移転しました。
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このブログは、夜中にもうろうと生きもののコトを書いていたが、思ったより結構長く続いた。
検索してみると、日本では自分の記事しか出てこない種もあったりで、超マイナー指向は何故か楽しい。
訪問者数も、生きもの系ブログとしては他を圧倒する少なさを誇っている。
今後も、ぽつりぽつりとやくたいもないことを書き綴っていきたい。
長らく無料でネット上に流してくれていたOCNさんにはありがとうといいたい。
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コクロヒゲブトハネカクシが発生していた建物に、もう一度行く機会があった。
殺虫処理をしていたので、生き残っているハネカクシはいなかった。
もちろん、生き残っていたらお客さんから怒られるだけだが。
ゴミ置場に転がっていたハエのサナギを拾ってみると、ヘンな位置に穴が開いて内部が汚れているものが少なくなかった。ハネカクシの所行かどうかは不明。ヒロズキンバエの囲蛹と思われる。
ヒロズキンバエの成虫はこんなヤツ。オオセンチコガネとかだと多くの虫好きが魅了されるのだから、もっとキンバエ類も評価されるべき。
ヒゲブトハネカクシの同定はムズカシイと思うけれど、腐肉に集まる虫はどれもこれも、名前調べが一筋縄にいかない。シデムシ類なんかも意外にムズい。
キンバエ類だって、どれも同じように見えるけれどたくさん種類がいる。環境の違いで、生息する種が違ったりするらしい。
キンバエ類の多様性とヒゲブトハネカクシの多様性はなにやら関連があるみたいで、昨年も台湾でそのあたりの可能性を示唆した論文が出ているらしい。
さらに面白くなっていきそうな様子。
職場の標本箱になぜかナカアカヒゲブトハネカクシ Aleochara curtulaと思われる個体(神戸市須磨区産)があったので観察してみた。
「ヒゲブトハネカクシ形態図解」というキーワードでネット検索すると、美しい全体図とか交尾器の写真が閲覧できる。そのサイトで絵合わせすることで、同じ種だと確信をもった。
中央片の先端が、釣り針の先みたいなカタチ。
標本を見ているウチに、前回の記事で使用していた論文の検索表だと、区別しにくいんじゃないかと思えてきた。第8背板後縁のへこみとか触角の色とか・・・微妙だ。標本を見慣れたら使えるかもなんて検索なら敵わないけれど、やっぱり交尾器の特徴のように明確なところが示してあると、水難の途中に足が底にふれたように安心できる。
仕事納めの昨日は、例年通りワヤクチャな一日であった。でも一応、各方面への提出物はなんとか終えることができた。
年内終了を求められていた業務を、ぎりぎりになって処理せざるを得なかったお客さんたちには、毎年のコトながら申し訳ないとしかいいようがない。
忙しいときに限って、込み入ったことが重なる。
朝は、現場報告書作成用として複数台購入したノートパソコンの周りに、同僚たちが集まっていた。長年親しんできたWindows XPとも、ついに愛別離苦を余儀なくされ、Windows8と悲壮なる対峙をする城オジたちの顔は暗く陰っていた。
私は新OSのことなど全然知らないくせに、知ったかぶりしながら扱い方を説明した。ホントに『ういんどうずエート?』やねえ、などと場を和ませようと試みたがモチロン誰も表情すら変えない。
タイルたらチャームたらゆーのがでるたびに、驚いてパソコンから手を離す我々は、キューブリックの映画のモノリスに集まる猿人のごとき有様であった。
いかなるものにも、人間は慣れることができると信じるが、先は長いような気がする。
事務の方でも、年賀状の住所録が消去されているという恐るべき陥穽に足止めをくっていた。バックアップも空ファイルで上書きされているという念の入りよう。EasyRecoveryなどでハードディスクをサルベージしてみるヒマなんて、もはや誰にもない。このタイミングで信じられないテロ行為をした人物は判明しているのだが、社内の誰も文句を言えない地位にいる。
新人の事務員さんが、超速のタイピングで入力しなおしていたが、外出したので結果がどうなったのか知らない。
今日もまだ、仕事で現場を走り回っている同僚がいる。介護施設の厨房で黙々とゴキブリ駆除したり、天井裏にイタチが入り込まないように隙間ふさぎしたり、吹きさらしの造成地で震えながら防蟻工事したりってところだろう。残念ながら、われわれの業種は、世間より心からの敬意を集める位置に列せられているわけでは決してないということもあり、本年の業務はいろいろな意味でシンドイことも多かったと思う。でも、多分そのうちになにかイイコトもあるだろう。よいお年を。
なにかと忙しくてすさんでいるヒトが多い年末だが、バイトで慌ただしいウチの娘も心の中で相当なにかの闇を抱えているのか、コタツの上に痛々しい小麦粉粘土が置いてあった。
近所の竪穴式住居跡まで散歩にいった。弥生時代には窯があったらしく、そこら中から土器のカケラが出てくる場所。
今は申し訳程度に残っているコナラの林も、往事には周囲に漠々と広がり、窯に使用する薪を豊富に供給していたことだろう。
住居の名残をとどめているという場所は、現在は円い窪地でしかないけれど、ちゃんと草刈りとかされていて、ある程度の予算が投じられて維持されていることが分かる。
私が小学生の頃は周囲に住宅など無く、虫採りによく通っていた場所でもある。
現在も虫採りビトが狩りにくることがあるようで、忘れ物らしき道具が転がっていた。
住居跡の縁にクロナガアリの巣があった。このアリの巣の深さは数mになるらしいのだが、掘って調べてみたことなどはない。働きアリが懸命にイネ科雑草の種を運んでいる様子をみていると、なんらかの大義名分でもない限り、巣を破壊しようというのは少なからずためらいがある。ガラでも無いが。
だいいち管理されている遺跡で、勝手に穴なんか掘るという行為は、どんな大義名分も通るワケもない。
新聞に「『蟻を捕ってただけ』盗掘容疑で男逮捕」などという見出しが躍ることを想像してしまった。理科にカンムリワシをどうとかいう諺もあったように思うので、わが身にあらぬ疑いがおよばないようにその場を立ち去った。
それにしてもと思う。
クロナガアリの巣に溜め込まれた貯蔵品は、湿度が高そうな土の中にあるわけだが、ダニがわいたりしないのだろうか?
人間の貯蔵庫だと、コナダニ類とかその捕食者のツメダニなんかがゴチャゴチャ増えてくるものだが・・・・。
ダニが問題にならないとすれば、その保存法は・・・・。
やっぱ掘る→自粛→掘る→自粛→(永久ループ)
ケナガコナダニ属 Tyrophagus のダニは、あっという間に増える。
近頃は住宅で問題になる事例が減ったが、今でも、のっぴきならない事情で急設されたコンクリート住宅などでは、畳にカビが生じたあとにケナガコナダニが現れる。
私は、納品されたときの畳に非はないと考えているので、尻ぬぐいを押しつけられがちな畳屋さんには同情を禁じ得ない。
この問題は、建物の工期、住まう人の生活方法、湿気に弱い床材や内装材といった要因が不幸な出会い方をしたということにつきる。
住宅内でみられるケナガコナダニ属は、いくつかの種が報告されているが、私はケナガコナダニTyrophagus putrescentiae 以外の種を確認したことはない。
同定が困難な近似種がいくつかあって、文献を読んでもよく分からない。分類学の世界にも「バカの壁」というものが存在していて、私に越えられない線がありそうな気がする。
ちなみに職場で飼育している個体群は、25年前に某大手製薬会社から分与された由緒正しいもの。当時に作成したガムクロ封入標本は、今見直すとやはり長期保存はできないという悪い見本となっていた。結晶世界・・・。
あっという間に増えるという属性は、調べる上で標本に不自由しないという利点もあるが、野外のダニ類を調べるとき、室内にいるダニと混じったりしないかという心配のタネにもなる。
野外からの採集品、たとえばハチの廃巣や、枯れ草などを室内に保管して、コナダニ類を集めるときは、「実験汚染」に十分に注意しなければいけない。ケナガコナダニは室内塵などで普通に検出されるので、カビの生えた資料を保管して観察していると、いつの間にやら部屋の隅にいたヤツが、飼育容器に侵入してしまい大発生なんてことが起こりがち。
そこで、容易に外部からダニ類がやってきて、採集品で増えたりしないように工夫が必要になる。
小さなものであれば、ビニール袋に入れて口を堅く縛っておけばいい。
大きなものを保管するときは、二重容器を準備して中箱と外箱の間に水を浅く流し込み、中性洗剤を数滴混ぜておくというやり方もある。
こうしておくことで、野外からの採集物からコナダニが現れた場合は野外種と考えることができる。
最近頂いたオオスズメバチの廃巣のケナガコナダニは、この辺の配慮がされていなかったので悩むところだが、どう考えても野外で増殖していたという気がするので標本を作って確認中。
ケナガコナダニの文献を渉猟中、学名の経緯を確認するために古文書が保管されてる
Biodiversity Heritage Libraryのサイトものぞいてみた。
1781年にケナガコナダニT. putrescentiaeを記載したSchrankという方の図版は、ものすごくテキトーだ。とても画力が高かった人らしいが、見えてないモノをムリに描いているフシがある。もーなんかまるで分からない生き物だ。
時代が時代なんだからしょうがないだろうけど、さらに古い時代の1693年に、レーウェンフックが、家のなかには何かワカランが変なのがいるなーって面白がって描いたスケッチは、驚くほどリアルでどうみてもケナガコナダニっぽい。
黎明期の顕微鏡は意外とよく見えたらしい。多分、Schrankはレーウェンフックの顕微鏡を使っていないのだろう。もしも記載に、もっと細密な図版が残されていれば、後世の分類学的な混乱は幾分マシになっていたに違いない。
Schrankさんの英語版ウィキに載っているお顔は、あまり親しみが持てない。
https://en.wikipedia.org/wiki/Franz_von_Paula_Schrank
「ワシの絵を見て分からんヤツは説明しても分からんわっ!」なんていってそう。