北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

中国戦闘機が海空自衛隊機へ異常接近!南西諸島我が国飛行情報区・防空識別圏内にて

2014-05-25 23:17:46 | 国際・政治

◆その背景は?警戒飛行中のOP-3CとYS-11EAへ

 防衛省によれば、24日、東シナ海公海上において海上自衛隊機及び航空自衛隊機へ中国戦闘機が異常接近する事案がありました。

Okimg_1952 東シナ海洋上では、日中の国連海洋法条約に基づく等距離中間線を基準とした排他的経済水域の境界線を中国が一方的に無効を宣言し、更に航空管制への責任を持つ飛行情報区に沿って設定された我が国防空識別圏を中国が一方的に再設定を通告、民間航空機への飛行情報区に基づく安全運航への責任は持たないが、主権の権利は行使するという理解し難い行動を採り、日中間で緊張が高まっています。

Okimg_4424 この東シナ海公海上の我が国防空識別圏内を飛行していた海上自衛隊の画像データ収集機OP-3Cと、航空自衛隊の電子情報収集機YS-11EBに対し、中国軍の戦闘機が異常接近する、という事案があったわけです。24日1100時頃、OP-3Cへ50mまでの近距離に接近する事案が発生、続いて同日1200時頃、YS-11EBへ30mにまで接近した、とのこと。

Okimg_9111 OP-3CとYS-11EBは、現在、東シナ海で実施されている中ロ合同軍事演習へ警戒監視を行ていたものとみられますが、平時にここまで近距離に戦闘機が接近得ることは非常に危険で、併せて中国戦闘機はSu-27/30系統の戦闘機と見られ、防衛省発表では、ミサイルなどを搭載し武装していたようです。

Okimg_1402 小野寺防衛大臣は臨時記者会見において、今回の中国軍機の異常接近に対し、偶発的事故の発生につながりかねない危険な行為だ、として中国軍戦闘機の異常接近行動を厳しく批判するとともに、外交ルートを通じ中国側に厳重抗議する姿勢を示しています。

Oimg_0106 30mまでの異常接近とは、YS-11の全幅は32mですので、写真のYS-11FCとU-125FCとの距離が概ね30m程度となります。写真は航空祭での展示飛行の様子ですが、実任務中に第三国の戦闘機が、この写真の距離にまで突如接近することが、如何に意見な行為か、端的に見ることが出来るでしょう。

Oimg_4418  OP-3CとYS-11EBの任務は電子情報収集を担っています。この中でOP-3Cは速報監視画像レーダ装置SLARと長距離監視センサーLOROPを搭載、非常に遠距離からの画像情報を電子的に収集可能です。また、YS-11EBはレーダや電子戦情報等を演習などにより生じる微弱な拡散電波情報を収集する任務に当たります。

Okimg_3615 中国機の異常接近がなぜ危険かというと、2001年4月1日に海南島沖にて、米海軍のEP-3電子偵察機を挑発した中国空軍のJ-8戦闘機と空中衝突事故が発生、J-8は墜落し搭乗員が死亡、EP-3は海南島へ緊急着陸し、機体と乗員の返還を巡り米中軍事衝突の危機となりました。J-8の搭乗員は挑発を繰り返す常習者で抗議文を募るURLを米軍機に飛行中に張り紙を出すなど、凡そ近代軍の要員とは思えない行動が知られています。

Okimg_1590 今回の異常接近事案は、東シナ海海上における中国軍のプレゼンスを示そうとする行動の一環と考えられますが、海南島沖でのEP-3との衝突など過去の稚拙な行動を見ますと、中国軍の衝突も辞さないとした計画的に実施した行動であるのか、搭乗員の突発的異常行動であるかは、何分過去の異常事例があるためになんともいえません。

Okimg_0122 しかし、公海上においてこうした異常行動を我が国が放置した場合、空中衝突事故の可能性をも放置することとなり非常に危険な事となります。我が国としては厳重に抗議すると共に再発防止を促し、仮に中国側が公海上での行動を制約する措置を示唆するならば、同等の措置を我が国も採る可能性を示唆する事を含め、不測の事態を防ぐよう行動するべきでしょう。

北大路機関:はるな

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コメント (19)
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