害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

ハス池

2012-07-29 23:58:00 | 自然観察

Hasuike

信太山は自宅から近いポイントだけれども、立ち入り禁止の看板やフェンスだらけで、閉塞感さえ漂う場所なので、最近はあまり行かない。ここでタイプ標本が採集された種がいるので、現在の生息状況を探ってみたいのだけれど思案中。

それに、フェンスをくぐり抜けている生き物屋さんand自然派志向カメラマンさんぽい人も、よくみかけるけれど、自衛隊の所有地が多くて活動が制限されまくりな点もつらいところである
大規模な野焼きをしなくなって、草原がどんどんなくなっているのも残念。

信太山丘陵の端にある黒鳥山公園では、自由に観察ができるものの、肝心の酸性湿地と草原がないので、特徴的な動植物の観察には向いていない。

でも、そういう普通の昆虫や帰化植物も、観察しているといろいろと面白い。

ハス池の遊歩道は魚採りの子供達に占拠されがちだけれど、今日は静かだった。

Hasu


Orthetrum_triangulare_melania


Himetentou

Pontederia_cordata


虫屋的格差

2012-07-28 23:59:00 | 自然観察

帰宅途中の電車で、ぐったりと放心しているとケータイにメールが入った。
北海道からの暑中見舞いだ。
本年の成果の写真が添付されていた。
交尾中のマジョールねえ・・・・。
捕った後でも100%ハチだと思ったと・・・・。

去年は北海道では森林害虫っていう、大きいトラを撮って採ってたな。

フッ・・・ナカナカやるな。

私のほうは、カクムネチビヒラタムシCryptolestes pusillus を今日採集したけどな。

Cryptolestes_pusillus_01


羽化する場所

2012-07-27 23:58:00 | 自然観察

朝、会社の近くの公園がものすごくウルサイ。もう鼓膜がアタマのなかにムギューと押し込まれていきそうなほど、クマゼミの大集団から発生する音圧は大きい。
昔の大阪では、クマゼミって結構珍しくて、採集したら自慢だったのだが、なんでまたココまで増えたんだろう。


Kumazemi01


地面を見ると、クマゼミ幼虫が脱出した穴が一面に開いていて壮観だ。穴だらけになる場所も限られていて、どこにでもいるみたいにみえるけれど、好みの場所があるようだ。

Kumazemi02


セミの抜け殻を見て毎年思うけど、なぜか羽化場所が集中してしまうことがあるようだ。
2個体とか3個体とかが多いけど、最多で5個体の抜け殻が団子状態になっているのを見たことがある。
これは偶然なのか、それとも、先に羽化した個体のニオイか震動とかに引き寄せられているのだろうか?不思議。


ふ節がおかしなヒメマキムシ

2012-07-24 23:59:52 | インポート

豊岡市出石町の県道沿いでムシ採りした成果をマウントした。
クズの枯葉をビーティングしたら、1-2mmくらいの微小な甲虫がたくさん落ちてきた。
ほとんどがミジンムシ科だったが、1個体だけヒメマキムシが混じっていた。


Stephostethus_pandellei01


Stephostethus pandellei (Brisout, 1863)だと思う。7月18日採集。
変なふ節。これはオスの特徴らしい。ネットで種の検索をいくつかみつけて同定してみたが、ドイツ語だったりノルウェー語だったりで、ぐーぐる翻訳の奇天烈な日本語訳に基づいているので、信用に足るものではない。


ノミとネコ

2012-07-22 23:38:59 | 自然観察

夏の害虫では、ネコノミが最もイヤな相手である。暑い年には、何故か多くなるように思うが、今年はどうだろう。
何だか分からないものに体を咬まれて痒い、なんて話を聞いて、われわれ害虫駆除屋はノコノコと現場に赴くのだが、白い靴下を履くことだけは忘れないようにしている。

現場で靴下をみて、もしも黒い点々がくっついていれば、大阪であればソイツらは必ずネコノミだ。

ネコノミ以外の人家で問題化するノミというと、衛生害虫の専門書には、ヒトノミ、ケオプスネズミノミ、イヌノミ、メクラネズミノミ等が載っているが、キョービの大阪でそんなノミが増えているところなんて、見たこともなければ聞いたこともない。
ネコ・イヌ・タイリクイタチでみられるノミは、今やみんなネコノミだ。
実験室だとハツカネズミやドブネズミで増やせるので、屋外でも宿主になることがありそう。

驚くほど増えることがあって、お客さんと一緒に建物から走って逃げ出したことが何回かある。ネコノミの幼虫は砂とかゴミで繭をつくるので殺虫剤が効きにくいのだろう、大発生時には2~3回散布を繰り返してやっと治まるなんてことになりやすい。

ネコノミに咬まれると本当にいつまでも痛がゆい。咬まれた痕も長く残る。アヤシイ感じのキレイな若いお姉さんが何故か大勢いて、個室が多い大きな木造家屋にノミ駆除にいった時、お姉さん方がおみあしの咬み痕を見せようとするのを正視できなかったというのは、若い頃の思い出だ。最近は、自分と年が近い妙齢の主婦の方がみせようとする脚なども、視線を逸らすと失礼なので、お医者さんのごとく事務的に拝見できるようになった。

咬み痕が残るだけでなく、ネコノミは猫ひっかき症の媒介をすることもあるので、紛れもなく衛生害虫である。

伝染病といえば、ペストとケオプスネズミノミの関係が有名だが、今でもペストが治まっていない国では、ネコノミも保菌していることがあり、運搬者として疑わしいので、軽視できない防除対象らしい。ネコも保菌者になることがあって、ネコのくしゃみでペストがうつったなんて話も聞いたことがある。

ノミという昆虫をじっくり見ていると、その機能美にあふれる形態に感心する。ノミの面白さに魂を奪われて、親の身代を食いつぶした偉大な研究者がいたらしいが、気持ちは分かるような気がする。

Photo

ネコノミ(上の写真)以外のノミが増えている現場をみてみたいとおもうが、私は30年近く前にイヌノミをみたことがあるくらい。

北里柴三郎が活躍した100年くらい前の日本だと、とあるチョロッとペストがはやった田舎の港町で、ケオプスネズミノミを含む6種くらいが普通に人家から検出されていたそうだ。
北里博士はペスト退治には、猫にネズミ捕らせるのが良い方法と考えていたけれど、港町にいるテレンコパレンコしたブタ猫がネズミを捕るわけがない。そこで、インドからネズミ捕り上手な猫様を傭兵として取り寄せたらしい。それらの超ネコのその後の消息は分からないけれど、勲しや子孫の噂もないところをみると、きっと地元のブタ猫とならんで、海辺の堤防の上などでブタブタしながら幸せに暮らしたに違いないと思う。

私が子供の頃、蚊帳を入れていた大きな箱の底でネズミの御一家を見つけたことがある。玄関先に箱を移動させて、蚊帳を出したあと箱の底に残ったネズミ達をいじめていた。ネズミは鮮やかなジャンプをみせたが、箱が大き過ぎて外に出られなかった。
すると、大家さんちの猫がそっとやってきて、箱の中に飛び込んでネズミたちを瞬殺した。ネズミを食べている猫の口から、ポリポリという骨が折れているような音が響いて、とても印象的だった思い出がある。あんな手練れの猫は、今の日本には少なくなっているだろうなと思う。

将来、リスなどの森林の齧歯類から感染するパターンのペストが、もしかして日本でも流行ったりした場合、助けてくれる猫は現れるだろうか?