害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

アヤシイモノの魅力

2007-11-18 23:13:00 | 自然観察

今日はとても寒かった。自然観察のお出かけはせずに、写真の整理などをした。凍結した崖を、ガシガシ削って昆虫採集した若い頃もあったのだが、最近はてんで駄目である。というわけで一週間前の金剛山の写真から、気になったものを数点。

Densatsu まずは楠南荘の近くの自然林に佇む電撃殺虫器。いったい何の害虫をターゲットにしているのだろう。ターゲットはひょっとしたら虫屋かもしれない。「こんなもんがあったら、お座敷採集できんやんけ!」といいながら、むさくるしい+部屋で虫の死骸を並べたりする+時には部屋に朽木を持ち込んだりする奴らを、宿に近づけない護符としての機能を期待している可能性がある。電殺の取り付け位置の考察というのは、害虫屋の業務の一つであるが、こんな所への設置を薦めた同業者がいるのならチョット会って話を聞いてみたい気がする。

Girl01 葛木神社の看板の女の子。全国的に神社で散見される子で、私はひそかにフランソワーヌと呼んでいる。他神社のものと違い、ずいぶん色あせている。ロリータ的な絵は、山岳の信仰の地とものすごくミスマッチだ。あ。ロリといえば、原作者のナボコフの論文をつい最近読んだけど、すごく格調高いチョウ(ヒメシジミ)の分類に関する研究だった。文学でも成功して、昆虫の分類でもちゃんとした業績を残せるとは偉人やなー。

昆虫の分類といえば、昨日届いたELYTRAはスゴイ論文が多かったが、ルリクワガタの新種で採集地が秘密というものすごい論文があった。タイプロカリティの記述がないって!?

なんかもう、ルリ関係は前からちょっとな・・・。どう考えても納得のいかないコルリの亜種問題とか・・・いや、こんなブログで素人が語ることではない。とにかく、コルリちゃんは、昔好きだったが今じゃ手の届かない彼女って感じ。


白頭掻ケバ更ニ短ク

2007-11-16 11:26:00 | 自然観察

近年めっきりテッペンが薄くなってきた。家族からは「ハゲオヤジ」とかいわれるし。だいたい、なんでヒトは変なところに毛が残っているのだろう。偉大なるデズモンド・モリスだって、この辺はなんだかヘンチクリンな説を書いていたような気がする。私が思うには、ヒトが体毛を失った霊長類なら、ハゲは全き者ものへの正しい道のりではないか。ジジィになってもフサフサしているのは退行的ということになる。にもかかわらず、なんで近所の薬局では特売の「リアップ」が午前中に売切れてしまうのか。貧乏で退行したいオヤジがそんなに多いのか!!

ヨメの妹から、ハゲの父親に悪いことをしたという友人の話を聞いたことがある。子供のためにも見てくれを回復するために、思い切ってカツラを買った父親は、変身した姿を娘たちに見せた。すると、娘たちは大泣きしてしまった。「いや・・・なんかね。パパがパパでなくなってしもうたのがショックでね・・・」と小さい頃の思い出を語っていたそうだ。その後、彼女の父親はまったく変身していないとのことである。・・・やはり、無駄なことはするべきではないという教訓やな。

甲虫なんかだと、ツルツルの種が好まれたりする。先日採集したカグヤヒメキクイゾウムシなんぞは、みっともない毛なんかは皆無である。タケから出てくるので、和名に「かぐや姫」が付いているようである。付節のあたりが検索キーの一つになっているので拡大してみた。多くの種がある日本産キクイゾウムシのなかにあって、森本先生が「美しい」と表現されている2種のうちの一つである。*

私的には他のキクイゾウムシと際立った美しさは感じないが、求道者のみにわかる美がきっとあるに違いない。そういえば、どことなくかぐや姫に・・・・ゼンゼン見えませんけど・・・。

このゾウムシをみていると、ツルピカになったジジィだって、美しいと評価されるようなシーンが、今後の人生にあるかもしれないなどと思う。希望を捨てずに生きていかねば。

Pseudocossonusbrevitarsis

*参考文献は、家屋害虫2,1988年発行,井上書院。 


目は未だ死んじゃぁいねェ

2007-11-13 23:28:00 | 自然観察

自発的な昆虫採集でも、やっている本人が楽しいのかどうなのかわからないことがあるが、人に頼まれたりして、必要に迫られてする昆虫採集は、どう考えても楽しくない。近所の林の中を歩きながら、リクエストされたアリの一種を探していると、違う種類のアリばかりでてくる。メダケや枯れ枝を割っているとそのうち出てくるだろうと簡単に引き受けたが、罪も無いナワヨツボシオオアリやらウメマツオオアリの巣を壊すばかりで、目的の普通種はゼンゼン採れない。ハイイロヤハズカミキリの幼虫なども出てくる。あー、もうやめた!カミキリ幼虫は野鳥にプレゼントするのであまり心は痛まないが、アリはなんだかかわいそうな気がする(ヒイキか?)。気温が低くなる一方の今時分に、壊したアリのコロニーが新たに冬越しの場所を見つけるのは大変に違いない。間違えて、取り出したアリを観察用に持って帰る余裕もない。

アリ採りは飽きたので、写真撮りでもしようとぶらぶらしていると、歩道の真ん中から睨みつけてくるヤツがいた。誰かに踏まれたのか、ボロボロのオオスズメバチが前足を挙げて振っていた。右にいくと右を向く。左に通り過ぎようとすると左を向く。プルプル震えながらまだ戦えることをアピールしているようだ。止めを刺してやろうと思ったがやめて通り過ぎた。振り返るとまだこっちを向いて足を振っていた。Vespamandarinia