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陸上自衛隊八尾駐屯地創立53周年記念行事 空中機動!方面航空隊

2007-11-05 18:16:46 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

■中部方面航空隊創隊45周年

 11月4日、大阪府八尾市に所在する陸上自衛隊八尾駐屯地において駐屯地創設53周年、中部方面航空隊創隊45周年記念行事が行われた。本日はその模様を速報というかたちでお伝えしたい。

Img_8142  十月下旬から首都圏においてヘリコプターの大編隊が目撃されており、「遂に始まったか!(何が)」と驚かれた方も多いようだ。これは自衛隊観閲式の予行や本番での観閲飛行の関係で実施される大編隊である。ヘリコプターの編隊は固定翼機よりも低く飛ぶため、みる者に強い印象を与える。そしてヘリの大編隊は、十一月、関西でも見ることが出来た。

Img_8035  八尾駐屯地創設記念行事の冒頭、記念式典において、整列した中部方面航空隊と、第3飛行隊の隊員。並ぶ部隊旗はどれも航空科職種を示すスカイブルー一色である。手には64式小銃があるが、彼らの主たる任務遂行の手段は背景に溶け込む鋼の鳥たちだ。

Img_8047  部隊巡閲を行う中部方面航空隊隊長、兼ねて八尾駐屯地司令を務める清田安志1佐。中部方面航空隊の隷下には多用途ヘリを運用する中部方面ヘリコプター隊の二個飛行隊、明野駐屯地に所在する第5対戦車ヘリコプター隊の二個飛行隊、中部方面管制気象隊、中部方面航空野整備隊などが置かれており、航空機は約50機に達する。

Img_7973_1  八尾駐屯地の所在部隊は、中部方面航空隊(明野に駐屯する第5対戦車ヘリコプター隊を除く)、第3師団隷下の第3飛行隊、八尾駐屯地業務隊、第429会計隊、第318基地通信中隊、映像写真小隊空中伝送班、警務隊八尾連絡班の約600名で、航空機の編隊が観られることもあり駐屯地祭には遠方からも見学者が押し寄せた。

Img_8084  記念行事には明野駐屯地より航空学校の機体や、太刀を掴む猛禽の部隊マークで知られる第12ヘリコプター隊第2飛行隊の機体が榛名山がみえる第12旅団から派遣されていた。写真は近年、中方管区では急速に代替が進み、姿を消しつつあるUH-1H多用途ヘリ(中方ヘリ隊)と、航空学校から式典に参加したUH-60JA,高性能高価格で中々数が揃わない機体だ。

Img_8095  陸上自衛隊の主力多用途ヘリコプターUH-1J。観閲飛行へ向け、エンジンに火が入れられている。手前の機体には映像写真小隊の装備が搭載されている。阪神大震災を契機に配備が加速された装備で、撮影された情報を瞬時に伝送し、上級司令部が災害状況などを把握する上で必要な情報を収集する。

Img_8108  対戦車ヘリコプターAH-1S。コブラの愛称で知られるこの細い機体は、射手の視線に合わせて照準する20㍉機関砲、対戦車ミサイルTOW,2,75inロケットを駆使して対戦車戦闘や近接航空支援に用いられる。陸上自衛隊では全方面隊に対戦車ヘリコプター隊を整備しているが、後継のAH-64D戦闘ヘリがボーイング社などの事情により生産が終了する為、後継機の選定が焦眉の課題となりつつある。

Img_8145  飛来した大編隊。編隊指揮官が搭乗するUH-1Jを先頭に、観測ヘリOH-6Dが3機二編隊の計6機、続く多用途ヘリUH-1H/Jが5機二編隊の計10機、対戦車ヘリが4機二編隊で計8機、そしてOH-1観測ヘリ、UH-60JA多用途ヘリ、CH-47J輸送ヘリが各1機の28機編隊である。これだけの編隊は中々みれるものではない(中央観閲式にはもっと多くの機体が編隊を組んだらしい)。

Img_8157  やはりこの中で一番目立っていたのは対戦車ヘリコプターのAH-1Sである。細長い機体形状は被発見性の低下と被弾可能性の低下を追求したものである。編隊飛行に参加した機体は訓練展示に参加する機体を除き明野駐屯地に帰投した。もう一度良く見たいという方は次の日曜日が明野駐屯地祭なので、足を運ばれてみるのも一興かと思う。

Img_7991_1  八尾駐屯地は終日逆光であるので、祝賀の観閲飛行も空が白っぽく写ってしまう。このため、航過した編隊の方が空の碧さが出ており、いい写真になる。なお、陸上自衛隊の航空部隊による駐屯地祭は、編隊飛行が基本的に一回の航過である為、カメラを手にする人たちは皆真剣な表情だ。

Img_8303  訓練展示では、前半の各種ヘリコプターの飛行を展示し、アナウンスによる解説と併せ、性能や運用目的を理解した後、模擬戦に入る。機動飛行では、UH-1Hによる消火展示や、OH-1による機動飛行を展示した。OH-1の機動飛行能力には定評があり、ヘリならではの運動性に会場から歓声が上がった。

Img_8312  訓練展示の状況は、駐屯地の一角を仮設敵が占拠、これに対し信太山駐屯地からの第37普通科連隊が、ヘリコプターの支援を受け制圧するという内容で、戦車や火砲も参加した。写真はCH-47J輸送ヘリコプターより展開し、支援に駆けつける車輌部隊。この機体にはFH-70榴弾砲や軽装甲機動車の吊り下げ輸送や高機動車の機内収容などが可能だ。

Img_8427  今回の訓練展示で驚かされたのは、TOWミサイルの空包発射である。実はTOWの実弾射撃は2002年の富士総合火力演習で見たのだが、空包発射は小生、初めてみた。これは射撃後のTOWミサイルチューブに空包を内臓させたもので、TOWミサイル発射機に二発の空包用チューブが搭載されているのが良くわかる写真。射手もミサイル誘導の動作を展示し、AH-1Sの参加する訓練展示としては非常に驚かされた。

Img_8367  この他、火砲や戦車も空包展示を実施、会場に砲声が響いた。八尾駐屯地は、航空駐屯地祭ということで、来場者が多く、対して式典会場として開放される地区が必ずしも広くないため会場の人口密度は比較的高いが、編隊離陸などを駐屯地外の金網越に撮影する人も若干いたようだ。なお、安全柵を破壊して立ち入り禁止区画の高台に入る人が少なからずいたが、あれはやめたほうがいいと思ったのは私だけではないだろう。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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2 コメント

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以前中方ヘリ第2飛行隊に勤務していた元自です。 (過去の人)
2008-01-22 18:15:57
以前中方ヘリ第2飛行隊に勤務していた元自です。
懐かしい風景や航空機を見て同期の隊員たちはどうしているのか気になりました。
最近では年賀状のやり取りだけですが住所が八尾に戻っている隊員もいるみたいなので、また暇を見つけて出かけていこうかなと思います。
と言っても私が最後に搭乗していた41667号機や41672号機はいづこに・・・・もう現役引退しているのかな・・・・
懐かしい写真また見せてくださいね。
はじめまして、こんばんは (はるな)
2008-01-22 20:21:09
はじめまして、こんばんは

もしかして、と思い、片端から探してみたところ、UH-1Hの41667号機でしたら三重県の久居駐屯地に保存展示機として地上展示されていました。昨年四月の一般公開の時に撮影したのですが、塗料が若干白っぽくなっている点やエンジンが外されている点を除けば、保存状態は良好です。

厚木、大久保、舞鶴、横須賀、横田、金沢、小松、桂、守山、浜松、豊川、岐阜、八尾、明野と順次掲載してゆきますので、気長にお待ち下さい。

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