法律の周辺

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未成年後見人の業務上横領について

2005-12-13 09:19:26 | Weblog
亡母の1400万円,14歳少年の同居祖母らが横領 YOMIURI ONLINE

 一見,手の込んだ解釈のようにも思えるが,さほど無理があるわけでもない。

ただ,心情としては,未成年者・後見人間の委託信任関係から,ストレートに,後見人である祖母の刑責を追及,処罰を求めたいところではある。
本ケースのような場合,期待可能性の有無・程度といったことはともかくとして,単純に「法は家庭に入らず」→刑罰阻却,とすることについてはやり切れなさが残る。後見人に直系血族が就任したのは,未成年者の福祉を考慮したからこそなのだ。刑法255条の同244条の一律の準用,全く問題がないのかどうか・・・。

下手な立法論はさておき,本ケース,家裁への財産管理報告書の提出が頻繁におこなわれていたなら,被害はもっと押さえられていたはず。家裁の後見事務,改善の余地がありそうである。

刑事責任の追及はもちろん必要だが,件の少年にとっては,被害の回復こそ重要。


民法の関連条文

(未成年後見人の選任)
第八百四十条  前条の規定により未成年後見人となるべき者がないときは,家庭裁判所は,未成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって,未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも,同様とする。

刑法の関連条文

(共同正犯)
第六十条  二人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする。

(身分犯の共犯)
第六十五条  犯人の身分によって構成すべき犯罪行為に加功したときは,身分のない者であっても,共犯とする。
2  身分によって特に刑の軽重があるときは,身分のない者には通常の刑を科する。

(親族間の犯罪に関する特例)
第二百四十四条  配偶者,直系血族又は同居の親族との間で第二百三十五条の罪,第二百三十五条の二の罪又はこれらの罪の未遂罪を犯した者は,その刑を免除する。
2  前項に規定する親族以外の親族との間で犯した同項に規定する罪は,告訴がなければ公訴を提起することができない。
3  前二項の規定は,親族でない共犯については,適用しない。

(横領)
第二百五十二条  自己の占有する他人の物を横領した者は,五年以下の懲役に処する。
2  自己の物であっても,公務所から保管を命ぜられた場合において,これを横領した者も,前項と同様とする。

(業務上横領)
第二百五十三条  業務上自己の占有する他人の物を横領した者は,十年以下の懲役に処する。

(遺失物等横領)
第二百五十四条  遺失物,漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は,一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(準用)
第二百五十五条  第二百四十四条の規定は,この章の罪について準用する。

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