小泉首相は,2003年9月,自民党総裁選で,持論の郵政民営化を掲げ再選された。その後,10月10日,衆議院を解散。自民党は,11月9日の総選挙で,国会運営を安定的に進めるのに必要な数の議席を獲得した。
ここで時間を8カ月程巻き戻したい。
同じ年の1月,綿貫民輔衆議院議長(当時)と小泉首相との間で,衆議院の解散についてやり取りがあった。ご記憶の方は少ないかも知れない。
このとき,綿貫衆議院議長の「7条解散は,政府が勝手に解散をやることを意味するが,そのようなルールはない。国民主権の現憲法では,行政府が立法府に[解散を]命令するのは考えられない。」との発言に対し,小泉首相は,「これまで慣例でほとんどが7条解散だった。国会で内閣不信任案が可決されたときも69条じゃなく,7条解散だったのではないか。いずれにしても[今]解散する考えはない。」と反論していた(1月21日,同22日付けの読売新聞参照)。
綿貫氏は,現在,議長の地位を離れている。しかし,現在も,お2人の考えは変わっていないものと思われる。
解散権の所在については,憲法に明文の規定は存しない。しかし,争いはあるものの,憲法第7条を根拠に実質的解散権は内閣にあると解するのが多数であろう。
解散権行使の限界論については,7条説は無限定説(非限定説)と親和的,と見るのが条文解釈としては自然だ。
しかし,これについては,解散の民主的契機,国会と内閣の対立(紛争)解決機能などのバイアスがかかり,以下の場合に限定されると説かれることが多いように思う(芦部信喜『憲法』(第3版高橋和之補訂)の306頁参照)。
1 衆議院で内閣の重要案件(法律案,予算案)が否決され,または審議未了に なった場合
2 政界再編成等により内閣の性格が基本的に変わった場合
3 総選挙の争点でなかった新しい重大な政治的課題(立法,条約締結等)に対 処する場合
4 内閣が基本政策を根本的に変更する場合
5 議員の任期満了時期が接近している場合
さて,8日(月)の参議院本会議での郵政民営化法案の採決はどうなるのだろうか。また,その結果を受けて,小泉首相はどのような判断をされるのか。
それにしても,「良識の府」などといわれた参議院の今の惨状はどうだ。
ここで時間を8カ月程巻き戻したい。
同じ年の1月,綿貫民輔衆議院議長(当時)と小泉首相との間で,衆議院の解散についてやり取りがあった。ご記憶の方は少ないかも知れない。
このとき,綿貫衆議院議長の「7条解散は,政府が勝手に解散をやることを意味するが,そのようなルールはない。国民主権の現憲法では,行政府が立法府に[解散を]命令するのは考えられない。」との発言に対し,小泉首相は,「これまで慣例でほとんどが7条解散だった。国会で内閣不信任案が可決されたときも69条じゃなく,7条解散だったのではないか。いずれにしても[今]解散する考えはない。」と反論していた(1月21日,同22日付けの読売新聞参照)。
綿貫氏は,現在,議長の地位を離れている。しかし,現在も,お2人の考えは変わっていないものと思われる。
解散権の所在については,憲法に明文の規定は存しない。しかし,争いはあるものの,憲法第7条を根拠に実質的解散権は内閣にあると解するのが多数であろう。
解散権行使の限界論については,7条説は無限定説(非限定説)と親和的,と見るのが条文解釈としては自然だ。
しかし,これについては,解散の民主的契機,国会と内閣の対立(紛争)解決機能などのバイアスがかかり,以下の場合に限定されると説かれることが多いように思う(芦部信喜『憲法』(第3版高橋和之補訂)の306頁参照)。
1 衆議院で内閣の重要案件(法律案,予算案)が否決され,または審議未了に なった場合
2 政界再編成等により内閣の性格が基本的に変わった場合
3 総選挙の争点でなかった新しい重大な政治的課題(立法,条約締結等)に対 処する場合
4 内閣が基本政策を根本的に変更する場合
5 議員の任期満了時期が接近している場合
さて,8日(月)の参議院本会議での郵政民営化法案の採決はどうなるのだろうか。また,その結果を受けて,小泉首相はどのような判断をされるのか。
それにしても,「良識の府」などといわれた参議院の今の惨状はどうだ。