山の頂から

やさしい風

二つの石

2007-11-27 00:29:59 | Weblog
 麻紀は軽く頭を下げた。
その女性も美しい微笑みを見せながら首を傾げた。
片手にお弁当の包みらしきものを持っているようだ。
麻紀はひと廻り作品を鑑賞し暇を告げた。
外に出て、ごく自然にミツの名が口にされたことに違和感を感じなかった。
何かそうなることが判っているような感覚を持っていたのだ。
運命の糸と云うのがあれば、きっとこういうことかも知れないと思った。
しかし、その繋がりがどうあったのか見当もつかなかった。

 そして一カ月が過ぎた。
日常生活のリズムの中で岡本老人のことも意識せずに過ごしていた。
そうした或る日、一通の封書を受取った。
少し厚めのそれの差出人は岡本正吾と書かれてあった。

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