法律の周辺

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刑事事件に係る優等懸賞広告について

2007-07-28 20:41:00 | Weblog
警察庁 「捜査特別報奨金に関する公告(平成19年7月27日官報掲載)」

 掲記のページの最後に「なお,情報提供に当たっては,以下の点に御留意ください。」とあり,その中に「本制度は,民法第529条及び第532条に規定する優等懸賞広告として実施するものです。」とある。
優等懸賞広告は応募者の中から相対的優等者に対し報酬を与えようとするもの。通常,「優等者なし」の判定はできないが,学術論文等のように客観的水準の充足が求められる場合はそのような判定も可能とされている。
件のページの「支払の要件」にも,「1の行為(管理人註:「対象事件に関する被疑者の検挙又は事件の解決に結び付く情報をそれぞれの事件ごとに定める情報の受付部署に提供すること。」のこと)をした者の中で,被疑者の検挙又は事件の解決への寄与の度合が大きいと警察庁刑事局長が認める者に対して,事件ごとに定める上限額の範囲内で,警察庁刑事局長が当該寄与の度合に応じて相当と認める金額を支払う。ただし,対象者が複数ある場合には,それぞれの寄与の度合に応じて,当該上限額の範囲内で分割して支払う。」とある。
提供者多数でも「対象者なし」,あり得るのだろう。確かに,事件の解決に寄与しない情報に公的なお金を支払うわけにはいかない。


民法の関連条文

(懸賞広告)
第五百二十九条  ある行為をした者に一定の報酬を与える旨を広告した者(以下この款において「懸賞広告者」という。)は,その行為をした者に対してその報酬を与える義務を負う。

(懸賞広告の撤回)
第五百三十条  前条の場合において,懸賞広告者は,その指定した行為を完了する者がない間は,前の広告と同一の方法によってその広告を撤回することができる。ただし,その広告中に撤回をしない旨を表示したときは,この限りでない。
2  前項本文に規定する方法によって撤回をすることができない場合には,他の方法によって撤回をすることができる。この場合において,その撤回は,これを知った者に対してのみ,その効力を有する。
3  懸賞広告者がその指定した行為をする期間を定めたときは,その撤回をする権利を放棄したものと推定する。

(懸賞広告の報酬を受ける権利)
第五百三十一条  広告に定めた行為をした者が数人あるときは,最初にその行為をした者のみが報酬を受ける権利を有する。
2  数人が同時に前項の行為をした場合には,各自が等しい割合で報酬を受ける権利を有する。ただし,報酬がその性質上分割に適しないとき,又は広告において一人のみがこれを受けるものとしたときは,抽選でこれを受ける者を定める。
3  前二項の規定は,広告中にこれと異なる意思を表示したときは,適用しない。

(優等懸賞広告)
第五百三十二条  広告に定めた行為をした者が数人ある場合において,その優等者のみに報酬を与えるべきときは,その広告は,応募の期間を定めたときに限り,その効力を有する。
2  前項の場合において,応募者中いずれの者の行為が優等であるかは,広告中に定めた者が判定し,広告中に判定をする者を定めなかったときは懸賞広告者が判定する。
3  応募者は,前項の判定に対して異議を述べることができない。
4  前条第二項の規定は,数人の行為が同等と判定された場合について準用する。

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