閲読不許可は人権侵害 同性愛雑誌で東弁が警告 - さきがけ on the Web
刑事収容施設法第70条柱書には「刑事施設の長は,被収容者が自弁の書籍等を閲覧することにより次の各号のいずれかに該当する場合には,その閲覧を禁止することができる。」とあり,その第1号に「刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。」とある。記事から推察するに,東京拘置所の閲読不許可の直接の根拠はこの規定のようだ。因みに,第2号には「被収容者が受刑者である場合において,その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。」とある。
図書閲読の自由は,表現の受け手の自由(憲法第21条)に含まれ,優越的な地位が認められている。この制限の憲法適合性については,たとえ刑事施設に収容されている者に対するものであっても,厳格な審査に服さなければならない。この点,ご存じのとおり,最高裁は,相当の具体的蓋然性の基準を採用している(いわゆる「よど号ハイジャック記事黒塗り事件」最判)。
刑事施設内の規律・秩序の維持の必要性は,逃亡・証拠隠滅の防止や矯正教化への支障といった在監目的から考察されるべきもの。露骨な性描写等のある雑誌の閲読を許しただけで,上記在監目的を害するような事態,生ずるとは思えないのだが・・・。
人生いろいろ,人の性向(別字をあてても,意味はそれなりに・・・)もいろいろ。当局がそういったものにまで立ち入るのはいかがなものか。
日本国憲法の関連条文
第十三条 すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は,これを認めない。
3 栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。
第二十一条 集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2 検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。
「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,刑事収容施設(刑事施設,留置施設及び海上保安留置施設をいう。)の適正な管理運営を図るとともに,被収容者,被留置者及び海上保安被留置者の人権を尊重しつつ,これらの者の状況に応じた適切な処遇を行うことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 被収容者 刑事施設に収容されている者をいう。
二 被留置者 留置施設に留置されている者をいう。
三 海上保安被留置者 海上保安留置施設に留置されている者をいう。
四 受刑者 懲役受刑者,禁錮受刑者又は拘留受刑者をいう。
五 懲役受刑者 懲役の刑(国際受刑者移送法 (平成十四年法律第六十六号)第十六条第一項第一号 の共助刑を含む。以下同じ。)の執行のため拘置されている者をいう。
六 禁錮受刑者 禁錮の刑(国際受刑者移送法第十六条第一項第二号 の共助刑を含む。以下同じ。)の執行のため拘置されている者をいう。
七 拘留受刑者 拘留の刑の執行のため拘置されている者をいう。
八 未決拘禁者 被逮捕者,被勾留者その他未決の者として拘禁されている者をいう。
九 被逮捕者 刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により逮捕されて留置されている者をいう。
十 被勾留者 刑事訴訟法 の規定により勾留されている者をいう。
十一 死刑確定者 死刑の言渡しを受けて拘置されている者をいう。
十二 各種被収容者 被収容者であって,受刑者,未決拘禁者及び死刑確定者以外のものをいう。
(刑事施設)
第三条 刑事施設は,次に掲げる者を収容し,これらの者に対し必要な処遇を行う施設とする。
一 懲役,禁錮又は拘留の刑の執行のため拘置される者
二 刑事訴訟法 の規定により,逮捕された者であって,留置されるもの
三 刑事訴訟法 の規定により勾留される者
四 死刑の言渡しを受けて拘置される者
五 前各号に掲げる者のほか,法令の規定により刑事施設に収容すべきこととされる者及び収容することができることとされる者
(受刑者の処遇の原則)
第三十条 受刑者の処遇は,その者の資質及び環境に応じ,その自覚に訴え,改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする。
(未決拘禁者の処遇の原則)
第三十一条 未決拘禁者の処遇に当たっては,未決の者としての地位を考慮し,その逃走及び罪証の隠滅の防止並びにその防御権の尊重に特に留意しなければならない。
(自弁の書籍等の閲覧)
第六十九条 被収容者が自弁の書籍等を閲覧することは,この節及び第十二節の規定による場合のほか,これを禁止し,又は制限してはならない。
第七十条 刑事施設の長は,被収容者が自弁の書籍等を閲覧することにより次の各号のいずれかに該当する場合には,その閲覧を禁止することができる。
一 刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
二 被収容者が受刑者である場合において,その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
三 被収容者が未決拘禁者である場合において,罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあるとき。
2 前項の規定により閲覧を禁止すべき事由の有無を確認するため自弁の書籍等の翻訳が必要であるときは,法務省令で定めるところにより,被収容者にその費用を負担させることができる。この場合において,被収容者が負担すべき費用を負担しないときは,その閲覧を禁止する。
(新聞紙に関する制限)
第七十一条 刑事施設の長は,法務省令で定めるところにより,被収容者が取得することができる新聞紙の範囲及び取得方法について,刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
(時事の報道に接する機会の付与等)
第七十二条 刑事施設の長は,被収容者に対し,日刊新聞紙の備付け,報道番組の放送その他の方法により,できる限り,主要な時事の報道に接する機会を与えるように努めなければならない。
2 刑事施設の長は,第三十九条第二項の規定による援助の措置として,刑事施設に書籍等を備え付けるものとする。この場合において,備え付けた書籍等の閲覧の方法は,刑事施設の長が定める。
(刑事施設の規律及び秩序)
第七十三条 刑事施設の規律及び秩序は,適正に維持されなければならない。
2 前項の目的を達成するため執る措置は,被収容者の収容を確保し,並びにその処遇のための適切な環境及びその安全かつ平穏な共同生活を維持するため必要な限度を超えてはならない。
(遵守事項等)
第七十四条 刑事施設の長は,被収容者が遵守すべき事項(以下この章において「遵守事項」という。)を定める。
2 遵守事項は,被収容者としての地位に応じ,次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。
一 犯罪行為をしてはならないこと。
二 他人に対し,粗野若しくは乱暴な言動をし,又は迷惑を及ぼす行為をしてはならないこと。
三 自身を傷つける行為をしてはならないこと。
四 刑事施設の職員の職務の執行を妨げる行為をしてはならないこと。
五 自己又は他の被収容者の収容の確保を妨げるおそれのある行為をしてはならないこと。
六 刑事施設の安全を害するおそれのある行為をしてはならないこと。
七 刑事施設内の衛生又は風紀を害する行為をしてはならないこと。
八 金品について,不正な使用,所持,授受その他の行為をしてはならないこと。
九 正当な理由なく,第九十二条若しくは第九十三条に規定する作業を怠り,又は第八十五条第一項各号,第百三条若しくは第百四条に規定する指導を拒んではならないこと。
十 前各号に掲げるもののほか,刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要な事項
十一 前各号に掲げる事項について定めた遵守事項又は第九十六条第四項(第百六条第二項において準用する場合を含む。)に規定する特別遵守事項に違反する行為を企て,あおり,唆し,又は援助してはならないこと。
3 前二項のほか,刑事施設の長又はその指定する職員は,刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には,被収容者に対し,その生活及び行動について指示することができる。
刑事収容施設法第70条柱書には「刑事施設の長は,被収容者が自弁の書籍等を閲覧することにより次の各号のいずれかに該当する場合には,その閲覧を禁止することができる。」とあり,その第1号に「刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。」とある。記事から推察するに,東京拘置所の閲読不許可の直接の根拠はこの規定のようだ。因みに,第2号には「被収容者が受刑者である場合において,その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。」とある。
図書閲読の自由は,表現の受け手の自由(憲法第21条)に含まれ,優越的な地位が認められている。この制限の憲法適合性については,たとえ刑事施設に収容されている者に対するものであっても,厳格な審査に服さなければならない。この点,ご存じのとおり,最高裁は,相当の具体的蓋然性の基準を採用している(いわゆる「よど号ハイジャック記事黒塗り事件」最判)。
刑事施設内の規律・秩序の維持の必要性は,逃亡・証拠隠滅の防止や矯正教化への支障といった在監目的から考察されるべきもの。露骨な性描写等のある雑誌の閲読を許しただけで,上記在監目的を害するような事態,生ずるとは思えないのだが・・・。
人生いろいろ,人の性向(別字をあてても,意味はそれなりに・・・)もいろいろ。当局がそういったものにまで立ち入るのはいかがなものか。
日本国憲法の関連条文
第十三条 すべて国民は,個人として尊重される。生命,自由及び幸福追求に対する国民の権利については,公共の福祉に反しない限り,立法その他の国政の上で,最大の尊重を必要とする。
第十四条 すべて国民は,法の下に平等であつて,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。
2 華族その他の貴族の制度は,これを認めない。
3 栄誉,勲章その他の栄典の授与は,いかなる特権も伴はない。栄典の授与は,現にこれを有し,又は将来これを受ける者の一代に限り,その効力を有する。
第二十一条 集会,結社及び言論,出版その他一切の表現の自由は,これを保障する。
2 検閲は,これをしてはならない。通信の秘密は,これを侵してはならない。
「刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律」の関連条文
(目的)
第一条 この法律は,刑事収容施設(刑事施設,留置施設及び海上保安留置施設をいう。)の適正な管理運営を図るとともに,被収容者,被留置者及び海上保安被留置者の人権を尊重しつつ,これらの者の状況に応じた適切な処遇を行うことを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において,次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 被収容者 刑事施設に収容されている者をいう。
二 被留置者 留置施設に留置されている者をいう。
三 海上保安被留置者 海上保安留置施設に留置されている者をいう。
四 受刑者 懲役受刑者,禁錮受刑者又は拘留受刑者をいう。
五 懲役受刑者 懲役の刑(国際受刑者移送法 (平成十四年法律第六十六号)第十六条第一項第一号 の共助刑を含む。以下同じ。)の執行のため拘置されている者をいう。
六 禁錮受刑者 禁錮の刑(国際受刑者移送法第十六条第一項第二号 の共助刑を含む。以下同じ。)の執行のため拘置されている者をいう。
七 拘留受刑者 拘留の刑の執行のため拘置されている者をいう。
八 未決拘禁者 被逮捕者,被勾留者その他未決の者として拘禁されている者をいう。
九 被逮捕者 刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号)の規定により逮捕されて留置されている者をいう。
十 被勾留者 刑事訴訟法 の規定により勾留されている者をいう。
十一 死刑確定者 死刑の言渡しを受けて拘置されている者をいう。
十二 各種被収容者 被収容者であって,受刑者,未決拘禁者及び死刑確定者以外のものをいう。
(刑事施設)
第三条 刑事施設は,次に掲げる者を収容し,これらの者に対し必要な処遇を行う施設とする。
一 懲役,禁錮又は拘留の刑の執行のため拘置される者
二 刑事訴訟法 の規定により,逮捕された者であって,留置されるもの
三 刑事訴訟法 の規定により勾留される者
四 死刑の言渡しを受けて拘置される者
五 前各号に掲げる者のほか,法令の規定により刑事施設に収容すべきこととされる者及び収容することができることとされる者
(受刑者の処遇の原則)
第三十条 受刑者の処遇は,その者の資質及び環境に応じ,その自覚に訴え,改善更生の意欲の喚起及び社会生活に適応する能力の育成を図ることを旨として行うものとする。
(未決拘禁者の処遇の原則)
第三十一条 未決拘禁者の処遇に当たっては,未決の者としての地位を考慮し,その逃走及び罪証の隠滅の防止並びにその防御権の尊重に特に留意しなければならない。
(自弁の書籍等の閲覧)
第六十九条 被収容者が自弁の書籍等を閲覧することは,この節及び第十二節の規定による場合のほか,これを禁止し,又は制限してはならない。
第七十条 刑事施設の長は,被収容者が自弁の書籍等を閲覧することにより次の各号のいずれかに該当する場合には,その閲覧を禁止することができる。
一 刑事施設の規律及び秩序を害する結果を生ずるおそれがあるとき。
二 被収容者が受刑者である場合において,その矯正処遇の適切な実施に支障を生ずるおそれがあるとき。
三 被収容者が未決拘禁者である場合において,罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがあるとき。
2 前項の規定により閲覧を禁止すべき事由の有無を確認するため自弁の書籍等の翻訳が必要であるときは,法務省令で定めるところにより,被収容者にその費用を負担させることができる。この場合において,被収容者が負担すべき費用を負担しないときは,その閲覧を禁止する。
(新聞紙に関する制限)
第七十一条 刑事施設の長は,法務省令で定めるところにより,被収容者が取得することができる新聞紙の範囲及び取得方法について,刑事施設の管理運営上必要な制限をすることができる。
(時事の報道に接する機会の付与等)
第七十二条 刑事施設の長は,被収容者に対し,日刊新聞紙の備付け,報道番組の放送その他の方法により,できる限り,主要な時事の報道に接する機会を与えるように努めなければならない。
2 刑事施設の長は,第三十九条第二項の規定による援助の措置として,刑事施設に書籍等を備え付けるものとする。この場合において,備え付けた書籍等の閲覧の方法は,刑事施設の長が定める。
(刑事施設の規律及び秩序)
第七十三条 刑事施設の規律及び秩序は,適正に維持されなければならない。
2 前項の目的を達成するため執る措置は,被収容者の収容を確保し,並びにその処遇のための適切な環境及びその安全かつ平穏な共同生活を維持するため必要な限度を超えてはならない。
(遵守事項等)
第七十四条 刑事施設の長は,被収容者が遵守すべき事項(以下この章において「遵守事項」という。)を定める。
2 遵守事項は,被収容者としての地位に応じ,次に掲げる事項を具体的に定めるものとする。
一 犯罪行為をしてはならないこと。
二 他人に対し,粗野若しくは乱暴な言動をし,又は迷惑を及ぼす行為をしてはならないこと。
三 自身を傷つける行為をしてはならないこと。
四 刑事施設の職員の職務の執行を妨げる行為をしてはならないこと。
五 自己又は他の被収容者の収容の確保を妨げるおそれのある行為をしてはならないこと。
六 刑事施設の安全を害するおそれのある行為をしてはならないこと。
七 刑事施設内の衛生又は風紀を害する行為をしてはならないこと。
八 金品について,不正な使用,所持,授受その他の行為をしてはならないこと。
九 正当な理由なく,第九十二条若しくは第九十三条に規定する作業を怠り,又は第八十五条第一項各号,第百三条若しくは第百四条に規定する指導を拒んではならないこと。
十 前各号に掲げるもののほか,刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要な事項
十一 前各号に掲げる事項について定めた遵守事項又は第九十六条第四項(第百六条第二項において準用する場合を含む。)に規定する特別遵守事項に違反する行為を企て,あおり,唆し,又は援助してはならないこと。
3 前二項のほか,刑事施設の長又はその指定する職員は,刑事施設の規律及び秩序を維持するため必要がある場合には,被収容者に対し,その生活及び行動について指示することができる。