害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

軟体動物系昆虫

2008-01-26 23:40:00 | 自然観察

神戸市北区のとある住宅街で仕事。何軒かの一般家屋を調査して、写真をたくさん撮ったが虫がまったくいないシーンばかり。しがらみの仕事で、虫害がまったく無い家を調査しないといけない状況で、んでもって虫はいませんでしたよ、と報告するだけである。途轍もなくツマラナイので、昼休みに住宅街の外れで、虫を探した。いきなり、マツの切り株から出てきたのはアリノスアブの一種の幼虫。

アリノスアブの幼虫は、アリの巣で見つかるのが普通だが、冬季の朽ち木でたまに見かけるときは、何故か周囲にアリがいないことがある。今日もまったく見当たらない。掘り出してしまったからには、お持ち帰りせざるをえない。虫なんてものは皆、どこか変な生き物だが、アリノスアブの幼虫の「変」な度合いはかなり飛びぬけているように思う。

どこからどう見てもウミウシとかヒザラガイみたいな海生動物を連想させる。私的には、スゲー珍しい昆虫というほどでも無いが、リクエストされて必ず採集できる自信もまったく無い。

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コケから転がり落ちる難問

2008-01-22 23:55:00 | 自然観察

先日採集した和泉市のマルグンバイを科博に送って、名前が分かった。ミヤモトマルグンバイ Acalypta miyamotoi だった(忙しい中、時間を割いて同定してくださったT先生に多謝!)。この仲間は、個体群内での変異や、雌雄の形態差もかなりあるので分類は一筋縄ではいかないとのこと。他地域の翅端の翅室の列数が乱れている個体群をみていると、何がなんだか分からなくなっていたのだが、やはり専門家でないと難しいグループなのだと改めて感じた。

なんだか他の昆虫でも、この手の話題はいままでに聞いたことがあるような気がする。明確な区別点と思われているものが、標本が集まるにしたがってムニャムニャな感じになっていって、分類学者が再びスパッと線引きし直すまでは、分かる人がとても少ない状態なグループって結構あると思う。

そういえば、同じように冬にコケから採れるシコクチビマルトゲムシっていうチビコイ虫も、分類的に複雑な問題がいろいろあるらしい。
写真は四條畷市の室池付近で昨日採集した個体。
シコクチビマルトゲムシのことをいろいろ調べていると、文献にまたもやT先生の名前が!ああ、やっぱりコケつながりの虫は、研究してる人が少ないんやなー。多分、これらの難問がスッキリするのはまだまだ先のことに違いない。Simplocariashikokensis_2


思い込みのツボ

2008-01-18 23:58:00 | インポート

子供の頃から、昆虫のことを見たり調べたりしていると、自分の中に昆虫についての常識っていうのが変に出来上がってしまっている。やっかいなことに、この常識はなかなか修正が難しい。
一昨日、私のところに後輩君がケータイの画像を見せに来た。アシナガバチが巣にくっついているようだがハッキリとしない写真である。場所は東大阪市西側の住宅街。「冬になるとアシナガバチは巣から居なくなるって聞きましたが、これは何でしょう?」
「生きてるかどうか確認した?」「いいえ。」「じゃあ、働きバチの死骸がくっついているだけやろ。」「はあ・・・。」
しばらくすると、別の後輩君が同じ巣の写真を見せてくれた。今度はデジカメで撮影しているので、もっと鮮明。「・・・生きてるみたいやね・・・」「ちゃんと動いてましたよ」
どの個体も巣房に頭から身体を突っ込んで、オシリを出したままになっている。こんな状態で越冬することがあるなんてぜんぜん知らなかった。
冬のアシナガバチの巣の問い合わせの電話には、「ハチはもういませんから、自分で落としてください」と答えてきたが、例外もあるということで対応を改めなければ。昨日は、問題の巣を事務所まで持ってきてくれたが、セグロアシナガバチの新女王と思われる雌が10個体くっついていた。02
冬のアシナガバチというと、樹皮の下や天井裏で冬越ししているのを見た経験があるだけに、巣にとどまったまま冬越しなんてことは無いだろうと頑強に信じていた。
物事を柔軟に捉えようと努力はするのだが、「思いこみ」をなくすことは困難だ。このあたりは、別に昆虫の知識だけに関した話でもないけれど。バカの壁ってヤツか。そういえば、正月に和泉市の大規模小売店内で見た個体もセグロアシナガバチのような気がする。この冬の大阪のセグロアシナガバチは、行動がおかしい個体が多いのだろうか?際立った暖冬という感じもしないのだが。

Polistes_jokahamae

巣は事務所の寒いところにおいて、経過を見てみるつもり。


増え続ける疑問と減り続ける自然

2008-01-15 23:57:17 | 自然観察

和泉市松尾寺町でマルグンバイの一種 Acalypta sp. を採集した。シノブゴケの一種らしいコケを、本年1月14日に採集して、金属篩(28メッシュくらいの小麦粉用市販品)で篩別すると、3♀を得た。Izumi01_2

ものすごく昔に、保育社の原色日本昆虫図鑑(下)の図版をみて以来、地元で採集してみようと長らく考えていたが、ようやく採集できた。しかし、図鑑のとちょっと形態が違う。翅縁先端側の脈室が2列になってるあたりが変。でも、地域変異や個体変異があるそうなので、Acalypta sauteriでよいのかも。他にもいくつか近隣地域で別種が採集されているし、文献もないので同定は保留しておこう。マルグンバイ類はいろいろな標本を見れば見るほど混乱してくる。

Thuidiaceaeこの虫がくっついていたコケは、森林を切り拓いて公園にしているところの近くにあった。コケをむしって持ち帰るのは、景観をそこねるのであまりやりたくないのだが、どうせ放っておいても芝地に整備されるだけなので、頂いて帰った。ジメジメしたところは、水捌けを良くして明るく風通しのよい気持ちのよい公園になるようだ。役に立たない自然は減る一方というのも、寂しい限りである。

夜寝るときに、娘が小学校の授業で仕入れてきた薀蓄を自慢げに聞かせてくれた。

「ニホンオオカミってなあ、センキュウヒャクゴ年に滅びてんやって。最後の一匹は奈良県におったんやけどな。オスやったんやって。知ってた?」

「いや・・・そんなに詳しくは・・・覚えてないわ。」

「先生がゆうてたけど、ニンゲンは野生動物にいっぱいひどい事してきたから、しまいに、ニンゲンもえらい目にあうんとちゃうかって。ニンゲンに未来はある?」

割り算できないくせに時々難しいことをいいよる。

「ニンゲンは賢いから大丈夫!! でも、恐竜ほどは長く持たないかも・・・」 


正月休み終了

2008-01-06 22:08:38 | 自然観察

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しないといけないことは多かったが、つまらないことばかりで休日が浪費されてしまった。面白がってスライドショーなんか作っている場合ではゼンゼン無いのだけど。投稿用の図版もゼンゼン進んでないやん。