害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

キレイなおみあし

2009-09-20 23:58:59 | 自然観察

ビルが林立する街中だと、そこに住んでる生き物の種類なんてたかが知れていると普通は思う。でも、大阪市内の日のあたらないところには、チミモウリョウのごとく捉えどころのない生き物がウゴメいていることもあるのだ。
20年くらい前から気にかかってるムカデの一種も、そんなよく分からない存在の一つだ。
そいつは青っぽいムカデで見かけることは稀。それもほとんどの場合、踏んづけて殺された死骸だったり、ゴキブリホイホイに捕まって干からびてたりって状態で出会う。

Otostigmus_scaber018年前には、阿倍野区にあるビルの1階で、ムカデがウジャウジャ出てくるので駆除して欲しいという冗談としか思えない依頼があった。ムカデくらいの大きさの捕食者ってことになると、大量発生なんてフツーありえないから、多分ヤスデとかの間違いでしょうとかってコメントしていたが、駆除にいった同僚が持ち帰ったサンプルは間違いなくムカデだった。しかも例のナゾの青いヤツ。「コレの名前ナニ?」って同僚から聞かれて「知らん。アオムカデ科だが・・・この辺にそんなのがいるっちゅー話は聞いたことあらへん。」としか答えられなかった。しかも、そのムカデの件は、駆除がうまくいかなくって再発しまくった。結局、ビルの地下に排水漏れが生じていて、大規模な空洞(害虫地下帝国)が形成されているらしいということが判明、配管工事をやり直してやっと問題はおさまった。

先日、久しぶりに西淀川区の食品工場でナゾのムカデに再会した。粘着トラップから剥がしとって、もう一度調べてみた。体長は7cmほど、背板には微小な突起列があり、地色は暗褐色だが藍青色の光沢を持つなどの特徴をたよりに、新日本動物図鑑(北隆館)で調べると「のこばせむかで」に該当すると考えた。日本産野生生物目録(環境庁)では、「ノコバゼムカデ」と「せ」に濁点がついている。当方は、お役所の刊行物に従うというポリシーなので、ノコバゼムカデ Otostigmus scaberということにした。古い図鑑では九州南部以南から東部アジアに分布となっている。でも、図鑑編集時より50年くらいは経過しているだろうから、もはや大阪府あたりにたどり着いてても不思議はないだろうと勝手に決め付けた。光の加減ですごくキレイに見えるムカデで、特に最後歩肢のブルーとペールホワイトのツートンがキュートな感じ。Otostigmus_scaber02

頭部と背板の重なり方がオオムカデ科と逆とか。気門が丸いとか。

それにしても、多発生していた現場では何を食べていたんだろう? 今でも不思議に思う。

Otostigmus_scaber03Otostigmus_scaber04