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害虫屋の雑記帳(ブログ人の保存版)

ブログ人のサービス停止に伴い、gooに過去記事を保管させてもらうことにした。

北海道のフトカミキリモドキ族の一種

2011-02-02 00:32:30 | インポート

ここのところ、雪に関する悪いニュースが続くが、北海道に住んでる友人も、豪雪でいろいろ困っているらしい。おかげでムシの整理がはかどるなんていってるくらいだから、まあたぶん大丈夫なんだろうけど。
でいろいろ雑甲虫を送ってもらったりとか・・・。

Asclerini_gen_sp
北海道では普通種でも、大阪にはいない微小甲虫なんかをもらうととてもウレシイ。そんななかに混じっていた大きなカミキリモドキは、ちょっと変わってるなと思った。見たことない斑紋パターンのフトカミキリモドキ族の種だ。江差町柳崎において、2007年8月7日に海岸の流木の下で採集した由。
北海道にはあまり行ったことがないので、だいたいどんな虫がいるかって事も知らないけれど、こんなデカイⅢ巻ムシが普通にいるとはとても思えない。
おおあご先端は左右とも二又でなく普通、小あごひげ先端は斧状。Alloxacis sp. と同定してみた。けれど、付節のツメ基部には少しの角ばりしかなくて、四角っぽく見えるあたりがピッタリこない感じ。この属は、海岸の流木で採集されることが多いらしい。北米の近縁属との関連も気になるところ。北米用の検索を使うと、なんかOxacisなんてのにいきついてしまうんスけど・・・。絵合わせではやっぱりAlloxacisにしたい。

海岸で材割とか結構やっているつもりだけれど、Alloxacisなんて自力採集したことがない。たまに出てくるのはツマグロカミキリモドキだったりする。
それに、流木下でとれる種なんて狙おうって気になるようなキレイで大きな海岸なんぞ、私が住んでいる南大阪から気軽に行ける範囲にありゃしない。
カミキリモドキは、害虫といえる種もいるので関心があるけれど種類はあまり集まらない。
グーグルマップのストリートビューで、江差町の海岸をみてみた。とてもさみしい感じの道路をたどっていくと、道端を元気に歩いている人がいてなんかホッとした。夏に、こんなところでノンビリとカミキリモドキを探してみたいものだ。

なんにせよ虫多き春が待ち遠しい。

Yanagizaki_esashicho


シュレディンガーのカメムシ

2010-08-27 23:03:00 | インポート

残暑厳しい中を仕事で走り回る日々が続く。まあ、だいたい毎年、バテたり、気合度計20くらいだったり、壊れて高笑いしたりな夏だが、今年は特に暑さがキビシくてキッつい感じだ。

神戸市北区郊外の道端でランチタイム中、竹やぶにいってみると、襲いかかってくる蚊は元気が薄い様子で、数も少なかった。虫にとってもツライ夏なのだろう。
タケの稈の表面に、コガシラコバネナガカメムシの成虫が歩いていた。
こういう様子は初めてみるが、内部の空洞でナニがおこっているのかは知る由もないことである。やっぱり暑いのだろうかコイツラも?

タケを切れば中の様子がわかるが、切ってみて成虫や幼虫が大量にでてきた場合は、どーすんねんコレという状態になってしまう。

外から観察できない場所にいる昆虫の日常を知ろうとするコトと、シュレディンガーの猫のコトを考えながらカメムシを眺めてみた。

ますます、頭が暑さにヤラレてきたようなので今回は採集しないことにした。Pirkimerus_japonicus


ゆかりなきムシ

2010-06-28 23:55:00 | インポート

兵庫県南部にある海岸。仕事の訪問先の近くだが、なかなか魅力的な磯である。昼食時の40分間ほどの時間を虫捕りタイムとした。海浜性のゴミムシを狙ってみたが結果は散々。
岩場の間隙に堆積している海藻やゴミを取り除くと、予想外にゴミムシやらなんやらがでてきた。3mm以下のものについては、必然的に持って帰ってからのお楽しみになってしまう。目が悪い者は幸いである。その場で採集するものはすべて珍しいものと思えるから。

イソジョウカイモドキは、前に訪れたときみたいに沢山いなくて、♂を1個体みつけただけだが、他にも磯ならではの種がいるに相違ないと期待が高まった。
コガネムシの死骸もやたらと目に付いた。ヒメコガネ、ハンノヒメコガネ、クリイロコガネなどが打ち上げられていた。中には息がある個体もいて、ナゼ海辺にゴミのように打ち上げられているのかが分からない。

Armatocillenus_yokohamae シたちを持ち帰って、実体顕微鏡で覗いてみるとゲンナリした。特に海浜性とはいえない種が大半だったからである。まあキバナガミズギワゴミムシは普通種といえどもカッコいいし海浜性の種といえるから許そう。
でも、なんで海藻の下にヒラタキイロチビゴミムシがいるのだろう?採集したときは見たことない種やん!と思ってしまった。Trechus_ephippiatus_4
アタマでっかちの茶色いハネカクシをフジツボの間で見つけたときなどは、あの阪口図鑑にでてる奇虫かもなんてチラッとかんがえてしまったが、ヨシ原なんかによくいるセスジハネカクシの一種だった。
結局、近くの川から流れ出たゴミが漂着した場所で、大喜びしながら吸虫管で普通種を磯のムシと思い込んで採集しまくったという切ない状況と考える。


やわらかササラダニ(コナダニ風)

2010-04-02 23:43:40 | インポート

以前に、ササラダニ不明種とラベルした標本を再度同定してみた。Ctenacarus_araneola_adult Ctenacarus_araneola_siriken

室内塵から時々出てくるのだけれど、科も分からなかった種。
和室のちょっと古いめの畳から検出されることが多い。
実体顕微鏡でみると、変なコナダニみたいにみえて検査者を悩ます。
日本産土壌動物検索図説で絵合わせしてみると、どうみてもシリケンダニ Ctenacarus araneola (Grandjean, 1932)にしかみえない。オシリに両刃の剣状の剛毛が1対あるなんて種は、他に載っていない。だけど、絵解き検索でたどってみると、爪が3本という特徴があるため、シリケンダニ科(爪が2本)にいき着けない。
でも、ササラダニの仲間には、同一種でも爪の数に変異があったりする種がいる。ということはシリケンダニでもよさそうだ。室内で見つかる個体群は爪が3本なのかも知れない。

ちょっと形態の異なる若虫もしばしばみられるのだけれども、同一種と思う。

World Oribatida catalog (http://www.ucm.es/info/zoo/Artropodos/Catalogo.pdf) によると、同属でC. foliisetosus Bulanova-Zachvatkina, 1980というのがロシアやヨーロッパにいるらしいが、その種の資料は手にはいらなかった。
結論として、C. araneolaは、熱帯から亜熱帯に分布する種とされていることも合わないし、爪が一致しないので、シリケンダニの一種 Ctenacarus sp.としておこう。
まあ、最近の家屋の中は亜熱帯って感じなのだけれど。

Ctenacarus_araneola_nymph

*標本データ
シリケンダニの一種成虫 Ctenacarus sp.
 大阪府和泉市1992年8月、和室の畳

シリケンダニ上科の一種 Ctenacaroideaの若虫(上の種と同一種と思うがAphelacaridaeと比較していないので科の決定は保留。決定には飼育が必要だろう。)
 大阪府大阪市1988年7月、和室の畳


電子情報の奥の細道

2010-03-07 22:49:38 | インポート

先週から今日にかけて、息子からPSPを借りて、なんやかやと弄ってみた。
ブラウザがはいってるので、各種資料のリーダーとして使えそうと思い、FirefoxのScrapBookで取り込んだダニ用語集*を表示させてみたりした。

Glossary *Glossary of Acarine Terms
A work in progress (c) David Evans Walter 2005


光学顕微鏡の横に置いて、ダニの勉強をするには良い感じだったが、仕事場にゲーム機を持ち込むと、やはり周囲の目は冷ややかだった。私のすることのすべてにおいて、社内のみんながヒキまくりなので今更どうということはないのだが。

PDFはそのままでは読めないのでHTMLに変換して、メモステに放り込んでみた。結構、使える感じ。近頃の電車の中では、携帯ゲーム機を覗き込んでいるオッサンなんぞ極めて普通種なので、キショク悪いダニやムシの絵のついたコピーの束をめくっているよりは周囲の精神衛生にやさしいかもしれない。
CFW使うと走らせることができる、PSP用PDFリーダーもあるそう。でもウチのは最近購入した機種なので、CFWが使用できずダークサイドに踏み込めないみたい。

今日は返却期日なので息子に返したが、「なんか俺のPSPにヘンなもんがいっぱいやん・・・・」とうかない顔をしていた。