医療制度改革批判と社会保障と憲法

9条のみならず、25条も危機的な状況にあります。その現状批判を、硬い文章ですが、発信します。

大阪市健康保険組合解散

2007年05月24日 | 公務員攻撃
大阪市健康保険組合解散

 
5月23日の日本経済新聞朝刊第一面に、地方公務員健保の本人負担 12組合「5割未満」 公費での優遇 今年度も継続 という見出しで、地方公務員の健康保険組合の本人負担割合が、5割に達していない12組合をあげ、その負担割合が示されていました。
 その優遇批判の根拠は、地方公務員等共済組合法で、労使折半とされているにもかかわらず、50%を超える公費での優遇が残っているとしています。
 名指しされている公務員健保は、健康保険組合であり、1962年(昭和37年)の共済組合法以前から、健康保険法に基づき設立され、永年にわたって運営されてきています。
 これらの健康保険組合は、1922年(大正11年)成立、1927年(昭和2年)施行の、健康保険法に基づき設立され、80年余の歴史を持っています。法に基づき、労使それぞれから選出された組合会議員による組合会で、事業内容や給付や負担について、決定することになっています。したがって、一定の範囲内で労使の負担割合を決定することは、法的になんら問題はありません。
 そうしたなかでも、現在では政管健保や共済組合が、原則労使折半とされたことから、年次計画的にそれに近づけている経過期間中です。
 そのことを承知していながら、このような記事を一面で大きく取り上げ、優遇批判をすることの意図・企図を看破しておかなければなりません。
 民間企業の健康保険組合も労使折半ではありませんでした。疾病金庫・健保組合を、世界的・歴史的にみれば、1対3とか1対2というように、使用者側の負担が大きく設定されています。
 それが近年、労使折半が原則だと(折半が原則などという根拠はありませんが)喧伝され、急速に負担割合が折半に近づけられています。
 日経がこのような取り上げ方をする背景には、民間企業の健康保険組合の折半化が、完了したということかもしれません。
 現在進行形で、負担割合を折半に近づけている地方公務員の健康保険組合に、「公費での優遇が継続」という批判を浴びせる狙いはどこにあるのか。それは、大阪市の現状を見れば、おのずと明らかになります。
 職員厚遇問題で集中砲火を浴びたことにより、権力側に全面屈服した大阪市では、さまざまな「改革の雛型」「改悪の先取り」が進行し、全国の自治体へのモデルが示されているのです。
 それが、1922年(大正11年)に成立した健康保険法に基づき設立された、日本で最初の健康保険組合のひとつ、80年余の歴史を持つ大阪市健康保険組合の本年9月末解散です。健康保険組合を解散し、大阪市職員共済組合に統合して、健保・年金事業をすることになっています。
 職員厚遇問題攻撃の特徴は、法や条例に基づくもので、公式的には批判しにくい問題を、マスメディアのねたみ心や劣情を刺激するキャンペーンで、世間の常識・市民感覚などという超法規的な基準を持ち出し、理不尽な攻撃を仕掛けてきたということです。
 したがって、地方公務員の健康保険組合には、早急に労使折半を実現せよというだけではなく、さらに、その健康保険組合を解散せよという攻撃がかけられていると、とらえなければなりません。

8 コメント

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こんにちは (memaido)
2007-05-24 02:21:50
はじめまして、楽しく拝見させていただきました。
またちょくちょく拝見させていただきます。
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憲法25条も命の源です (hamham)
2007-05-24 11:04:19
今日は。 大変国民生活にとって大事な記事を読ませていただきまして有難うございます。

安部政権、与党、財界、改憲勢力はは憲法9条を変えて日本を海外で戦争を出来る国にするだけでなく、25条も変えて戦争を出来る財政をつくる気ですね。 実質的な25条の改悪は既に始まっていると見ております。 彼らが企図するものは平和的生存権まで根こそぎ国民から奪うところにあると思います。

本記事を読ませていただきまして、国民は
今生きるか死ぬかの選択を迫られていることを痛切に理解できました。

一人でも多くの周りの人たちにも知っていただき、国民をイタメつける安部政権の実相を浮き彫りにして、悪政勢力を参議院選挙では壊滅させたいと思っております。

私達の先達が営々として作りあげてきた、命を守るための叡智の結晶、社会保険制度、社会保障制度、社会福祉制度は絶対守りたいと思っております。

それが人間の尊厳を実現する道を歩む第一歩だと確信します。


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コメントありがとうございます (harayosi-2)
2007-05-26 13:48:16
 memaidoさん、hamhamさん、コメントありがとうございます。
 久々のエントリーをしたところ、連日多数のご訪問をいただいています。大阪市健康保険組合解散という表題が刺激的であったのかもしれません。
 健康保険組合というのは、職場における「社会保障政府」なんです。そして、「組合自治」が保障されているのです。
 拙ブログの過去エントリーに「社会保障政府」http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/6793232f37fd9af10f3347af0a025c92があります。ぜひ、このページもご一読いただきたいと思います。
 1922年(大正11年)の健康保険法成立の背景には、1917年のロシア社会主義革命があり、その波及をくいとめるための、国際的な労働・社会政策機関としての1919年ILO(国際労働機構)の設置があります。そうした経過の中から、民主的な規定や条項が含まれているのです。
 健康保険組合は「組合自治」により、組合員の範囲を自ら決めることができますし、法定給付を超える付加給付なども行っています。
 すべての組合について承知しているわけではありませんが、地方公務員の健康保険組合では、公務員ではない定数外職員や非常勤職員、アルバイトなども、同じ職場の仲間として、健康保険組合員となっています。
 しかし、共済組合に移行すれば、原則公務員身分がなければ対象外とされます。公務員籍を持たない職員は、政管健保や国保への移行を余儀なくされるのです。
 健康保険組合解散ということは、こうした問題を含んでいるのです。
 
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発言を続けよう (水野雅信)
2007-05-27 23:22:27
 高級官僚も、まじめに働く一般公務員やその人手不足を埋める嘱託やパート、アルバイトまで一緒くたにした役人攻撃の意図をしっかり見なければなりません。かつて国鉄民営化の際は国鉄労働者の「ポカ休やそれをかばう組合」などと攻撃されました。これから地方公務員攻撃がもう一段強められるでしょう。
 それは25条を骨抜きにしている勢力にとって今後憲法改悪を進めるにあたって、それに抵抗すると思われる公務員労働者とその組合を徹底的にのめしたいと言う権力の黒い意図をうかがわせるものです。
 原さんが労働の現場で発言を続けることを願っています。
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護憲+グループ・ごまめのブログさん (harayosi-2)
2007-05-31 09:24:38
護憲+グループ・ごまめのブログさん、TBありがとうございます。
 マスメディの報道内容を、纏めるだけではなく、「もう一捻り」していただければと思っています。
 マスメディの報道、それだけを、いくら正確に集約しても、正しい結論にはならないと思います。
 あなたの考えるところでの、一捻りがなれれば、マスメディアの(結果的には権力の)お先棒を担ぐだけになってしまいます。
 そうした視点で、マスメディの報道に惑わされない、次の記事を書きたいと思っています。
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TBどうもです。 (かぜ)
2007-06-04 19:43:03
久しぶりに伺いました。
やっぱり一人でも多く発言しないととんでもないことになるような気がしてまた復帰することにしました。
またいろいろ勉強さてもらいます。
よろしくお願いします。
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Unknown (ブロウバック)
2007-06-09 21:30:41
公務員待遇は長く民間企業の規範であった。公務員待遇の低下は民間企業の規範低下をもたらし、国民生活のレベルダウンを導く。いまもなお民間企業の経営者は給与決定で公務員給与を参考にする。公務員攻撃は国民生活を破壊するため、官民を分断攻撃するための夷狄の戦略である。敵を誤ってはならない。
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こんにちは (memaido)
2007-06-16 20:48:48
はじめまして、楽しく拝見させていただきました。
またちょくちょく拝見させていただきます。
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