害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

黒っぽいアナタカラダニのオス

2009-09-27 23:02:16 | 自然観察

タカラダニ類の性別は外観から判別できないと、ダニの一般向け図書なんかにナニゲなく書いてあったりするのだけれども、もうすこし詳しくタカラダニ類の体構造などを解説してあるものを読んでみたい。
とはいうものの、図書館に文献を注文するのも面倒というか、ゼニにならねーことはいちおうアト回しなので、タカラダニ類への理解は深まるどころか混沌の度合いが酷くなっている気がする。
今年6月に此花区で採集した黒っぽいアナタカラダニの一種を、最近ようやくプレパラートにしてチョコチョコと断続的に観察中。生殖器の構造が異なる2型があったので、当然オスとメスと考えた。コンクリート好みの赤いアナタカラダニではメスしか見つからないので、ココは大きな違い。
オスの生殖器は割と大きく、キチン化した部分が多くて、立体的で複雑な構造だった。前気門類のオスの生殖器は、比較的小さくて簡単な構造のものが多いという認識だったので意外だし、どういう構造でどう動くのか全く分からないカタチだし。Balaustium_spb_male


無限にむかう銀の眼

2009-09-23 08:41:19 | 自然観察

時々だけれど、ウチの会社が駆除した各種スズメバチの巣について、ダニ類の有無を調べてみたりしている。が、相変わらずツメダニ科はみつからない。ツメダニの食物になるコナダニとかも発生してないので、捕食者がいないって当然なんだろう。むしろ、活発な群れがいる巣に全然ダニが繁殖していないコトから、ハチの巣を研究することでダニ対策のヒントとかが得られるのでは?と思ったりもする。ツメダニがみつかったツマグロスズメバチの巣の記録があるのだけれど、放棄直前とかの古い巣だったのかもしれない。

ツメダニ探索の成果の悲惨さはさておき、先日、藤井寺市で採取されたコガタスズメバチには、かなりネジレバネがくっついていた。ネジレバネを観察してみると、腹部の節間からジッと外をうかがっているような感じ。白っぽくて鈍い反射光を放つ複眼が表面から透けて見えた。ほんとにもう素晴らしい奇虫っぷりである。多分オスだと思うのだが、宿主に殺虫剤をかけてなかったら羽化してきてたかもしれない。あーもったいない!Xenos_moutonii01 

寄生されたコガタスズメバチのオスのなかに、外観が少し変なのもいた。寄生されている方の腹背面左側で、黄斑が発達していないので左右不対称にみえた。斑紋に影響が現れるような寄生のプロセスについて、しばし考えをめぐらしていたが、ムズカシすぎて頭痛がしてきたのでやめた。手に取るだけで絶望的な気分にさせられる知恵の輪を見ているカンジ。でも、蠱惑的というか、すごくトラクタービームを感じる蟲。Xenos_moutonii02 


キレイなおみあし

2009-09-20 23:58:59 | 自然観察

ビルが林立する街中だと、そこに住んでる生き物の種類なんてたかが知れていると普通は思う。でも、大阪市内の日のあたらないところには、チミモウリョウのごとく捉えどころのない生き物がウゴメいていることもあるのだ。
20年くらい前から気にかかってるムカデの一種も、そんなよく分からない存在の一つだ。
そいつは青っぽいムカデで見かけることは稀。それもほとんどの場合、踏んづけて殺された死骸だったり、ゴキブリホイホイに捕まって干からびてたりって状態で出会う。

Otostigmus_scaber018年前には、阿倍野区にあるビルの1階で、ムカデがウジャウジャ出てくるので駆除して欲しいという冗談としか思えない依頼があった。ムカデくらいの大きさの捕食者ってことになると、大量発生なんてフツーありえないから、多分ヤスデとかの間違いでしょうとかってコメントしていたが、駆除にいった同僚が持ち帰ったサンプルは間違いなくムカデだった。しかも例のナゾの青いヤツ。「コレの名前ナニ?」って同僚から聞かれて「知らん。アオムカデ科だが・・・この辺にそんなのがいるっちゅー話は聞いたことあらへん。」としか答えられなかった。しかも、そのムカデの件は、駆除がうまくいかなくって再発しまくった。結局、ビルの地下に排水漏れが生じていて、大規模な空洞(害虫地下帝国)が形成されているらしいということが判明、配管工事をやり直してやっと問題はおさまった。

先日、久しぶりに西淀川区の食品工場でナゾのムカデに再会した。粘着トラップから剥がしとって、もう一度調べてみた。体長は7cmほど、背板には微小な突起列があり、地色は暗褐色だが藍青色の光沢を持つなどの特徴をたよりに、新日本動物図鑑(北隆館)で調べると「のこばせむかで」に該当すると考えた。日本産野生生物目録(環境庁)では、「ノコバゼムカデ」と「せ」に濁点がついている。当方は、お役所の刊行物に従うというポリシーなので、ノコバゼムカデ Otostigmus scaberということにした。古い図鑑では九州南部以南から東部アジアに分布となっている。でも、図鑑編集時より50年くらいは経過しているだろうから、もはや大阪府あたりにたどり着いてても不思議はないだろうと勝手に決め付けた。光の加減ですごくキレイに見えるムカデで、特に最後歩肢のブルーとペールホワイトのツートンがキュートな感じ。Otostigmus_scaber02

頭部と背板の重なり方がオオムカデ科と逆とか。気門が丸いとか。

それにしても、多発生していた現場では何を食べていたんだろう? 今でも不思議に思う。

Otostigmus_scaber03Otostigmus_scaber04


ハライタ?

2009-09-17 18:42:00 | インポート

加古川(兵庫県高砂市)の河口干潟で遊んだ。
枯れたアシをまたしても採集してツメダニを探すという狙い。
虫捕り網でアシとかをシバキまくると、ツメダニ類が入りまくるに違いないと確信を持ってやってみたが、多数のアナタカラダニがはいっただけだった。Balaustium_sp_ashihara_3

アナタカラダニの一種は、こんなとこで出会うとは思っていなかったけど、家の周りで見かける種類と同色だが少し小型の種で、地べたの貝殻なんかでもウロウロしてて、そこらじゅうでみつかった。アナタカラダニ属の名前が分からない標本はコレで3種目だ
ヤマトヒメメダカカッコウムシもかなりいたが、必要としない昆虫なので、心の広い私はもちろん大部分をリリースした。といいたいが、ホントは吸虫管忘れてきて、ほとんどの個体が飛んで逃げただけ。
ダニとカッコウムシは、数本のフイルムケースに入れて生かしたまま持って帰った。

帰社してフィルムケースの中をのぞいてみると、カッコウムシが1個体だけひっくり返って痙攣していた。ケイレンしている個体の口がなんだか赤っぽい。近くにはアナタカラダニの脚が散らかっていた。くっちまったのかい?アンタ!Neohydnus_hozumii_2
タカラダニは目立つヤツなのに、捕食者をみかけないのは有毒?とかって思っていたが、さらに疑惑が強くなってきた。


よその国からきた水の馳男さん

2009-09-14 06:47:00 | 自然観察

Muroike むろいけ園地にトガリアメンボがいた。
木々に囲まれた一画で、池を覗き込んでいると、曇り空がうつりこんだ水面に点々と独特のシルエットが浮かんでいた。
昼の休憩時に立ち寄っただけだが、一応3個体ほど採集。このかわいらしいアメンボが、大阪府のあちこちで採集されるようになってきている外来種ということは知ってはいたものの、貴重な湿地とかが少し残っている場所での対面なのでちょっと意外。
Rhagadotarsus_kraepelini

室池では、ずうーっと昔の冬にネクイハムシ類を研究している人に連れられて、泥ん中をのたくったことがあるのだが、そのときは泥をかき回して、草の根に付着した繭を取り出していた記憶がある。寒い中でいろいろお手伝いしたが、あの時はなかなかネクイハムシが出てこなかったので珍しいのかと思っていたのに、春に行けば多数の成虫がいてショックを受けたものだった。今でもいるかどうかは知らないのだが、私が泥人形のようになって遊んでいたあたりは、現在は駐車場になってしまっている。

*お散歩コース和泉市松尾寺町の3箇所の池でもトガリアメンボ確認。去年は見つけられなかったのに。ナンデ急に。(2009年9月22日追記)