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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

島嶼部防衛に奄美警備隊新編へ、武田防衛副大臣が朝山奄美市長と房瀬戸内町長らと会談

2014-05-22 23:34:50 | 防衛・安全保障

◆対馬警備隊と同等の400名規模を複数配置

 朝日新聞によれば、武田防衛副大臣は南西諸島防衛に関する警備部隊新編に向け、奄美市の朝山市長と瀬戸内町の房町長らと会談を行いました。

Iimg_5138 奄美市と瀬戸内町は奄美大島にあり、防衛省は南西諸島の島嶼部防衛を強化するべく、沖縄県と鹿児島県島嶼部へ複数の警備部隊を配置するべく調整を進めており、このなかで警備部隊の誘致を進めている鹿児島県の奄美大島に対し、最初の警備部隊新編を行うべく調整を進めている、ということなのでしょう。

Mimg_5956 南西諸島への警備部隊新編と配置は中期防衛力整備計画にもり込まれていますが、当初は北海道北部に配置されているような、数十名規模の沿岸監視部隊が配置される程度ではないかと考えられてきました。しかし、今回の報道では配置される部隊は400名規模の警備部隊となる旨報道されました。

Fimg_5547 警備部隊、400名規模となりますと、福岡の第4師団隷下に置かれている対馬警備隊が400名規模で、奄美警備隊と呼称されるようになるのでしょう。対馬警備隊は本部管理中隊と普通科中隊一個を以て編成され、軽装甲機動車や81mm迫撃砲に対戦車誘導弾など装備しています。

Img_0481  一個中隊の規模では師団規模の浸透等大規模戦闘は対応できませんが、本部管理中隊を有しているため、対馬警備隊は九州からの普通科部隊が複数中隊で増援へ展開した場合、普通科連隊として運用できるよう、その指揮統制及び支援能力は普通科連隊と同等のものを有しています。

Iimg_0776 特に軽装甲機動車に加え、普通科中隊の対戦車小隊は順次中距離多目的誘導弾の配備を開始するため、射程の大きな本装備は大隊規模の着上陸程度であれば、撃破ではなく遅滞に重点を置いた場合、支援部隊が展開するまでの持久期間の防御戦闘をかなり有効的に対処できる余地があります。

Gimg_2747 ただ、空中機動部隊アンブル等の浸透を想定しますと、これはアンブル攻撃へ陸戦学会等がその阻止か撃破かについて、必要な部隊規模を提示しているのですが、その水準と警備隊の規模を比較しますとやはり能力不足で、増えん部隊を如何に展開させるかが大きな命題となるところです。

Gimg_5354 奄美大島への配置ですが、南西諸島全般に大陸側からの軍事圧力が高まっている現状があり、特に隣国が侵攻を示唆している南西諸島の尖閣諸島周辺だけを注視していても、逆に防衛上の他の空白地域を攻撃する可能性があり、この脅威へ備えるには南西諸島全域への複数部隊の配置が必要になります。

Img_3885 宮古島や石垣島といった南西諸島南部の島嶼部についても警備部隊は新編されるべく調整が進められていると考えられるのですが、理解を得られるところから、特に誘致が盛んである奄美大島に最初の警備部隊新編が本格的に進められている、というところでしょうか。

Img_17_14 一方、島嶼部防衛は繰り返しますが、警備隊の一個中隊だけで対応できるものではありません。海上航空自衛隊との連携は当然必要ですけれども、専守防衛を国是としている以上、上陸以前にこちらから戦端を開く確証は必ずしもある訳ではなく、第一撃は受けるという前提が必要となります。

Mimg_2041 このため、警備部隊は持久と遅滞に主眼が置かれることとなりますので、増援部隊を如何に展開させ、島嶼部を占拠した敵勢力を撃破する体制を構築しなければなりません。その手段として水陸両用作戦を主任務とする水陸機動団の新編に向けた調整が進められており、こちらの進展についても注視するべきでしょう。

北大路機関:はるな

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コメント (8)
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