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【京都発幕間旅情】彦根城,徳川家光中国大陸侵攻計画-日清戦争が三百年近く前に勃発しかねなかった危機

2022-08-31 20:00:24 | 旅行記
■いまなぜ彦根城かというと
 政治は責任というが責任ある政治を決断するには的確な情報とその精査の上での補佐を行う側近が必要です。

 いまなぜ彦根城かというと。彦根、滋賀県彦根市、そして東海道と北陸道の結ばれた陸上交通の要衝であり、そして琵琶湖の水運が中世から近世まで水上交通の要衝としても要諦を担った街なのですが、日本近世史をみますと彦根は傑出した人材を輩出していました。

 彦根の偉人、一人一人列記していますと辞書が出来てしまいそうなのですが、井伊直孝という一人の人物を通じて現代日本を少し考えてみたいと思うのです。なにしろ彦根城は広いですからね、物思いと共に散策するには最適だ、そして上った先の情景は一際に美しい。

 井伊直孝。今の時代にこの一人の歴史に学ぶべきところは、職責、つまり為すべき事が自分の保身の先に在ってはならないし、そして職責に文字通り懸命という、そんな人材の諫言というものを指導者、いまの価値観では上司上官か、軽んじてはならないという事です。

 中国大陸侵攻作戦。日本が江戸時代に大量の地上部隊を中国大陸に派遣しようとしていた事は、日本史を高校の受験日本史に留めてしまうと気付かずに終わってしまうのですが、こうなった的な結論だけの歴史事実の羅列を超えた段階まで調べを進めますと知るという。

 日清戦争が三百年近く前に勃発しかねなかった危機的状況ともいえるのですが、当時日本の為政者は徳川家光、生まれながらの将軍と呼ばれる三代将軍に命がけ、文字通りであるとともに場合によっては転封さえ覚悟の上で諫言し留まらせた人物がいます、井伊直孝だ。

 彦根藩2代藩主井伊直孝、彦根駅前に銅像が建つ井伊直政の次男として天正18年2月11日、西暦1590年3月16日に生まれました。井伊直政は関ヶ原の戦いで島津軍からの銃撃により重傷を負い、家康はその猛将としての地位と養生を兼ね、彦根を領地として与えた。

 井伊直政はこうした歴史から彦根藩初代藩主として、当地を統治しますが銃傷はその寿命を大きく縮め、井伊直孝は齢12にして実父を失います。しかし、井伊直孝は12にして徳川秀忠の近習を命じられます。慶長10年こと西暦1605年、秀忠は二代将軍宣下を行う。

 従五位下掃部助に叙位された井伊直孝、上野刈宿5000石の領主となり、続いて慶長15年こと1608年には上野白井藩1万石の大名に任じられます、そしてその三年後には伏見城番役となります。実兄は井伊直勝、彦根含む佐和山藩2代藩主を井伊直政から継いでいます。

 上野白井藩と順調に出世しています井伊直孝ですが、若いころには失敗も在った、それもかなり致命的な失敗で大坂冬の陣という戦場での失敗です、慶長19年こと西暦1614年の大坂冬の陣、北ノ庄藩藩主松平忠直とともに井伊直孝は会心の突撃を敵陣に加えましたが。

 真田丸の戦い。井伊直孝と松平忠直は井伊の赤備えという深紅の甲冑が威勢を盛り上げますが、同じ赤備え、武田信玄から赤備えを継承した真田信繁の偽退誘敵、つまり挑発してキルゾーンに誘い込む戦法を受け、突撃し実に500名も戦死者を出す大失態を犯します。

 真田信繁の偽退誘敵、相手があの真田だから仕方ないよね、なんていう事は一切なく、井伊直孝の攻撃を責める声が幕府内に憤然と沸上がりますが、この失態から井伊直孝を庇ったのは、誰であろうあの徳川家康その人でした。全軍に先行し攻撃精神示し士気を奮った。

 徳川家康に救われた井伊直孝は続く大坂夏の陣にて八尾若江の戦いに先鋒を命じられ、強敵長宗我部盛親を相手に藤堂高虎と共に突撃を敢行、戦勝し汚名返上を果たします。ただ、この戦いで一時は捨てたと考えた命を長らえ、遥か後の歴史的事件に立ち向かう事となる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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