毎年寒い時期に、瀬戸内の海辺の海産物を扱っている工場で、悩みのタネになっていたハマベバエ。今年はなんだか少ない。
ハマベバエは小さいくせにマッチョな虫で、ライトトラップの粘着紙によっては軽々と逃げ出すことができる。歩行する力の強いコガネムシ科なら逃げ出すのもわかるが、ネバネバのうえを歩けるハエがいるなんて普通は誰も思わないだろう。
ムシポンやムシペチャなどの光誘引-粘着紙型捕虫器はそこそこに有用な機械だけど、ハマベバエに関してはあまり役に立っていない。粘着紙に捕獲された成虫は大半が逃げ出して、粘着剤にまみれたまま周囲を歩き回るため本体フレームなんかはベタベタになってしまう。
対策としてネズミ用の強力粘着シートを組み合わせて設置したりする。
ネズミを捕獲するためにたっぷり塗ってあるポリブテン(粘着剤)では、さすがにあまり逃げ出せないようで捕獲数は一気に増える。
それでも、強力粘着シートなんかに負けるものかとばかり、ポリブテンの海を彷徨してるヤツがいる!
もともと腐った海藻みたいな粘性の高い場所を好むので、普通のハエ類なら身動きできない粘着剤でもある程度行動できるのだろう。
他にも体長に個体差ありすぎとか、いくつかの有害な薬品に誘引されるなんて、不思議なところがいろいろあるハエで興味深い。
温暖化で少なくなっている種もいるようなので、ハマベバエもそんな理由で減っているのかも。しかし、例年どこの海岸で発生しているのかってこともアヤフヤだったりするので、実際のところは全く分からない。