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害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

ハライタ?

2009-09-17 18:42:00 | インポート

加古川(兵庫県高砂市)の河口干潟で遊んだ。
枯れたアシをまたしても採集してツメダニを探すという狙い。
虫捕り網でアシとかをシバキまくると、ツメダニ類が入りまくるに違いないと確信を持ってやってみたが、多数のアナタカラダニがはいっただけだった。Balaustium_sp_ashihara_3

アナタカラダニの一種は、こんなとこで出会うとは思っていなかったけど、家の周りで見かける種類と同色だが少し小型の種で、地べたの貝殻なんかでもウロウロしてて、そこらじゅうでみつかった。アナタカラダニ属の名前が分からない標本はコレで3種目だ
ヤマトヒメメダカカッコウムシもかなりいたが、必要としない昆虫なので、心の広い私はもちろん大部分をリリースした。といいたいが、ホントは吸虫管忘れてきて、ほとんどの個体が飛んで逃げただけ。
ダニとカッコウムシは、数本のフイルムケースに入れて生かしたまま持って帰った。

帰社してフィルムケースの中をのぞいてみると、カッコウムシが1個体だけひっくり返って痙攣していた。ケイレンしている個体の口がなんだか赤っぽい。近くにはアナタカラダニの脚が散らかっていた。くっちまったのかい?アンタ!Neohydnus_hozumii_2
タカラダニは目立つヤツなのに、捕食者をみかけないのは有毒?とかって思っていたが、さらに疑惑が強くなってきた。


盗み寄生

2009-08-09 23:59:00 | インポート

Promachus_yesonicus シオヤアブがモンスズメバチを捕食していた。
モンスズメバチは運動能力が高く、セミなどの大型のムシを狩るのが得意だ。なのにシオヤアブに負けてるなんてどういうことなんだろう。背後から不意を襲われたんだろうけど、最初の一撃を失敗してたらシオヤアブが解体されてただろう。
あんたら、どっちもスゴイわ。

強烈なファイター達に見とれていると、モンスズメバチの胸部のあたりを小さなハエが歩き回っていた。
写真にはうつっていないけど、たぶんクロコバエ科の一種と思う。
捕食されている獲物の体液などを食べているのだろう。こういうのは盗み寄生というらしい。

思い出話だが、デジカメとかない時代にアマミハンミョウの写真を沢山撮ったことがある。旅から帰って、プリントしてみるとすべてとてつもなくブレまくっていた。撮影時は夕方ってこともあったが・・・・。で奇妙なコトにその時気がついた。どのハンミョウの頭部にも必ず小さなハエがちょこんと何匹か乗っかっていたのだ。でもハッキリ写っていなかったのでなんだか分からなかった。今から思えばあれもクロコバエ科だったのかもしれない。ムシを毒ビンに放り込むことばっかり考えていると、面白いことを結構見逃しているのかもしれないと、チョット思ったものだった。

昨日、八戸ノ里公園でツクツクボウシが鳴いていた。この声聞くと、夏季休暇と全然縁がないのに、今でもまだ、えっもう夏休み残り少ない?って反射的にアセる。


結界が守っているもの

2009-07-04 23:49:49 | インポート

山地帯につくられた宗教の結界。宗教なんてのは科学同様に、もっともらしかったりワケが分からなかったりするのだが、結界がもたらす明瞭な効果として、自然が残っているということは誰しもが認めるだろう。
結界により形成されるのは浄刹という空間だそうで、「女人ならびに牛馬」とか「村民全部」を段階的に進入禁止にしてしまうというキマリ事が昔はあったらしい。今でも少し残っているところがあるけど。
結界をめぐって宗教は、人間の際限なく拡大しようとする経済活動と、何百年ものあいだ争ってきたらしい。餓鬼やら悪神だのから善男善女を守るものが結界だと、なんとなく思っていたのだが、宗教が本当に締め出したかったのは人の欲だったりするわけだ。

先日仕事をした京都市左京区の山中も結界の中だったので、自然の豊かさをたっぷり感じた。オオセンチコガネが沢山飛んでいたが、最近はこの虫を見ると反射的に自分のズボンとかにマダニ類が付着していないか点検してしまう。
そのときに建物の中の畳の上から採集したカツオブシムシのペアを、本日検鏡してみた。やけに発育不良のヒメカツオブシムシやなと採集時は思っていたが、みたことのない種類だった。触角球棹3節で、後脚付節第1節より第2節のほうが顕著に長いことなどから、Attagenus sp. としておく。Attagenus_sp

そういえばこのあたりは、モモブトカミキリの一種とかホタルモドキの類とかで、タイプ標本だけしか採集されてないなんてのがいた気もする。
ムシを知りたいというのも、ヒトの勝手な欲望なのかもしれない。虫屋の欲望の目から逃れることができる神秘の結界が、ココの密かなムシ達にはあるのだろうか?
丑寅のかどからおとなう虫屋に、このカツオブシムシ君は捕まってしまったということになるな。スマン。


A Manual of Acarology

2009-05-29 23:53:48 | インポート

A Manual of Acarology

注文してから、半年かかってやっと先日届いたダニの本。
ダニを勉強するのなら、読んどかんとアカンやろとは思っていたが、ずーと買えずにいたので、第3版を入手できてものすごく嬉しい。
新しい知識に触れるとき、新しい紙のニオイとセットだと幸福感もひとしおだ。

野外のダニを調べる気はぜんぜん無かったのだが、こんな本を読むと吸虫管もって会社から脱出したくなる。

東大阪市産アナタカラダニの一種は、我が社の入り口付近ではかなり個体数が減少してきた。すぐ近くに大量にいるカタバミハダニを襲う様子もない。Balaustiumって他のダニをよく食べるとか、ある鱗翅目昆虫の個体数に影響を与えているとか海外論文に書いてあるが、日本で見られる種とイメージが合わない話ばかり。背中の穴から汁出すってマジか?

Balaustium_sp 


PCO業界はミツバチと共生できないか?

2009-04-29 23:59:00 | インポート

花に来ているミツバチをみてるとしぐさがとてもカワイイ。ミツバチを扱った生物学的研究はたくさんあるが、みててなごむという要因が人を惹きつけているように思える。
害虫駆除業界では、こんなカワイイ虫を害虫として処理しなければならないのが悲しい。やっぱり、家の天井板から蜂蜜が止めどもなくしたたり落ちてきて、「らっきー!」と喜ぶ人はいないみたいだ。
対処法としては、掃除機で吸引除去、殺虫剤で駆除、毒餌で気長に滅ぼすなどのムゴたらしいやり方が一般的な選択肢ということになっている。
私が害虫屋になりたての遥かな昔は、奇特な養蜂業者の方が一匹も殺すことなく群れごと連れ去っていくなんて芸当をみせてくれてたこともあった。
普通、街中で問題になるのは、ほとんどが養蜂が難しいとされているニホンミツバチだ。それに、衛生管理されていない群れってこともあって、ただでさえ忙しい養蜂業者が相手にしてくれることは今時ないだろう。
でも昨今は、ミツバチの減少が大きな問題になってきている。かたや守ろうとして様々な取り組みがなされているのに、害虫駆除業界は相変わらず殺すことだけを考えている。


ちょっと考えたのだが、ミツバチは保護すべき昆虫ということで、駆除禁止令をお役所に出してもらうってのはどうだろう。そのうえで、ミツバチたちを建物から郊外に引っ越しさせる仕事については税金でまかなってもらうと。そうなれば、この不景気な折に、ムシごときの駆除で市民が不意な出費に苦しめられることもなくなるし、近郊の農業にも多少は寄与することになるだろう。建物の構造上、巣にアプローチできないこともあるという技術的問題なんかも、魅力的な巣箱を用意すれば何とかなりそうな気もする。

ウチの家の周りには、ヨウシュミツバチがすごく沢山いるということに、今日はじめて気がついた。ミカン山が近くに多いせいかも。アインシュタインがいったとかいわないとかのミツバチと人類に関する不安な予言は、ウチの近所に関しては今のところ大丈夫っぽい。Apis_mellifera3