ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#123

2019-04-26 00:11:21 | 刑事ドラマ'70年代









 
☆第123話『孤独のゲーム』

(1974.11.22.OA/脚本=鎌田敏夫/監督=竹林 進)

天涯孤独のボス(石原裕次郎)の身を案じたテキサス(勝野 洋)が、いきつけの小料理屋の美人ママ=悠見子(佐藤友美)と引き合わせます。

悠見子は満更じゃなさそうなのに、ボスは「余計な事するな」とテキサスを叱ります。やっぱりボスはゲイなのか?w

そんな折り、連続殺人事件が起こります。殺されたのは、家族も友達もいない孤独な女性ばかり。

犯人は一係に殺人予告の電話を入れ、犯行の動機を「独りぼっちで生きててもツラいだろうから殺してやった」とうそぶきます。

やがて、殺された女性たちと結婚相談所で面識があった、やはり天涯孤独な中年男=河村(井上博一)に容疑が絞られます。

追い詰められた河村は爆弾を調達し、テレビ塔の展望台に立てこもり、またもや一係に予告電話を入れて来ます。孤独に耐えられないから、居合わせた観覧客たちと一緒に爆死してやる、と。

そんな河村に、ボスは「お前と会ってみたい」と切り返します。「俺も天涯孤独の身なんだ。お前と話がしたい」……それは勿論、ボスがゲイだからじゃなくて、現場に駆けつけるまで爆弾のスイッチを押させない、つまり時間稼ぎの措置なのですが……

そんなボスの作戦に、まんまと引っ掛かる河村がまた、哀れなんですよね。彼もやっぱり誰かと話したい、共感してくれる相手が欲しいワケです。

そして現場に駆けつけ、エレベーターで展望台に上がったボスは、今にも爆弾のスイッチを押しそうな河村に、こんな質問を投げかけます。

「河村、1つだけ聞かせてくれないか」

「なんだっ?」

「なぜ独りで生きて来た」

「えっ?」

その瞬間、ボスは愛銃=ルガーP08の引金を引き、河村を1発で射殺してしまう! 質問しておきながら、その答えを聞かずにズドン!ですよw 残酷大将=鎌田敏夫さんの描くボスは、ホントいつも、怖いぐらいに非情です。

なぜ、独りぼっちで生きて来たのか? その答えを、瞬時に返せる人間はいない事でしょう。それを計算して、ボスはあんな質問をぶつけたのか?

息絶えた河村を見下ろすボスの表情には、何とも言えない哀しみ、そして孤独が滲んでました。やっぱりボスは、河村に共感してた。あの質問は自分自身への問い掛けだったのかも知れません。

ところで、ボスとの交際を諦めた悠見子は、店を畳んで帰郷する事になりました。

「もう飽きましたもの……独りで暮らすのは」

悠見子もやはり、大都会の孤独に耐えられなかった。ボスとの出逢いに最後の希望を託してたんでしょう。

「なんで引き止めなかったんですかっ!?」

テキサスの質問は、ボスが河村に投げかけた質問と通じるものがあります。河村を射殺した事で、ボスはその答えを見つけたのかも知れません。

「俺は今まで、あまりにも多くの犯罪につき合って来た。人の憎しみや悲しみや不幸せにつき合って来た。だから、俺だけ幸せになる気持ちになれないんだよ」

「誰だって幸せになる権利はありますよ、ボス!」

「その時は、俺がデカを辞める時だ」

ボスに限らず、七曲署の刑事たちが幸せになれない、あるいは幸せの絶頂で生命を落としちゃう、その理由がボスの台詞に表れてます。

チョー生真面目でストイックな岡田チーフプロデューサーのポリシーなんですよね。岡田さんご自身が、それくらいの覚悟を持ってドラマ創りをされてたんでしょう。

だけど、ボスには家族がいる。七曲藤堂一家という、実にむさ苦しい家族が…… やっぱりゲイなのかw

悠見子を演じられた佐藤友美さんは、当時32歳。’60年代から2010年代に至るまで息長く活躍されてる女優さんで、見たことが無いと仰る方はいないでしょう。

最初にボスと良い雰囲気になった、第9話『鬼刑事の子守歌』の松岡きっこさんと、何となくタイプが似てますよね。裕次郎さんの好みなんでしょうか?
 
 
コメント
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