメントもお待ちしています。
(一服ざる)

逆転人生『eスポーツ大逆転!長崎のゲーセンから世界に挑む』

2020-06-15 18:57:20 | テレビ番組
NHKの逆転人生『eスポーツ大逆転!長崎のゲーセンから世界に挑む』
を観ました。

今回は、格闘ゲーム「鉄拳」で2019年の世界王者となった
プロゲーマー・チクリン選手(嵩裕太さん)の物語でした。


実は昔から「テレビゲーム」というものはほとんどやったことがありません。
スーパーマリオ、ドラゴンクエスト、ファイナルファンタジーといった有名ゲームも
遊んだことがありません。

学生時代にプレステを買いましたが、やったのはテトリスと麻雀ゲームくらい。
反射神経(運動神経)を使うのが苦手なので。
今も家には、ゲーム機が一つもありません。
(携帯でパズルゲーム?をやるくらいです)

今回の番組で出てきた「鉄拳」も、「ストリートファイター」とどこが違うのか、
全然知りませんでした。


「eスポーツ」というものが、世界的に盛り上がっていて賞金も凄い、ということくらいは
ニュースなどで知っていましたが、それほど興味はありませんでした。

にもかかわらず今回の逆転人生、リアルタイムでも観ましたが、
その後、録画したものを何度も観返しています。
なんでそんなにハマったのか、自分でもよくわからないのですが。

主人公のチクリンさんの直向きさや、
今の格闘ゲームを取り巻く環境などに惹かれたからでしょうか。
番組だけでなく、YouTubeで
「TEKKEN World Tour 2019 Finals」(公式日本語配信)も観てしまいました。
(https://www.youtube.com/watch?v=W5td5mNge5A)


「鉄拳」は世界中で人気のあるゲームだそうですが、
各国で行われる大会で、日本、韓国、欧米の有力選手に交じって、
突如現れた全く無名の選手が、異次元の強さを見せ優勝をさらいました。
ゲーム業界に激震を与えたのは、なんとパキスタンからの刺客!

その強さの秘密を探りにパキスタンまで乗り込んで、
現地の人たちと「武者修行」をしたチクリンさん。

そこで分かったのが、
インターネット環境が整っていないため日本や韓国のようにオンライン対戦ができず
「ゲーセン」で膝を突き合わして腕を磨くパキスタンの人たちでした。


お互いの弱点を指摘し合って共に技術を高め合うというのは、
かつてのゲーセン(オフライン対戦)で行われていたものですが、
オンライン対戦が主流となり、日本や韓国ではそれが失われてしまったとのこと。

チクリンさんは帰国後、日本のライバルたちと合宿を行ったそうで、
共にレベルアップを図った結果の「優勝」でした。

YouTubeの解説で言われていましたが、オフライン対戦だけだと、
対戦相手が限られるので、逆に「レアキャラ」を使う敵に弱くなるとのこと。
今回は、両方で腕を磨いた(チクリンさんの)勝利だったとの総括でした。


優勝が決まった瞬間、
一緒に戦ってきた日本の選手たちが一斉にステージに駆け上がり、
チクリンさんと抱き合い胴上げする姿は、観ていて胸が熱くなります。
今まで全く関心のなかった分野ですが、何度も観返したくなる
(そしてそのたびに目頭が熱くなる)番組でした。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ドキュメンタリー番組はカッコいい(『ロストフの14秒』に寄せて)

2020-03-01 00:37:16 | テレビ番組
ドキュメンタリー系のテレビ番組が好きです。

このジャンルはやはりNHKが圧倒的に強いのですが、
TBSの「報道特集」や「情熱大陸」なども、また切り口が違っていいです。
厳密な意味での「ドキュメンタリー」ではないかもしれませんが。

好きな場面や台詞があるお気に入りの映画を繰り返し観るように、
ドキュメンタリー番組でも、カッコいいナレーションや構成の番組は
何度も観返します(基本、まず録画なので)。

そんな中で、特に冒頭の"掴み"がカッコよかったものが記憶に残っています。

例えば以前に紹介した
NHK-ETV特集「見狼記~神獣ニホンオオカミ~」オープニングのナレーションも
そんな一つです。

平泉成さんの、あの独特の声で
「今の時代の日本に"オオカミ信仰"が生きていると言うと信じるかね?」
う~ん、痺れる。


将棋の羽生善治さんが、1996年に将棋のタイトル七冠制覇した後に放送された番組
(「報道特集」だったと思うのですが確証がありません)
の冒頭ナレーションも記憶に残っています。

当時、VHSに録画したものを繰り返し観ていたのですが、
もう"現物"がないので、確かめようがなく記憶を頼りに書きます。
(大体合ってると思いますが)

羽生さんは前年の1995年の時点で、
すでに六冠(名人、竜王、王位、王座、棋王、棋聖)を保持し、
最後の一つ「王将」に挑戦したのですが、
当時の谷川王将に敗れ七冠制覇を逃していました。

六つのタイトル全てを防衛し、その上で再度、
王将への挑戦権を獲得するのは不可能だと思われていましたが、
それを成し遂げて、再び谷川王将に挑戦。
今度は見事に勝利し、前人未到の七冠制覇を達成しました。

そのような背景のもと、番組冒頭のナレーションです。

「将棋の七大タイトル完全制覇。一年前、それは叶わぬ夢で終わったはずだった」
ここで、前年に谷川王将に敗れたシーンが入ります。
去り行く敗者の後ろ姿に重ねて、次のナレーション。

「誰もが皆、思っていた。チャンスはもう二度と廻っては来ないと。だが、将棋の神様はこの青年を愛していた」
う~ん、カッコいい。


ドキュメンタリーとなると、やはりスポーツを扱ったものに傑作が多いですね。

2018年は、サッカーワールドカップ・ロシア大会がありましたが、
ベスト8を賭けた決勝トーナメント、ロストフ・アリーナで行われた
日本対ベルギー戦を分析した番組がNHKスペシャルで放送されました。
(ご覧になった方も多いのでは)

まずタイトルがカッコいい。
『ロストフの14秒 日本vs.ベルギー 知られざる物語』


もう、ずるい。


この番組の冒頭数分間は、
ナレーションだけでなく、音楽、選手の言葉、視覚効果、構成など全てが完璧。
NHK-BSで尺を長くした"完全版"も放送されましたが、地上波(NHKスペシャル)の方が、
圧倒的にカッコいい。録画しといてよかった。

2対2の同点で迎えた後半アディショナルタイム。
日本のコーナーキックからベルギーの高速カウンターによる逆転ゴールまで
僅か14秒のラストプレー。
28台のカメラの映像と、選手、関係者のインタビューをもとに
このプレーを詳細に分析していく、大変スリリングな内容でした。


ところでこの『ロストフの14秒』というタイトル。
恐らく作り手は、次のタイトルも意識していたのだと思います。

『江夏の21球』




元はスポーツライターの山際淳司が雑誌「Number」に書いたエッセイですが、
後にNHK特集(NHKスペシャルの前身)で、
『スポーツドキュメント「江夏の21球」』として映像化されました。

勝負の一瞬を映像や証言などから多角的に分析し、
「スポーツドキュメント」という新しいジャンルを確立した記念碑的番組です。
(山際氏の"原作"もスポーツノンフィクションのジャンルを確立した作品です)


1979年のプロ野球日本シリーズ、広島対近鉄。
3勝3敗で迎えた最終第7戦は、広島1点リードで9回裏近鉄の攻撃。
マウンドの江夏は、ヒットと四球でノーアウト満塁、
一打逆転サヨナラという絶体絶命のピンチに。
この9回に江夏が投げた21球が番組の"主役"です。

勝敗を分けた一瞬の判断
超一流選手同士のギリギリの攻防
心理的な駆け引き
複雑に絡み合う思惑
偶然、必然が生み出した奇跡 等々

ちなみに、番組の司会というか解説は野村克也さんが行っています。


勝負の世界を描くドキュメンタリー、やっぱりカッコいい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

神の数式 第1回「この世は何からできているのか~天才たちの苦闘~」

2013-09-22 12:45:28 | テレビ番組
NHKスペシャル『神の数式 第1回 この世は何からできているのか~天才たちの苦闘~』
を観ました。

全宇宙の森羅万象を説明する創造主の設計図「万物の理論」(神の数式)を追い求める
物理学者達の格闘の歴史を追った番組です。


この手の話は好きなので、昔からごく簡単な入門書などを読みましたが、
薄ぼんやりとした輪郭程度すらも理解できていない・・・

でもどこかで聞き覚えのある登場人物や素粒子名がでてきて、
わからないなりにワクワクします。


現実世界の観測結果に基づいて、その現象を説明するために作られた数式ではなく、
(それに加えて)「神の数式」が備えているべき「美しさ」(対称性)にこだわり
考え出されたディラック方程式。

「物理法則は、数学的に美しくなければならない(ポール・ディラック)」


(ディラック方程式???)

方程式は色々な表記方法があるようで、これが正しいディラック方程式かどうか怪しいですが、
「多くの物理学者はディラック方程式の美しさに涙する」そうです。

自分にはこの美しさが永久に理解できないことが残念です。
(ベートーヴェンの英雄の美しさがわからないこと以上に)


番組中盤、マンハッタン計画の責任者で、
「原爆の父」という有り難くない名を与えられたオッペンハイマーらが考えた
電磁気力を表す方程式が出てきます。


オッペンハイマー。カッコいい!


しかし、その方程式から導き出される「無限大」という数値の問題。
それを解決に導いた一人が、朝永振一郎の「くりこみ理論」でした。


こちらは朝永振一郎。1965年、ノーベル物理学賞受賞。


原爆投下による敗戦からわずか3年後の1948年。

1943年にこの「無限大」の解決方法をすでに見つけていたにもかかわらず、
戦時中であったために欧米に発表する機会がなかった朝永の論文がオッペンハイマーに届きます。

「原爆の父」が生み出した方程式の問題点を、
原爆の被害を受けた国の物理学者が解決するという、因縁というか奇跡。


  戦争の荒廃と混乱のさなかにある日本で、国際的には完全に孤立した状態にありながら、
  朝永はどうにかして理論物理研究集団を維持し、ある意味では世界のどこよりも進んだ活動を行っていた。
  誰の助けも借りず独力で、シュウィンガーより5年も前に、コロンビア実験の助けもないところで、
  新しい量子電気力学の礎を築いたのである。
  ・・・吾々には深淵からの声のように響いた・・・
  (フリーマン・ダイソン)

感動的な逸話です。


神の数式の第2回放送は今日です。楽しみです。


ところで、ポアンカレ予想やリーマン予想といった過去のNHKスペシャルの理系番組?と同様、
今回の番組のナレーションも、上田早苗アナウンサーと小倉久寛さんです。
また番組内に登場するお馴染みの人?(ミチオ・カクやフリーマン・ダイソン)の吹き替えも
毎回同じ人が担当しています。

こういう「安定感」はいいですね。
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Terra Nova ~未来創世記

2013-04-21 08:48:59 | テレビ番組
「24 - TWENTY FOUR」だとか「LOST」だとかの、
いわゆる海外連続ドラマ物はほとんど観ないのですが、
最近、『Terra Nova ~未来創世記』をDVDで借りて観ています。




ストーリーはというと、

  時は西暦2149年。
  環境破壊や人口過多によって人類は絶滅の危機に瀕していた。
  その打開策として施行されたのが、
  科学実験の過程で偶然に生まれた時空の裂け目を利用し、
  8500万年前の地球へと人類を移住させるという壮大な植民計画。
  第10移住隊の一員に選ばれたシャノン一家は、
  期待と不安を胸に太古の人類居住区「テラ・ノヴァ」へと足を踏み入れる。
  だが、その周囲は恐竜などの古代生物が棲息する危険な未知の世界だった…

というものです。




第1話と第2話の製作には約11億円がつぎ込まれているらしく、
確かに観たときは「これがテレビドラマ?やっぱスゲーなアメリカは!」
と思いました。

新天地を手に入れた人類と恐竜の戦いが・・・と思っていたら、
その後はあんまり恐竜は出てこない。

もちろんジャングルを探索中に肉食恐竜に襲われたりするのですが、
その割にはジープに乗って一人でパトロールに行ったり(危ないって!)
面白いんですけどね。


これは大人しい草食恐竜。


主人公のシャノン一家の家族愛、親子愛、子供たちの成長・・・と
なんとな~く、白亜紀が舞台の「大草原の小さな家」て感じもあったりして。
面白いんですけどね。

第8話まで観ましたが、話の展開は「テラ・ノヴァ」を巡っての陰謀・・・
て方向に向かっています。

「大草原の小さな家」、植民計画を巡る陰謀?、でたまに恐竜、
といろいろ詰め込みすぎで、焦点が絞りきれていない感はあります。
そのせいか、第1シーズン(第13話)で打ち切りで続編が作られない様子。
人気なかったのかな?


そこそこ面白いんですけどね。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

NHKスペシャル 『運命の一枚 ~"戦場"写真 最大の謎に挑む~』

2013-02-11 21:33:32 | テレビ番組
先日、NHKスペシャル
『沢木耕太郎推理ドキュメント 運命の一枚~"戦場"写真 最大の謎に挑む~』
を観ました。

戦場カメラマン、ロバート・キャパの有名な写真「崩れ落ちる兵士」の謎。
あの写真が実際に戦場で撮られたものなのか・・・を検証する推理ドキュメンタリーです。


「崩れ落ちる兵士」


「崩れ落ちる兵士」自体の謎は、近年の研究もあり、ほぼ明らかになりました。

  この写真と同時に撮られたほかの写真が発見されて、撮影場所が特定できたこと
  写真に写っている銃が、すぐに実弾を発砲可能な状態ではない(ものが多い)
  そして写真が撮られた時点では、その場所では戦闘がなかったこと

などの観点から「崩れ落ちる兵士」は、演習中にバランスを崩した人物を偶然撮ったもの、
と断定されます。


しかし番組はここから別の話に進みました。


「ロバート・キャパ」という名前は、エンドレ・フリードマンと彼の恋人であったゲルダ、
二人の競作ネーム(架空の写真家名)であることは知られています。

番組では、「崩れ落ちる兵士」の直前に撮られたと思われる写真に注目し、
この時の一連の写真も二人(キャパとゲルダ)で撮っていること、
CGによる仮想空間での分析・検証と二人が使っていたカメラの違いから、
「崩れ落ちる兵士」そのものはゲルダが撮ったものとの推論に至ります。

(被写体の身長や撮影場所である斜面を走り降りる速度など、
 幾つかの"仮定"が含まれていますので、断定はできませんが)


実際の戦場ではない場所で撮られた(撃たれてもいない)「崩れ落ちる兵士」という写真が
アメリカの写真誌「LIFE」に掲載されたことで、
戦場カメラマンとして一躍、世界的に有名になってしまった22歳の若者。

しかも、その写真を実際に撮った(とされる)恋人ゲルダは、写真が「LIFE」誌に掲載され、
名声を得る直前に戦場で命を落としています。

その後「崩れ落ちる兵士」は、反ファシズムの象徴として一人歩きし始めてしまい、
その写真に対して、何も語れなくなってしまったキャパ・・・
(キャパもユダヤ系ハンガリー人でした)


"大きすぎる負債"を抱えたキャパが「運命の一枚」と決着をつけるために立ったのが、
1944年6月6日のノルマンディーでした。




ノルマンディー上陸作戦で最も多くの犠牲者を出した第一陣の部隊に同行し、
四万のドイツ兵が待ち受ける浜辺に命がけの上陸を試みる兵士達を
"発砲するドイツ兵に背を向けて"正面から撮影し続けたキャパ!

写真がぶれているのは、単に現像に失敗したという説もありますし、
「カメラマンの手も震えていた」との説明もあります。
しかし、そんなことはもう、どうでもいいでしょう。

本当の戦場で、死と隣り合わせの場所に立ち、本物の戦争を撮った・・・
その"事実"こそが、キャパ自身には必要だったのではないか・・・

あの「運命の一枚」に決着をつけることができたのではないか・・・


そう結論付けて番組は終わります。



震えるような、凄い番組でした。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする