ハリソン君の素晴らしいブログZ

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『科捜研の女』シリーズ '99~

2019-04-29 00:00:13 | 刑事ドラマ HISTORY









 
テレビ朝日系列の木曜夜8時「木曜ミステリー」枠で、1999年秋のシーズン1から2019年現在のシーズン19まで未だ続行中の、現役刑事ドラマとしては最長寿を誇る人気シリーズ。制作はテレビ朝日&東映。

ただし話数は(シーズン毎にインターバルがあるので)200を超えたばかりと意外に少なく、『太陽にほえろ!』の全730話には遠く及ばないんだけど、それでも同一女優の単独主演作で20年超えは前人未踏、今後も恐らく誰にも破られない記録じゃないかと思います。

DNA鑑定や画像解析を駆使して犯罪を解明する「科学捜査」を初めてメインに描いた連ドラとしても画期的で、よくアメリカの大ヒットドラマ『CSI:科学捜査班』のパクリと思われがちだけど、放映スタートは『科捜研の女』 の方が1年早かったそうです。

舞台となるのは京都府警科学捜査研究所で、主人公は法医学研究員の榊マリコ(沢口靖子)。科学オタクで浮世離れしたところはあるけど、決して天才ではなく努力の人。そこに老若男女から支持される人気の秘密があるかと思われます。

マリコ以外の登場人物は20年の間にほぼ入れ替わっており、彼女がいなければ事件を解決出来ない捜査一課の良きパートナー・土門刑事(内藤剛志)が登場したのもシーズン5(『新・科捜研の女』)から。内藤さんはシーズン2から4までプロファイラーの武藤役、つまり別人として出演されており、シーズン5以降はほぼ別作品といって良いかも知れません。

作風もシーズン4まではコメディ色が強く、マリコのキャラクターもお転婆だったりオッチョコチョイだったりと、現在のあくまでストイックな感じとは随分と違ってました。

シーズン4までマリコと共に事件を解決してきた捜査一課の木場刑事に小林稔侍、科捜研の所長を佐戸井けん太、山崎 一が歴任したほか、マリコの元夫である刑事部長に渡辺いっけい、解剖医に一路真輝、草川祐馬、木場刑事の部下に伊藤裕子、小林 隆、科捜研メンバーに斉藤 暁、橋本さとし、小林千香子、羽野晶紀、長江英和、深浦加奈子etc…といった歴代キャスト陣。

シーズン5からは土門刑事が登場し、マリコの父=榊伊知郎(小野武彦)が科捜研所長に就任、その後をやはりシーズン5から別キャラとして登場した斉藤暁さんが引き継ぐほか、刑事部長に田中 健、金田明夫、本部長に津川雅彦、西田 健、管理官に戸田菜穂、土門の妹に加藤貴子、土門の部下に高橋光臣、池上季実子、科捜研メンバーに泉 政行、奥田恵梨華etc…といったキャストが加わり、シーズン8から解剖医の風丘(若村麻由美)、シーズン10から化学担当の宇佐見(風間トオル)、シーズン13から映像データ担当の亜美(山本ひかる)等、現在の科捜研を支えるメンバーたちが登場していきます。

戸田山雅司さんなど後に『相棒』シリーズも手掛けるスタッフ陣によるハイクオリティーな脚本と演出、川井憲次さんの手による爽快なテーマ曲、京都という情緒ある町の背景、そして最新鋭の科学捜査を現実よりも早く取り上げた先見性(実際、この番組を参考にして科捜研が採り入れた機材や捜査法もあるんだとか)など、様々な魅力が挙げられる本作だけど、20年以上も人気を保つ最大の要因は何と言っても、主演女優=沢口靖子さんの衰え知らずな美貌と、マリコを地でいく実直なお人柄に尽きるんじゃないかと思います。

実際、結婚はおろか浮いた話の1つも聞こえて来ない沢口さんの清廉潔白さ、誰よりも台本を読み込んで撮影に臨むというストイックさは榊マリコそのもので、それが作品自体にもリアリティーを与えてます。

そんな沢口さんに感化され、全力で彼女を支えようと頑張る共演者たちの情熱、鉄壁のチームワークがまた作品世界とリンクして、その心地好さが我々視聴者にも伝わって来るんですよね。そこに少しでも嘘が見えたら、番組が20年以上も続くことは無かったんじゃないかと思います。

初期には見られたチーム内の対立や警察上層部からの圧力、妨害などの描写がすっかり無くなったのも、それがかえって嘘っぽく見えてしまうから、なのかも知れません。

確かに、どうしても逆らえない相手や乗り越えなきゃいけない壁があった方がドラマは盛り上がるんだけど、何も仲間内のゴタゴタに限らなくたってそれは描けるワケで、昨今の刑事ドラマに必ず登場してくる「保身の為に捜査を妨害する上層部」だの「主人公を目の敵にする同僚」だのに飽き飽きし、心底から辟易してる私から見れば、そういう輩がいっさい登場しない本作の方がよっぽど新鮮だし面白いと感じます。

そんな描写が無くたって、魅力的なキャラクターと優れた脚本さえあれば面白いドラマは創られる。それを証明して見せた『科捜研の女』を、やれワンパターンだのマンネリだのと言って他のドラマ制作者たちが軽視してるとしたら、それは大間違いだと私は思います。

2019年、テレビ朝日は開局60周年記念として『科捜研の女』シーズン19を通年放映、つまり平成と令和をまたいで1年間放映することを発表し、世間を驚かせました。

NHKの大河ドラマを除いて、ゴールデンタイムに1年間放映し続ける連ドラは今や皆無で、テレビ朝日としても『暴れん坊将軍』以来20年ぶりの快挙なんだとか。

マンネリだけでそんなことが実現するワケがなく、今あらためて本作の凄さを見直すべきなんじゃないでしょうか。
 
コメント (2)
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