害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

ガラス・ブロック

2013-01-30 23:14:43 | 自然観察

解剖という言葉は、どこか学術的な香りがする。害虫の相談ゴトなどでおこなうムシをバラバラにする作業を、解剖というのは、チョット違うって気もする。では解体がよいかというと、これも機械ぽくてヤなカンジ。さばく・・・調理のときに用いられるこの言葉が、個人的に一番エエ感じがする。

Lasioderma_serricorne_larva_mandibl


タバコシバンムシの幼虫をさばいて、おおあごを取り出してみた。
終齢幼虫のおおあごの左側腹面からみた状態。
みたかったのは内側に生えてる数本の毛の様子。

実体顕微鏡の下にガラスシャーレの上にホールスライドガラスを重ねたものを持ってきて、ホールのところに数滴の水を垂らす。小さくて浅い水たまりにムシを放り込んで、先の細いピンセットと細い柄付き針で、目的の部分を切り分ける。
おおあごなんて硬い場所なら、少々乱暴にあつかってもよさそうだが、尖った部分が折れたりすることもあるので、結構慎重にやらないと残念なことになりがち。これが微小甲虫の交尾器なんてモノになると、さらに気が狂いそうになるくらい細かい作業が必要。

タイトルは忘れたが、なにかの昆虫学系の洋書をパラパラめくって見ているとき、ガラスのカタマリみたいなものの上で、昆虫の解剖をするみたいな絵があったような記憶がある。

気になってググってみると、イギリスの蛾類研究者のHPで昆虫用解剖台の名前が分かった。
http://www.dissectiongroup.co.uk/page38.html
「Excavated blocks」というらしい。でも、理科器具屋のカタログページだと、”Excavated glass block”とか、”Embryo Dishes”という名前で売ってるみたい。
Image1

ワシ、こんな形の灰皿ゼッタイどっかで見たことあるわ。
いっぺん、使ってみたい。多くの交尾器を、食肉工場のパートのおばちゃんのごとき鮮やかな手際でさばけるようになれたりするとウレシイ。