微小甲虫は面白いのだけれど、分類するとなるとお手上げなグループが多い。甲虫とは結構長いことつきあってはいるが、ほとんどの科について深く知ることも無く現在に至っている。とうてい分かるはずもないけれど、何とかならないかなと思って、少しずつ情報を集めながら、分類について長いこと考えをめぐらせている種が、私の標本箱にはいくつかある。そんな個人的Xファイルな種には、とても目立つ種もあるがほとんどは1~2mmの微小種だ。
2009年8月に兵庫県豊岡市の市街地でライトトラップにきた微小種1個体は、付節の数が前脚から後脚まで全部4節(図鑑の表現だと4-4-4)で、触角の球桿(「きゅうかん」急に太くなっている節)は4節と、いろいろなところが4なムシ。背面からみると、さやばねの後ろから暗色の腹部後端がはみ出して見えている。これは、長らくなんだか分からなかった。
面構えがゴミムシダマシ科だが、付節の数が変で腹面からみた印象も他の科のような雰囲気があった。ホソヒラタムシ科?とかコキノコムシ科?とか悩んだあげく、American Beetlesの検索表をみると、ゴミムシダマシ科に付節が4-4-4のMyrmechixenusという属がいると、検索の最初の方にあるではないか!
保育社の甲虫図鑑3巻にも、よく読めば「稀に4-4-4」とか書いてあった。
付節の数が合わないからゴミダマと違うと思い込んでいたのだ。
Bugguideで調べるとよく似た種がみつかった。↓
http://bugguide.net/node/view/407027
北米の種は、家の周りや庭園、川のほとりなどにいて、稀な種ではない(Fall,1901)らしい。
豊岡市で見られた種は、Myrmechixenus sp. として扱うことにした。今年2011年9月にも大阪市東成区で1個体捕獲された。今のところ、室内にいたのか野外にいたのかということも不明で、生息場所については何の手がかりもない状態である。
参考文献:
Aalbu, R. L., C. A. Triplehorn, J. M. Campbell, K. W. Brown, R. Somerby & D. B. Thomas. 2002.
106. Tenebrionidae, pp. 463-509. in Volume 2 of Arnett, R. et al. American Beetles. CRC press, New York.
Fall, H. C., 1901. List of the Coleoptera of Southern California, with notes on habits and distribution and descriptions of new species. Occasional Papers of the California Academy of Sciences, 8: 1-282.
(www.archive.org/stream/listofcoleoptera00fall/listofcoleoptera00fall_djvu.txt)