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【京都幕間旅情】見樹寺,軍港都市舞鶴の西舞鶴愛宕山麓には田辺城と細川幽斉所縁の寺院あり

2021-03-04 20:01:19 | 写真
■田辺藩主牧野氏菩提寺
 舞鶴と云えば昔の鎮守府、ひゅうが、あたご等数多護衛艦母港の舞鶴基地を思い浮かべますが其処は東舞鶴でありまして、一方の西舞鶴には昔からの古い町並みが広がる。

 見樹寺、けんじゅじ、と読みます。ここは舞鶴、田辺藩主牧野家の菩提寺です。舞鶴とれとれセンター、日本海の海産物はもちろん遠く北海道は小樽より北海より海の幸を新日本海フェリーにて運び並べる道の駅、お寺はその山手は愛宕山麓いや中腹に鎮座しています。

 西舞鶴駅、今では舞鶴として京都府日本海側最大の都市を形成するこの一帯かつては田辺といい、細川幽斉が1579年に田辺城を築城しました。西舞鶴駅の舞鶴警察署前には田辺城の大手門だけが復元され当時の面影を伝えますが、実はこの見樹寺と城郭はゆかりがある。

 城郭を思わせる重厚な石段の奥に山門が広がり、なるほど舞鶴の市街地を一望する小高い場所に立地しています。この城郭のような重厚な出で立ちはそれもそのはず、ここは元々田辺城、舞鶴城としても知られる、その城郭の支城として一角を形成していたためという。

 京極高三。1600年に関ヶ原の戦い勲功を以てこの地に転封されました京極氏、もともとは室町幕府開府に際し足利高氏に付き従い六波羅を攻め室町幕府樹立の功労者となった系譜の武将は隠居の際、細川幽斉所縁の寺院があります舞鶴愛宕山に庵を開くこととしました。

 愛宕山といいますと京都西方の鎮守である愛宕神社の愛宕山を思い浮かべますが、田辺城から見上げる203mの小峰である愛宕山、ここに京極高三は瑞泰寺という庵を開き、京極氏の菩提寺としました。しかし領地経営に長けた京極氏は隣の豊岡藩に転封となります。

 瑞泰寺、ここ田辺藩を受け継いだのは牧野親成、徳川秀忠の小姓として出仕し江戸書院番や京都所司代を務めた、戦国時代から太平の時代への武家政権転換期、文系武将というべき新時代の武士です。書院番などの実績が認められ関宿藩藩主、そしてここ田辺藩へ。

 京極高三の田辺との系譜は、娘婿にあたる牧野富成が田辺藩二代藩主となりまして、豊岡と田辺は親類縁者として結ばれるのですね。牧野富成は旗本の子として下総に生まれ四代将軍徳川家綱の小姓として取り立てられます。この牧野富成の時代、瑞泰寺は遷座します。

 阿弥陀如来を奉じる寺院。見樹寺として御山の山号を瑞泰寺から改めたのは牧野富成の時代であり、そしてこの遷座とともに見樹寺は牧野家の菩提寺となりました。以来、田辺藩は牧野氏が明治維新まで代々藩主を務めることとなり、この地は良政に治められたという。

 大石灯籠。見樹寺には赤穂浪士で知られる大石蔵助に縁有る石灯籠があります、これは大石蔵助の妻りく、その曾祖父横田清左衛門が寄進した灯籠、赤穂浪士の忠君を讃える意味で舞鶴では崇敬を集め、赤穂浪士から数百年、いまでは舞鶴最古の石灯籠となっています。

 細川幽斉。明智光秀の盟友です。京都は東山に室町幕府の幕臣三淵晴員の子として生まれ足利義晴を支える幕臣として名を挙げ、足利義昭将軍宣下へも尽力。この際に明智光秀と盟友となり、後に織田信長に仕えています。ただ盟友ですが本能寺の変には加わりません。

 愛宕山。見樹寺の始まりはこの山頂に細川幽斉が開いた小寺だったわけなのですが、明智光秀が本能寺の変へ出兵したのは、愛宕山の愛宕神社なのですね。光秀からの再三の参陣を求められつつ後の天王山の戦いへ中立を保った武将が、ここに山門を、なにか感慨深い。

 あたご。舞鶴といえばイージス艦あたご、海上自衛隊舞鶴基地がもっとも活況を集める昨今ではありますが、かつての広大な田辺城の一角を構成した舞鶴愛宕山麓の見樹寺へも散策の歩みを伸ばしてみますと、軍港都市の遙か昔を感じることができるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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