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【京都幕間旅情】行願寺,洛陽三十三所観音霊場第四番札所は繁華街寺町新京極の直ぐ上に静寂

2019-01-23 20:08:42 | 写真
■霊麀山行願寺で革靴へ感謝
 寺町に在る靴のリーガルにて仕事場から演習場まで活躍する素晴らしい革靴を新調しつつふと考える機会あり。

 行願寺、京都は観光客過多といわれるところではありますが実のところ観光に訪れた方々の印象がそう言わせているのではないか、勿論知人友人と京都の名所旧跡を案内すれば満員御礼、名所休席の方は何処かと話題になってしまいますし、市バス慢性混雑も確か。

 洛陽三十三所観音霊場の第四番札所、ということで行願寺は古くから由来がある寺院でして、実際に寺の歴史は千年を越えます。新京極と地下鉄京都市役所駅前からこの寺院は徒歩五分、いや七分というと事か。しかしこの場所は何と言いますか、非常に静かなところ。

 霊麀山行願寺は京都観光ではなく古都散策、京都観光ではなく京都探訪、という云わば時間の過ごし方を考える際にお勧めできる場所といえるのかもしれません、何故ならば観光過多となっているのはお決まりの名所旧跡と其処へ駅とを結ぶ市バスの方なのですからね。

 七福神像が拝観者を迎えます行願寺、西国三十三所巡りでは六角堂頂法寺、聖徳太子ゆかりのある六角堂の次という札所でして。幽霊絵馬というものが、江戸時代後期の謂われと共に奉納されているのですが、こちらの方は残念ながら普段は一般公開されていません。

 革堂と親しまれる天台宗寺院、行願寺は常に静寂が。実は本来京都で屈指の混雑する定義を満たした場所に在ります、京都市役所から寺町通りを御所の方へ数分、寺町通竹屋町上ルは二条通を越えて指呼の立地です。寺町通りと新京極の雑踏を思い起こせば、値千金だ。

 寛弘年間の1004年まで遡る行願寺の始りは平安朝中期の僧侶行円が建立した寺院です。革堂の尊称は出家前に若き日の行円が故郷九州にて鹿に矢を射たところ、瀕死の雌鹿の傷口から小鹿が生まれる瞬間を視、生命の尊さを感じ、上京し出家した。故に革堂と云われる。

 千手観音を御本尊とする行願寺はその周りが革堂町や革堂仲之町に革堂西町といい、成程この当たりの知人が室町の頃から足袋を造り続けていたという事から下沓を含めた足袋が革製という事もあり、人々の必需品を造る際の奪う命への供養を革堂に求めたのでしょう。

 行円は皮聖と尊称されていまして、考えてみれば我々が普段革靴を愛用して仕事に余暇に旅行に家事にと恩恵を受けているこの革靴も元々は生きている牛の牛革に依る訳なのですから、霊麀山行願寺を拝観して千手観音へ首を垂れる事は、履き潰す靴への感謝ともなる。

 千手陀羅尼を唱えて諸国を苦行の旅で廻る“聖”という、考えてみれば日本における仏教の定着と神社との信仰の融合という日本独特の仏教観の支えとなる修験を行円は続け、その道中に下鴨神社の槻木を譲り受けた行円は観音像を刻み、安置した場所がこのお寺です。

 本堂は1815年の造営で、京都市指定有形文化財となっています。実はこの場所、豊臣秀吉の京都改造と共に今の府庁に近い一条北辺堂跡あたりに在った寺を寺町通りへ移したといい、個人的に聚楽第が一条北辺堂跡当りに在ったのではないかと大昔考えたりしましたね。

 寺町荒神口へ豊臣秀吉は最初に寺を移したのは天正年間の1590年、欧州ではエリザベス一世の時代です。すると本堂の1815年はナポレオンのワーテルローの戦いに近い時代ですので、時代が合わないと思われるかもしれません。実は1708年宝永の大火で焼けたのですね。

 中京区寺町通竹屋町上ル行願寺門前町、札所であり少し長めに座って巡るという印象です。寺町通り沿い、といっても所謂アーケードから少し御所へ上ったところにありまして、壮大な伽藍や幽玄な庭園といったものではなく、時間をゆったり過ごすには適した場所です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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