神戸市北区有野町の枯れ草から分離されたのは、ダニやらミジンムシやらムクゲキノコムシばっかり。なかでもコナダニ団のヒポプスの多さは驚くばかりで、受け皿の落下物の大部分を占めていた。コンビニの小さな袋一つ分の枯れ草から、軽く数万個体は発生していたと思う。
集めた微小な生き物たちをシャーレに入れて観察していると、小さなチャタテムシみたいなのが、ダニの間でジッとしているところに目が止まった。
体長約0.8mm、カラダの表面にはケアリのような灰銀色がかったテカりがある。
みている間に急に動き出した。目で追うのがやっとの素早さで、間欠的に走り回るその動きは、食器にたかる類いのノミバエを思わせた。
立てばアリンコ、座ればチャタテ、歩く姿はノミバエさん、というハエの名前を調べてみた。
ノミバエの一種 Chonocephalus sp. だった。頭部は扁平で、頭部前縁が触角基部より前方に出ていて、目は触角より小さい、胸部背面に大きめの剛毛を欠く、というあたりが本属の無翅メスの特徴とされる。
以前にも、食品工場の捕虫器に同属のペアが捕獲されているのをみたことがあるが、生きたのをみるのは初めて。
オスはメスをぶら下げて飛んでいるらしい。メスを腹部の上に乗せてたら面白いなと思って想像図を描いたこともがあるが、交尾姿勢から考えて少しムリがありそう。
枯れ草を採集したのはツメダニ科と、ミフシタマキノコムシモドキ狙いだったが失敗だったようだ。今度はもう少し乾き気味の枯れ草を探すか、ワラ束でトラップするかしてみたい。
参考文献:Bohart GE, JL Gressitt. (1951) Filth-inhabiting flies of Guam. Bulletin of the Bernice P. Bishop Museum 204: 1-152.