最近のマスメディアの報道傾向で、資本(多国籍資本)の企図が見えた
参議院選挙を前にしての、新聞をはじめとするマスメディアの報道傾向は、民主党に風を送り、与野党逆転を誘導しています。
小泉政権のさまざまな悪政のつけが、痛みとして実感されるところに到り、大衆の怒りが増大しています。さらに、後継の安倍政権の実態は、無茶苦茶とか、お粗末としか、言いようの無いもので、国民の支持を大きく失っています。
こうした状況を踏まえて、資本とりわけ権力を手中にしている多国籍資本は、政権交代やむなしとして、その受け皿としての小沢民主党を用意したといえます。
そして、格差解消など内政部分の一部手直しや、弱者救済などはさせるものの、対外政策については、アメリカと一体となってのグローバリズム・新自由主義的な世界展開は継続させる、という企図が見えたといえます。
現在の日本の状況は、20~10年前のイギリス、サッチャー政権、メイジャー政権、そして労働党のブレア政権という流れと、きわめて状況が似通っていると感じています。
昨年の8月、拙ブログの記事で、そのことを指摘しています。その大部分を再掲しておきます。http://blog.goo.ne.jp/harayosi-2/e/f9f394bf0ee88d8a9eb1db0e54d27748
反新自由主義・反グローバリズムの統一戦線を
民(私)営化、規制緩和、社会保障・社会福祉の縮減などの政策、すなわちプライバタイゼイションを、急進的に進めると、当然のこととして、貧困層・労働者からの反発は増大し、不満が蓄積され、政権交代時期が到来する。そのことを見越して、「資本」=多国籍資本は、政権交代の受け皿である労働党に、ニューレイバー路線をとらせていたのであり、それが、保守党メイジャー政権の後に成立した、労働党ブレア政権である。
そのブレア政権には、新自由主義的政策を推進してきたことによって惹起した、社会的格差や貧困の増大、社会福祉施策の大幅な後退などに対して、貧困層や労働者への配慮・譲歩・救済などの施策をとらせるものの、「資本」=多国籍資本のための、英米協調のグローバリゼイション・新自由主義的政策は踏襲させたのである。
サッチャー、レーガン、中曽根路線と並び称された、1980年代からの、新保守主義的・反動的改革、すなわち、資本主義の先祖がえりのような、反動的で露骨な攻撃、現在の表現でいうところの新自由主義的改革の推進に、マスメディアが大きな役割を果たしてきた。それは、マスメディアを「資本」=多国籍資本の側に取り込み、プロパガンダ機関として動員するというものであった。
小泉政権末期となった現在、マスメディアの論調も変化してきている。「痛みをともなう改革」の、その「痛み」を高齢者・年金生活者をはじめとして、多くの国民が実感する状況になってきている。
小泉政権の5年間を批判的に検証したり、「格差社会」というような特集が組まれたりしている。このことは一種のガス抜きであり、新たな誘導であるといえるのではないか。英国労働党にニューレイバー路線が用意されたと同様に、新自由主義的政策を推進することのできる小沢民主党が用意されている。
福祉国家政策を維持しようとする古い自民党をぶっ壊し、新しい自民党を、そして、政界再編を通じて、新自由主義的改革を競い合うことのできる民主党を、「資本」=多国籍資本はつくりあげてきた。
新自由主義的改革の結果として、貧困の増大や貧富の格差拡大、社会福祉・社会保障制度の後退で、障がい者をはじめとする少数者の生活や生命が脅かされている。さらに、今国会での医療制度改革関連法案の成立など、さらなる負担増や制度改悪・破壊が、すでに法制化されている。
予測される高齢者や貧困層、労働者や勤労国民の不満の増大に対して、「資本」=多国籍資本は備えを済ませ、そのガス抜きや新たな誘導に、マスメディアが動員されることになる。
南米ボリビア、チリの大統領選挙で、21世紀に入り、ブラジル・アルゼンチンで反米左派が圧勝した。敗北したのは「南米の小泉政権」である。
かつて「米国の裏庭」といわれた中南米で、このようにベネズエラをはじめ多くの国で、米国と米国に追従する政権の支配を覆し、左派もしくは中道左派政権が誕生している。こうした中南米の一連の動向から、私たちが学ぶべきことが、多々あるのではないか。
来年の参議院選挙にむけて、反新自由主義、反グローバリズムの、また現下の状況から言い換えれば、憲法擁護のための、平和のための、政治的統一戦線=政治的共同組織作りが、ぜひとも必要な状況だといえる。 そのための努力・模索が続けられている。なんとしても実現させたいものだ。
2006年8月7日
共産党・社民党・9条ネットの統一戦線の構築を
政治的統一戦線=政治的共同組織作りが、この参議院選挙に向けて、その努力が続けられましたが、残念ながら成就されませんでした。
しかし、その努力の過程から、憲法とりわけ9条を護り生かすという共通項で、参議院選挙をたたかう政治組織・9条ネットが結成されました。
参議院選挙で、与野党逆転を実現するにしても、マスメディアの誘導にそっての、小沢民主党を大勝させるのではなく、共産党・社民党・9条ネットの大きな前進が無ければ、展望は切り開けないと考えます。
そして、共産党・社民党・9条ネットの統一戦線の構築を願いながら、憲法を護り生かす政治とするために、それぞれの持ち場で創意工夫を凝らし、共産党・社民党・9条ネットの前進のために、努力しなければならないと思います。
私自身の活動のスタンスは、共産党がんばれ、社民党がんばれ、9条ネットもがんばるということになります。
2007・7・11
年金で責任を取らず、社保庁のせいにする、自民、公明のずるさは最も頭に来ます。社保庁の指導監督責任は自公政権にあり、国民に謝るのが筋。「盗人猛々しい」と言うべき自公政権のような不誠実な政権は国民が許すまい。やがて革新の大きな統一戦線を国民が望むようになるべくまず今度の選挙、それぞれ頑張りましょう。