法律の周辺

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うっかりしていた検察官と検察事務官について

2007-10-20 19:00:03 | Weblog
松江地検でうっかり起訴,男性検察官に厳重注意処分 YOMIURI ONLINE

 補助金の不正受給については,補助金適正化法第29条第1項に「偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け,又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は,五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。」,同第32条第1項に「法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,前三条の違反行為をしたときは,その行為者を罰するほか,当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。」と規定されている。不正受給者が法人の場合,行為者の法定刑は「五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し,又はこれを併科」,当該法人のそれは「百万円以下の罰金」。なるほど,懲役刑は自由刑。法人には科しようがない。結局,個人の公訴時効は刑訴法250条第5号により5年,法人のそれは同条第6号により3年となる。
さすがに地裁には見落としはなかったようだ。条文にあたったからであろう。思い込みで仕事をしてはいけない。やはり,基本は大切だ。


刑事訴訟法の関連条文

第二百四十七条  公訴は,検察官がこれを行う。

第二百四十八条  犯人の性格,年齢及び境遇,犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは,公訴を提起しないことができる。

第二百五十条  時効は,次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一  死刑に当たる罪については二十五年
二  無期の懲役又は禁錮に当たる罪については十五年
三  長期十五年以上の懲役又は禁錮に当たる罪については十年
四  長期十五年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については七年
五  長期十年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については五年
六  長期五年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については三年
七  拘留又は科料に当たる罪については一年

第二百五十一条  二以上の主刑を併科し,又は二以上の主刑中その一を科すべき罪については,その重い刑に従つて,前条の規定を適用する。

第二百五十二条  刑法 により刑を加重し,又は減軽すべき場合には,加重し,又は減軽しない刑に従つて,第二百五十条の規定を適用する。

第二百五十三条  時効は,犯罪行為が終つた時から進行する。
2  共犯の場合には,最終の行為が終つた時から,すべての共犯に対して時効の期間を起算する。

第二百五十四条  時効は,当該事件についてした公訴の提起によつてその進行を停止し,管轄違又は公訴棄却の裁判が確定した時からその進行を始める。
2  共犯の一人に対してした公訴の提起による時効の停止は,他の共犯に対してその効力を有する。この場合において,停止した時効は,当該事件についてした裁判が確定した時からその進行を始める。

第二百五十六条  公訴の提起は,起訴状を提出してこれをしなければならない。
2  起訴状には,左の事項を記載しなければならない。
一  被告人の氏名その他被告人を特定するに足りる事項
二  公訴事実
三  罪名
3  公訴事実は,訴因を明示してこれを記載しなければならない。訴因を明示するには,できる限り日時,場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定してこれをしなければならない。
4  罪名は,適用すべき罰条を示してこれを記載しなければならない。但し,罰条の記載の誤は,被告人の防禦に実質的な不利益を生ずる虞がない限り,公訴提起の効力に影響を及ぼさない。
5  数個の訴因及び罰条は,予備的に又は択一的にこれを記載することができる。
6  起訴状には,裁判官に事件につき予断を生ぜしめる虞のある書類その他の物を添附し,又はその内容を引用してはならない。

第二百五十七条  公訴は,第一審の判決があるまでこれを取り消すことができる。

「補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律」の関連条文

(この法律の目的)
第一条  この法律は,補助金等の交付の申請,決定等に関する事項その他補助金等に係る予算の執行に関する基本的事項を規定することにより,補助金等の交付の不正な申請及び補助金等の不正な使用の防止その他補助金等に係る予算の執行並びに補助金等の交付の決定の適正化を図ることを目的とする。

第二十九条  偽りその他不正の手段により補助金等の交付を受け,又は間接補助金等の交付若しくは融通を受けた者は,五年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。
2  前項の場合において,情を知つて交付又は融通をした者も,また同項と同様とする。

第三十二条  法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,前三条の違反行為をしたときは,その行為者を罰するほか,当該法人又は人に対し各本条の罰金刑を科する。
2  前項の規定により法人でない団体を処罰する場合においては,その代表者又は管理人が訴訟行為につきその団体を代表するほか,法人を被告人とする場合の刑事訴訟に関する法律の規定を準用する。

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