四つの目

ここのところ寒い日が続く。朝の室内温度は10度に達してない。夏は暑くて死ぬとかいっていたが、冬も寒くてツライ。
カビを食べる昆虫やダニのなかには、冬でも平気な連中がいる。コタツの上を粉のようなナゾの微小生物が動いている、とかってニクダニ類の電話相談がくるのもこの季節。
事務所で飼育中というか閉じ込めて放置中のムシにも、低温にめげず動いている種類がいくつかいる。
ムナビロヒメマキムシDienerella costulata の容器をのぞいてみると、成虫が歩き回って交尾をしたり、幼虫がカビの草原で食事中などと普通に活動していた。
ヒメマキムシはカビの胞子だらけで写真うつりが悪い。なので動画ならムシの輪郭が背景と区別しやすくなるかもと思いビデオ撮影してみた。

・・・ちっとも、分かりやすくないな。またつまらぬゴミ動画をつくってしまった。
きれいにクリーニングして、形を整えて撮影するのがイチバンなんだろうけど。

容器内から死骸を取り出して、成虫の目を観察してみた。一つの目には個眼が５個と書いてある文献があるのだが、拡大してみると個眼が４つしかないようにみえる。実体顕微鏡では中央にも1つあるように見えるけど、拡大してみると黒っぽくて表面に毛の生えたコブのような形態。受光器官が埋まってて黒く見えるというパターンでもないと思う。
こんな目で何をどう見ているのだろう？はるか昔のＮＨＫの科学番組に「四つの目」というのがあった・・・まったく関係ないが。

見分けが厄介な近似種のイトヒメマキムシD. filiformis の方はみたことがないけど、個眼が２個だそうで、かろうじて複眼とか。

ツメダニ拾い

食品工場においた昆虫調査用の小型粘着板に、ツメダニが捕獲されていることがある。

昨年12月に、同僚がトラップの捕獲個体を同定中に、「メクソ？」とかいいながら粘着剤から取り出してくれたのは、チョット変わったツメダニだった。ポリブテンにくっついて死んで乾燥しているダニを、バラバラにならないように取り出すのはとても難しい根気のいる作業。ダニにまとわりついている粘着剤をキシレンで気長に溶解させてから、乳酸で漬物にしておくと比較的透明度の高い標本になる。ってことで長いこと放置しておかないとうまくいかないので、普通はゴキブリホイホイなんかにくっついてるダニなどは同定しない。

メクソ（メクセケレス属の勝手な略称）かもといわれて前処理中だった個体を、年が明けてからプレパラートにしてみると、みたことのない種だった。
まず目につく変わった点は、頭の方の先の大きなツメの歯だ。非常に独特な形状の発達した歯がみられた。大きな扇状の胴背毛、胴背毛の付け根が盛り上がっているところ、脚の毛の生え方などから、Volginの線画と絵合わせでCheyletia papillifera と決定した。採れた場所は大阪府東部の建物の１階で、大型冷蔵庫があって、夏場は結露による水溜りなんかができているような環境である。ヨーロッパでも室内塵などから出てくる種らしい。新年早々お初に見ることができた属なので、なんだかメデタイ。

初詣

新年早々、ＤＶＤだの動画ファイルだのを鑑賞しまくり。観るヒマがなかったのでだいぶ溜まってた。最近のほとんどのＳＦ映画は、ＣＧが素晴らしいのにナゼか感動がなかった。観る側も感性がだいぶ風化してるけど。

古い作品のほうにセンス・オブ・ワンダーの香りを感じるのは、懐古趣味なんだろうか。モノクロ映像ＳＦドラマのアウター・リミッツなどは、最初見たときは小学生だったので内容をほとんど忘れているが、虫ネタもあったりするので引き込まれる。昔のアメリカの俳優さんは演技が本気だ。
アニメは、YouTubeで懐かしいバクシの「Wizards」をみつけて、「ナウシカ」や「千と千尋」とのかすかな共通点をあげつらってみたり。

テレビやパソコンにかじりついてると不健康な感じ。ちょっと初詣にお出かけすることにした。

子供らの宿題をみてるとき、その無知の深さにおののいたので、神様に何とかしてもらおうと大阪天満宮を目指して出発。だが神社到着後に、学業のお守りが一つ3000円もすることが判明！！
やっぱりオマエラ自分らでテキトーになんとかしろやって方針に急遽変更。
お守りの売れ行きはすごかったが、境内の片隅のウシの人気はイマイチのよう。

＊商店街で目つきの悪いテントウムシ？発見。