ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#072

2019-04-05 12:00:25 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第72話『海を撃て!! ジーパン』

(1973.11.30.OA/脚本=鎌田敏夫/監督=竹林 進)

地方から修学旅行で上京した女子高生が殺害され、被害者の文通相手だった若者=加納(山西道広)に容疑がかかります。

加納は、行きつけのバーのママ(夏川 圭)が隠し持ってた拳銃を奪って逃走、ジーパン(松田優作)とシンコ(関根恵子=高橋惠子)がその行方を追いますが、ジーパンの目の前でシンコが撃たれ、重傷を負っちゃう。

加納は自分の眉間を撃ち抜いて自殺、これで事件は収束したかと思いきや、実は加納はシロで、被害者の仇をとる為に拳銃を奪ったことが判明。真犯人はシンコを撃った後、全ての罪をなすりつけるべく加納の眉間を撃ち抜いたワケです。

自分が拳銃さえ持っていれば、シンコは撃たれずに済んだかも知れない……

これまで頑なに拳銃所持を拒んで来たジーパンが、ついに拳銃を手にし、ボス(石原裕次郎)から射撃特訓を受け、真犯人に銃口を向けます。

そう、ジーパン=松田優作さんが初めてGUNアクションを披露した、これは日本のTVドラマ史上でも記念すべきエピソード。ボス=石原裕次郎さんと優作さんが並んでハイパトを撃ちまくる映像なんて、ちょっと余所では見られないスペシャル感があります。

さらに、モーターボートで逃走を謀る真犯人を追って、ジーパンが拳銃片手に突堤を全力疾走するシーンは『太陽にほえろ!』史上でも……いや、日本のアクション映画史上でも屈指の名場面と言えましょう。

シンコの負傷にうろたえ、怒りに燃えるジーパン。そして見舞いに来たジーパンからバラの花束を贈られ、本当に嬉しそうに頬を染める、パジャマ姿のシンコ。

やがて2人が婚約に至る展開への、最初の伏線になった重要作とも言えます。(ただし実際は、この時点じゃ2人をくっつけるプランはまだ無かった模様)

ついでに言えば、優作さんの盟友で後に『探偵物語』等でも共演する、山西道広さんのゲスト作でもあり、やたらと見どころが多い!

番組自体が上昇気流に乗りまくってた、当時の『太陽にほえろ!』の勢いや熱さを象徴する必見エピソードです。
 
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『はみだし刑事情熱系』2―#02

2019-04-05 00:00:20 | 刑事ドラマ'90年代









 
『はぐれ刑事純情派』の系譜に属するヒューマン刑事ドラマですが、柴田恭兵さん主演って事で、より若く、熱く、アクティブな内容で我々を楽しませてくれました。

全8シリーズの内、今回レビューするのはPART2の第2話。チョイスした理由は、たまたまBS放映されてたからですw

同じ系譜に属すると言っても、以前レビューした『はぐれ刑事~』の第1シリーズから10年近く経っており、ドラマの作り自体にかなり変化が見られます。

まず、撮影ツールがフィルムからビデオに変わってること。そして基本は1話完結ながら、主人公たちのサイドストーリーに連続性を持たせてること等が、現在の連ドラのフォーマットに近づいてます。

また、警視庁特別広域捜査隊のリーダーに扮する風吹ジュンはじめ、前田 愛、黒谷友香、加藤麻里、樹木希林と、レギュラーキャストの半数以上を女性が占めてる点が、時代の流れを如実に表してますよね。


☆第2話『復讐の婚約破棄!』

(1997.10.15.OA/脚本=尾西兼一/監督=一倉治雄)

事件の内容はもう、この際どーでもいいw

以前の記事に書いた通り、事件(被害者や犯人の心情)と刑事の心情とを半ば強引にリンクさせちゃう『太陽にほえろ!』的な作劇が、この『はみデカ』の大きな特徴であり見所だと思うんだけど、このエピソードは違ってました。

事件で描かれたのは男女の愛で、主人公の高見兵吾(柴田恭兵)が抱える問題とは質が異なるもんで、そうなると(少なくとも私は)ドラマへの興味が半減しちゃいます。

だから、メインで描かれる事件や捜査活動よりも、兵吾とその娘=みゆき(前田 愛)との「あしながおじさん」的な関係しか記憶に残りません。いや、シリーズを通して描かれる、この父娘の物語(ある種のラブストーリー)こそが、むしろ本作のメインテーマなんですね。

その証拠に、毎回ラストシーンにテロップ表示される川柳のほとんどが、みゆきに対する兵吾の想いを謳ったもの……だったような気がします。

あの川柳を毎回考えるのって、さぞ大変だった事と思います。『ゆうひが丘の総理大臣』等でもやってたけど、脚本家にとっては地獄なんじゃないでしょうか?(他に担当者がいたかも知れないけど)

それはともかく、この第2シリーズでは、みゆきの反抗期(自我の目覚め)が描かれており、先にレビューした『はぐれ刑事~』と被る要素もあったりします。

みゆきは、兵吾と玲子(風吹ジュン)との間に出来た娘なんだけど、まだ幼い内に2人が離婚してしまい、彼女は父親の顔を憶えてない。

で、警視庁に新設された広域捜査隊で、上司と部下の関係で元夫婦が再会してしまう。優秀で実直な玲子が上司(課長)で、出世の見込みが無いハミダシ刑事の兵吾が部下。

父親が自分を捨てて逃げた悪人だと思ってるみゆきは、玲子の下で働く兵吾を「親友」として認識してる。玲子も兵吾も、今さら本当のことが言えないっていう設定。

兵吾は父親を名乗りたいんだけど、みゆきが「私、一生かけて父親を憎むことにしたの」なんて言い出すもんだから、余計に何も言えなくなっちゃう。その言葉の裏には、父親への想いを断ち切って自立したいっていう、自我の目覚めがあるワケです。

そんな時期だから、母親の玲子とも何かと衝突しちゃう。些細なことで激しく口論する母娘を目撃した兵吾は、大いに気を揉むことになります。

「どうしたんだよ、いつものみゆきちゃんらしくないじゃないか」

「いつもの私って何? 大人の言いなりになってるイイ子ぶった私ってこと?」

「…………」

「私、イイ子になりたかった。お父さんいないこと、お母さん問い詰めたりしちゃ駄目だとか……お母さんと2人だから、しっかりしなきゃとか、いつも周りを気にして生きて来て……そしたら、周りからもイイ子だって見られて、だから……だからっていうか……イイ子になりたかったの。けど、それって違うんじゃないかって……」

「…………」

「だって、そうやってたら、ここ(胸)んとこにモヤモヤしたものがどんどん膨らんでくるのが、分かるんだもん……それがパチンと弾けたら……」

「…………」

「だから、私は私なんだって……自分の足で、ちゃんと立って生きて行かなきゃって。もう周りを気にしてちゃ駄目だって……そう決めたっていうか……なんか、最近ヘンだよね、私……」

「……そんなことない」

「ヘンだよ……自分でそう思うもん」

兵吾がたった一言だけ返した言葉が、以前レビューした『はぐれ刑事純情派』1―#20で安浦刑事(藤田まこと)が娘のユカ(小川範子)に返した一言「そんな事は無いさ」とほとんど同じなのが笑えますw

こんな時、父親は……っていうか、男は無力ですよね。けど、そうやって、ただ黙って聞いてあげるのが正解なのかも知れません。とにかく父親は、男は、大きな愛を持って受け止めるしか無い。このドラマはやっぱり、兵吾とみゆきのラブストーリーなんだと思います。

みゆきを演じた前田愛さんは、当時14歳。『あっぱれさんま大先生』の生徒役で注目されたジュニアアイドルだけど、『はぐれ刑事~』の小川範子さんに引けを取らない確かな演技力で、このシリーズを支えておられました。現在は中村勘九郎さんの妻にして、2児の母親。それでもまだ30台なんですね。

ちなみに第1・第2シリーズのエンディング主題歌を唄ったのは中島みゆきさん。「みゆき」っていう役名の由来かと思われます。
 
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