64ビット版Windouws7に、以前から使用しているソフトがインストール可能かどうか知りたくて、息子のパソコンに無断であれこれコッソリと放り込んでみた(スマン)。
長く使用するあまりに、他の製品に移れないってソフトというのがいくつかあるのだ。Paint Shop Pro 7は古いし、PhotoshopCS5とは比較にならないくらい機能が低いが、軽いことだけが取り柄。インストール後に動かしてみたが印刷機能のあれこれを除けば、概ね問題ないみたい。
PSP7が使えなったりすると本当に困る。写真を撮影した後にごちゃごちゃとデジタル加工しまくるというのは、対象物の自然さをどんどん損ねるような気もするが、コレはコレで必要なことだと思う。とはいえ、いろいろヤリすぎると何が何だか分からなくなってくる。
実体顕微鏡の接眼部にデジカメを押しつけて撮影しただけの、対象物の位置がガタガタの写真を6枚使用して、CombineZPで焦点合成をして、PSP7で地道にケラレなどを修正してみた。CZPも64ビット版で動作しているが、ちょっとスケールの付加とかやり出すとプログラムが停止してしまった。どこかを調整するとうまくいくのかも知れないがよく分からない。こうして、どうしょうもない写真が、デジタルの力で何とか見られるようになった。
標本は、三田市で先週採集してきたササの枯れ茎から出てきた体長約1.3mm(吻を含めず)の微小なゾウムシ。
九州大学学術情報リポジトリで文献*をありがたくダウンロードさせて頂くなどしつつ、絵合わせしたりして考え込んでみたところ、チビハナゾウムシ Anthonomus minor Kojima et Morimoto と判断した。
*参考文献)Kojima H., Morimoto K. Taxonomic study of the subfamily Anthonominae from Japan (Coleoptera, Curculionidae) ,Esakia. 1994. Vol. 34. P. 147-186.
光学製品関係の話題としては、本年最大というか、今までの人生最大の衝撃を受けているいってもいいくらいなのが、来年に「市販」される予定の全焦点カメラのことである。
「ライトフィールドカメラ(Lytro社)」という、すごさがゼンゼン感じられない商品名だけど、撮影した後にパソコンでピントを自由に制御できるという製品。
どこにでもピントが合うって、それがどうしたの?トイザらスで売ってる固定焦点カメラと何が違うの?という無関心派も多いことだろう。
でも、このニュースに触れて、このカメラが契機になってあらゆる写真に革命が起こるかも!と興奮している人も結構いると思う。
日本のカメラメーカーだったら、レンズの高速制御を利用した焦点合成ソフト内蔵のコンデジなんかを売り出すかもしれないと勝手に予想していたが、ライトフィールドカメラはそんな小手先のモノでは無い。
従来の写真というものは、銀塩であれデジタルであれ、レンズを通った光を二次元的に記録するけど、新しいシステムはコレとは違って、マイクロレンズ・アレイという複眼みたいなもので三次元的な情報を記録できるというものらしい。
もっと偉そうに説明したいのだけれど、懇切丁寧に解説しているYoutube画像などをみてても、おっさんには正直なところ全然分かりまへん。
発売される予定のライトフィールドカメラの外観と値段($399!)から想像すると、標本撮影の用途に使用できるかどうかは怪しいモノだとは思う。従来の撮像素子との単純な比較はできないし、発売予定の製品は何メガピクセル相当なのか全く不明だけれど、解像度についてはたいしたことなさそう。写真1枚当たりのファイルサイズは20MB前後になるようだ。
けれども、マイクロレンズ・アレイってものは、対象物から得られる光学情報をもとにピントを合成する事だけではなく、解像度も現像ソフトで超高解像度にできる可能性があるのだ。
撮影した写真を、ピントや解像度を含めてソフト次第でどうにでもできるってことになると、カメラにはシャッターと補助光源くらいしかいらなくなるということで、とんでもない革命だと思う。当然、焦点合成などは、お茶の子さいさいってことになってしまうだろう。
1回シャッター切るだけで、昆虫標本のすべての場所にピントが合っているカメラができたら、少々高くても購入する昆虫研究者はかなりいると思う。しかも野外の手持ち撮影でもOKとなれば、自然を愛好するカメラおじさんホイホイの商品となることは請け合いだ。
ショボい写真しか撮れないようにみえるマイクロレンズ・アレイの記事をみてて思ったが、昆虫の複眼も固定焦点で解像度低いって、よく言われているけれど実際はどうなんだろう?実は想像以上に鮮明に見えていて、距離の計測も精密にできているとか?
超簡単なフリーソフトのCombineZPでも、位置合わせの操作を忘れると、こんな芸術的(?)な画像になってしまう。昆虫標本の焦点合成写真もあと5,6年もすれば、もう複数枚の写真とかいらなくなって、CZPとかPhotoshopとか不要ってことになるかもしれない。
グーグルのトップページをみると、今日はキューリー夫人だった。ラジウムといえば、昭和40年頃、我が家の押し入れには謎の発光する塗料があったことを急に思い出した。ラジウムかどうかは分からないが、あれは放射性物質だったに違いない。
ウルシの缶が並んでいる棚に小さな瓶があって、それはいつも怪しげな光を弱々しく放っていたのだ。蓄光では無く、いつみても光っていた。それは釣り道具のウキに使用するものだったけど、いつの間にか捨てられていた。たぶん今頃はどこかの埋め立て地に眠っていることだろう。
ラジウムが発見されて間もない頃は、平気で化粧品や歯磨き粉、子供のオモチャにふんだんに使用されていたらしい。その後、放射性物質がヤバイ物という認識が巷に普及したのちにも、時計の文字盤や趣味の世界ではかなり使用されていたのだ。原発事故以来、放射性物質に過敏な人が多いが、そんな我が国でも、ちょっと前までは放射性物質なんて普通に販売されていたりしてたわけである。
古典SF小説にもラジウムがカッコいいアイテムとして出てくるのがある。バロウズの火星シリーズだ。
ラジウムの照明器具に、ラジウムの銃弾などなど。
生意気な中学生の頃は、あまりに通俗的でご都合主義すぎる話の展開に、強い憤りを感じて途中で読書をやめてしまった記憶がある。
なんと驚いたことに、その火星シリーズが「ジョン・カーター」なるタイトルでディズニーの映画として来年には観られるらしい。今度は多分最後まで話につきあえるだろう。楽しみにしていよう。でも多分ラジウムは出てこないだろう。一糸まとわぬ美女の設定も変更されるに違いない。
火星の緑色人種が手が2対で足が1対という設定とかにも、生物好きとして何気にイラっときたものだったが、昆虫と一緒なんだと思っていれば許せる存在であったかも知れない。
写真は火星人では無く、生まれて間もないクリイロチャタテの幼虫。
乾燥気味な場所だと、頭部より胸+腹部の方が短くなってなんとも不思議な可愛いさを感じる。