北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成26年度国内統合訓練(実動訓練)開始、島嶼部防衛主眼に佐世保と南西諸島海域で展開

2014-05-10 21:38:34 | 防衛・安全保障

◆陸海空自衛隊1330名が参加し27日まで

 防衛省によれば本日より27日までの日程で平成26年度国内統合訓練(実動訓練)が開始されました。

Bimg_2190 平成26年度国内統合訓練(実動訓練)は、我が国島嶼部への武力攻撃が実施されたことを想定し島嶼部防衛に関わり陸海空自衛隊の統合運用に関する要領を演練する目的で実施され、主要演練事項に“着上陸作戦に関わる一連の各種行動”が掲げられていることから、島嶼部侵攻に際し奪還するまでの過程を想定しているのでしょう。

Himg_0855 訓練統裁官には掃海隊群司令岡浩海将補があたり、佐世保地区と奄美群島及び沖縄東方海域が遠州地域として展開されます。 参加部隊は陸上自衛隊が西部方面隊を中心とし人員500名を参加させ、航空機としてCH-47JA輸送ヘリコプター2機、AH-64D戦闘ヘリコプター2機、UH-60JA多用途ヘリコプター2機が参加します。

Bimg_2262 海上自衛隊は自衛艦隊を中心に人員280名と艦艇4隻を派遣、艦艇はヘリコプター搭載護衛艦くらま、イージスシステム搭載のミサイル護衛艦あしがら、掃海母艦ぶんご、輸送艦くにさき、及び搭載航空機としてSH-60J/K哨戒ヘリコプター等です。更に航空自衛隊よりF-2支援戦闘機2機が参加している、とのこと。

Jimg_6377 今回の実動訓練は参加艦艇を見ただけでもかなり本格的な水陸両用作戦を想定していることが分かります。ヘリコプター搭載護衛艦くらま、は指揮統制機能に加え航空機運用能力とともに艦砲射撃の能力が高く、着上陸部隊の支援に重要な位置づけにあるといえるもの。

Himg_1081  イージスシステム搭載のミサイル護衛艦あしがら、本艦は高度な防空能力を有し島嶼部において着上陸部隊の防空を高射特科部隊が必要な体制を構築するまで展開可能です。掃海母艦ぶんご、については上陸作戦で不可欠となる海岸線の掃海作業、これを終えないと揚陸艇が進出できない重要な要素ですが、これを担う水中処分隊の母艦としての機能が期待できます。

Gkimg_8390 輸送艦くにさき、はエアクッション揚陸艇や複合高速艇の母艦となると共に全通飛行甲板にCH-47JA輸送ヘリコプター2機、AH-64D戦闘ヘリコプター2機、UH-60JA多用途ヘリコプター2機といった参加航空機を整備し運用する母艦となるでしょう。ここに近接航空支援のF-2支援戦闘機が参加、立体揚陸作戦の必要な要件は揃えられています。

Img_3550  陸海空自衛隊の統合運用に関する要領を演練する目的、と提示されていますが、揚陸作戦とは陸海空の一体運用が不可欠であると共に、艦隊に対しては海中及び海上と航空脅威が存在し、上陸部隊へは航空支援と航空優勢確保を前提とした状況下で、実際に上陸し戦闘を展開しなければなりません。

Gimg_1175 即ち究極の統合作戦の一形態として、陸海空は島嶼部奪還の実行及び達成までに異なる任務を同時進行しなければならず、併せて相互の機能に依存し任務を展開します。海上自衛隊だけでは島嶼部の陸上戦闘は担えませんし陸上自衛隊だけでは重装備を離島に展開できない。

Img_7862  そのための調整は、一朝一夕に達成できるものでは無く、陸海空がそれぞれの最善だけを希求していては全体としての最善は確保できません。こうした意味から統合運用を念頭とした実動演習を展開する必要があり、佐世保地区と奄美群島及び沖縄東方海域、という地域を訓練区域として確保し実行することは大きな意味があると共に、我に備えあり、という姿勢を示す点でも大きな意義があるといえるでしょう。

北大路機関:はるな

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