法律の周辺

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TBSの企業価値評価特別委員会の委員長の発言について

2005-11-13 12:14:46 | Weblog
 コーポレート・ガバナンスは,株主,従業員その他のステイク・ホルダーと経営者とのパワーバランスを図る仕組み。その機能として最も重要なのは,経営者のモラルハザード等を監視し,怠惰な経営者を排除するということである。
というのは,経営者は,「自らの利益」あるいは「会社の利益と自らが考える利益」を擁護するため,様々な買収防衛策を講じようとするが,それらは往々にして,企業価値を低下させ,株主利益を損なうことにつながるからである。

 さて,ライブドアVSニッポン放送以来世間を賑わせている敵対的買収だが,これは本来,「買収者が,買収対象会社の経営者(取締役会)の同意を得ないで買収を仕掛けること」を意味するに過ぎない。つまり,敵対的買収は「企業価値の毀損 云々」からは離れた中立概念。とすれは,その当否は,通常の買収などと同様,それが企業価値を高め,株主利益に寄与するものなのか,という観点から評価・検討されるべきであろう。

 その意味で,諸井氏の「彼ら(TBS)は嫌がっている」は,「公正な第三者機関」であるべき企業価値評価特別委員会の委員長の発言としては,相当に違和感がある。三木谷氏ならずとも,聞く者に「仮に企業価値評価特別委員会の裁定が出された場合でも,正当性に問題ないの?」と思わせるに十分な発言だったような気がする。発言内容から本籍が知れてしまった,と言ったら言い過ぎだろうか。

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