昨年、キホリハナバチが柱を加害している現場で、孔道の中からマダラカツオブシムシ属の幼虫を数個体採集した。それらは、持ち帰ったあとに世代交代を繰り返して増えてきたので、名前を調べてみようと思った。
マダラカツオブシムシ属はとても区別が難しいけれど、世界的に問題になる貯穀害虫が含まれている。そのためかなり詳しい解説があったりする。
詳しく記述されていても、容易に同定できるとは限らないけれど。
まず、比較するための標本を集めようとするあたりで、おもいっきり頓挫する。似たような種がかなりいるようなのだが、それらはいったいドコで採集できるのかちっとも分からない。
大きな港の埠頭倉庫街などには何種類か生息していそうだが、そんなところにいっても途方に暮れるだけなのは目に見えている。いいマダラカツオがアルヨと物陰から手招きしてくれるような人もいそうにない。
仕方ないのでインターネットで入手可能な資料だけをたよりに同定を試みた。
関連文献は多く見つかるけれど、以下の2編はものすごく参考になった。
1. Banks, H.J. 1994. Illustrated identification keys for Trogoderma granarium, T. glabrum, T. inclusum and T. variabile (Coleoptera: Dermestidae) and other Trogoderma associated with stored products.
CSIRO Division of Entomology Technical Paper, No. 32. Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation, Canberra. 66 pp.
https://publications.csiro.au/rpr/search の検索欄に「Illustrated Trogoderma」の2語を入れて検索かけるとでてくる。こんな貴重な文献が無料で使えるなんて!シーサイロ様、ホントにありがとう。
CSIRO Division of Entomology Technical Paper, No. 32. Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation, Canberra. 66 pp.
https://publications.csiro.au/rpr/search の検索欄に「Illustrated Trogoderma」の2語を入れて検索かけるとでてくる。こんな貴重な文献が無料で使えるなんて!シーサイロ様、ホントにありがとう。
2. ISPM 27:診断プロトコル 草稿 DP X: ヒメアカカツオブシムシ
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https://www.contact.maff.go.jp/maff/form/pdf/6ka.pdf
写真がキレイ。いちおう日本語、機械くさいけど。高度に専門的な記述というものを読んでいると、それが日本語だろうが英語だろうが、読み手のスキルが低いと理解できる程度は結局同じなんだと実感できる。
幼虫の脱皮殻を使ったり、オスの交尾器を調べたりしてキマダラカツオブシムシ Trogoderma variabile と判断した。
*7月4日追記 ヒメマダラカツオブシムシ T. inclusum に訂正。頭部をちゃんと見てなかった・・・。
*7月4日追記 ヒメマダラカツオブシムシ T. inclusum に訂正。頭部をちゃんと見てなかった・・・。
成虫の触角
雄の交尾器
幼虫の脱皮殻 頭部(矢印位置あたりに上咽頭あり)
上咽頭の先端感覚器の微細突起は6個
幼虫脱皮殻の触角
幼虫に乾燥昆虫死骸をあげてて気がついたが、飼育容器に何個体か投入したクシヒゲマルヒラタドロムシのオスが1年経ってもゼンゼンかじられていなかった。
このヒラタドロムシを大量に集めて、衣類の防虫剤をつくれないだろうか?
このヒラタドロムシを大量に集めて、衣類の防虫剤をつくれないだろうか?