害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

ちまちまな作業

2010-09-29 23:26:16 | 自然観察

虫の全体的な形状をためつすがめつしながら、図鑑の図版で絵合わせしながら名前を調べるのは、けっこう好きな作業だ。
ところが、もう少し踏み込んで調べようとすると、交尾器の観察という細かい作業が待ち構えていることがある。これは細かい作業が嫌いな人間には苦行でしかない。ていうか虫の名前をお気楽に調べだして、最終的に実体顕微鏡下で虫の死骸を長時間コネコネしまくってる自分の状況を省みると、楽しいピクニックに出かけたはずなのに、暗くて茫漠とした沼地に迷い込んで果てるみたいな感慨にとらわれることが多い。

カシヒメチャタテの交尾器を取り出してみた。文献どおりのカタチだけれど、1940年代に描かれた図をみて、どんな実体顕微鏡使えばそんなとこまで見えんねんと恐れおののいた。Lachesilla_quercus_genitalia01
プレパラートにする前は、元の立体的な形態を保っていたけれど、カバーガラスをかぶせた途端につぶれて、新種ですか?って形になってしまった。Lachesilla_quercus_genitalia02


へなちょこにみえるけど優占種だったり

2010-09-17 23:02:33 | 自然観察

Lachesilla_quercus

大阪府のある建物内で撮影したカシヒメチャタテ Lachesilla quercus。
今のコンデジの性能は大したものだ。現場で2mm弱の虫をだいたいの特徴がつかめる程度に記録することができる。リコーのCX1は良いカメラじゃのーと感心していると、店頭に並んでいるのはいつの間にかCX4とかで、果てしなく時代に取り残されていくのだった。

あとウスイロチャタテの一種 Ectopsocus sp. (E. briggsi?)も多発生しているところをみかけるが、害虫解説本によく載っているヒメチャタテLachesilla pedicularia の多発生現場には遭遇したことがない。
現場ではチャタテムシ対策って結構なウェイトを占めているのだけれど、チャタテムシ目の文献が少ないのがツライ。よくみるとカワイイ虫なので、そのうちに研究する人が怒涛のごとく増えると信じたい。


不明ハリアリ群飛

2010-09-15 22:17:10 | 自然観察

アリの駆除とかを仕事でしているが、アリの相談はよく分からないことも多い。
先日のご相談は寝室の照明の常夜灯(夜寝るときに真っ暗だとコワいから点けるヤツ)を点灯して寝ていたら、朝、照明器具の真下に羽アリの大群がいたというもの。
オオハリアリのオスを小柄にしたような外観で、種類は分からない。
トゲズネハリアリかなと考えたりもするが、有翅虫を含むコロニー標本なんてわずかな種類しか持ってないので同定のしようがない。Ponerinae_sp

確かに大群だったけど、全部オスだった。害はないのでほうっておきましょう、また飛んでくるようならもう一度お電話ください、と返事した。今のところ連絡がないところをみると、やはり一時的な現象だったのだろう。

食品工場でも、コンクリート床の亀裂から小型のハリアリ亜科(このときはメスの有翅虫)が大量に出てきたことがあったけれど、なんでこんなとこからでてくんの?何食べてんの?さっぱりワカラン、で未解決なことがあった。

高度に防塵対策された医薬品工場の内部で、小型ハリアリ有翅虫だけが10数匹見つかったりってこともあった。これも迷宮入り。

同業者に聞いてみるとそんなことがあるってコトを知ってる人もいるのだが、クスリかけてしまえば面倒無しってことで、つっ込んで調べようとしない点は我が社と同様である。


バグだらけ

2010-09-12 19:55:41 | 自然観察

トコジラミが、ここのところ害虫駆除業界ではよく話題になっている。いろいろと薬剤感受性データが発表されてきたが、思ってた以上に最悪な害虫みたいだ。
豆炭コタツや氷式冷蔵庫を子供時代に使用したことがある私だが、本種が日本の主要都市で蔓延していた頃の状況はさすがに知らない。知りたくもないけど、知ることになる日がくるかも。

ウチの会社でも、トコジラミ駆除は頭の痛い仕事だ。
宿泊施設における本種の対策は、普通ひっそりとおこなわれ、時間をかけて本腰入れて駆除することが少ない。特殊な宿泊施設になると、大人の事情で駆除作業そのものが困難なケースもある。ということで甘い対応になってしまうことが多いのだ。

ニューヨークでも数年前からだんだんとエライことになっている。
「NY州が「トコジラミ情報公開法」、被害急増に対応」CNN.co.jp

http://www.cnn.co.jp/usa/30000033.html
Bedbugs News
http://topics.nytimes.com/top/reference/timestopics/subjects/b/bedbugs/index.html

これからの季節、郊外の食品工場で害虫屋を悩ますのは、マルカメムシMegacopta punctatissima だけれど、こちらのほうも最近アメリカで近縁種のタイワンマルカメムシ Megacopta cribraria が恐ろしい勢いで増加しているらしい。アメリカの研究者としては、この2種のことは近縁種っていうか形態学的には区別できんと考えているみたい。ネットで見る写真では、私には色合い的にただのマルカメムシにしかみえないが・・・。今年の10月頃までにはどこまで拡大するのか心配。
定着してしまうとアメリカの食品工場でも苦労するところが出てくるかもしれない。

ふと思ったが、関西の食品工場で悩んでいるマルカメムシに、タイワンマルカメムシが混じってるということはないのだろうか?今まで同定しようなんて思ってもみなかったが、これからはちょっと標本とかつくって置いておこうと思う。

とりあえず今日、近所の公園で採集したのは普通のマルカメムシと思う。

Megacopta_punctatissima


電脳日々混乱

2010-09-11 23:58:32 | 日記・エッセイ・コラム

会社のパソコンどもは、毎日のようにトラブルをかわりばんこに発生させて人間どもをおちょくっている。Myoffice_lan

・社長のパソコンAが共有プリンタBを動かそうとすると、プリンターが接続されているパソコンが「原因不明のシステムエラー」などの表示とともに、かならずハングアップする。他のパソコンではそんなコトは起きない。プリンタが止まったままになり、仕事にナラネーと皆からブーイング。
解決策:プリンタの双方向通信をオフにする。

・LAN(Labyrinthine Anti-order Network)の通信速度が遅い。現場から持ち帰った工事写真を、サーバーとして使用しているパソコンに保存しようとするとモノゴッツイ時間がかかる。読みに行く場合も、サムネイルの表示に時間がかかりまくる。100BASE-TXなのになんでじゃああああ!ネットワークアダプタのドライバー更新もやったのに改善されず。
解決策:日本橋でバッファロー製980円の超小型無線子機を購入してデスクトップパソコンに装着。そーするとクライアント側からのサムネイル表示がものすごく速くなり快適。なぜ無線のほうが早い?ありえん!と死んだ魚の目で子機をみつめるLANケーブル敷設工事担当の社員。「いっしょけんめいに取り付けた線は廃止と・・・」