虫の全体的な形状をためつすがめつしながら、図鑑の図版で絵合わせしながら名前を調べるのは、けっこう好きな作業だ。
ところが、もう少し踏み込んで調べようとすると、交尾器の観察という細かい作業が待ち構えていることがある。これは細かい作業が嫌いな人間には苦行でしかない。ていうか虫の名前をお気楽に調べだして、最終的に実体顕微鏡下で虫の死骸を長時間コネコネしまくってる自分の状況を省みると、楽しいピクニックに出かけたはずなのに、暗くて茫漠とした沼地に迷い込んで果てるみたいな感慨にとらわれることが多い。
カシヒメチャタテの交尾器を取り出してみた。文献どおりのカタチだけれど、1940年代に描かれた図をみて、どんな実体顕微鏡使えばそんなとこまで見えんねんと恐れおののいた。
プレパラートにする前は、元の立体的な形態を保っていたけれど、カバーガラスをかぶせた途端につぶれて、新種ですか?って形になってしまった。