法律の周辺

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特例有限会社の会社情報の開示について

2005-12-14 19:48:24 | Weblog
 『旬刊金融法務事情』に,会社法に係る2つの特集が掲載されている。1つは,「金融機関役員のための新会社法必携」。もう1つは「<座談会>新会社法が与える金融実務への影響」。後者の座談会には立法担当者である相澤氏も加わっておられる。機会があれば感想等を書きたいと思うが,今日は同誌の「支店の視点」というコラムについて少し。

No1756の当該コラムのタイトルは「会社法と定款変更」。会社法では機関設計の自由度が高まるということに触れ,「具体的には,組織形態,代表者,会社内部の意思決定手続等について,商業登記簿謄本だけでなく定款や社内規定,あるいは代表者からのヒアリング等により確認することが重要になる。」と述べる。この辺りは結構なのだが,最後の2つのパラグラフがいただけない。

 どういうことかというと,このコラム,概略,a 特例有限会社の中には,会社法が施行されても,あいも変わらず「社員総会」を開催し,「社員総会議事録」を作成する会社が相当数現れると予想される → b 自分の会社の定款さえ理解していないようでは,経営者として失格 → c 我々金融機関が,取引先の定款に関心をもって,問題点を問い質してみよう,で締めくくられる。まぁ,何とも,ちまちました話しで,読んでいる方がちょっと気恥ずかしくなるような内容。書きぶりも,居丈高,というか,尊大というか・・・。少なくとも,本号のコラムの内容,誌価を一人で下げているという感がないではない。

詰まらない難癖を付けられないよう,会社情報の開示には万全を期したいもの。


会社法の関連条文

(定款の備置き及び閲覧等)
第三十一条 発起人(株式会社の成立後にあっては,当該株式会社)は,定款を発起人が定めた場所(株式会社の成立後にあっては,その本店及び支店)に備え置かなければならない。
2 発起人(株式会社の成立後にあっては,その株主及び債権者)は,発起人が定めた時間(株式会社の成立後にあっては,その営業時間)内は,いつでも,次に掲げる請求をすることができる。ただし,第二号又は第四号に掲げる請求をするには,発起人(株式会社の成立後にあっては,当該株式会社)の定めた費用を支払わなければならない。
一 定款が書面をもって作成されているときは,当該書面の閲覧の請求
二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
三 定款が電磁的記録をもって作成されているときは,当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって発起人(株式会社の成立後にあっては,当該株式会社)の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
3 株式会社の成立後において,当該株式会社の親会社社員(親会社の株主その他の社員をいう。以下同じ。)がその権利を行使するため必要があるときは,当該親会社社員は,裁判所の許可を得て,当該株式会社の定款について前項各号に掲げる請求をすることができる。ただし,同項第二号又は第四号に掲げる請求をするには,当該株式会社の定めた費用を支払わなければならない。
4 定款が電磁的記録をもって作成されている場合であって,支店における第二項第三号及び第四号に掲げる請求に応じることを可能とするための措置として法務省令で定めるものをとっている株式会社についての第一項の規定の適用については,同項中「本店及び支店」とあるのは,「本店」とする。

「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の関連条文

第二条 前条第三号の規定による廃止前の有限会社法(以下「旧有限会社法」という。)の規定による有限会社であってこの法律の施行の際現に存するもの(以下「旧有限会社」という。)は,この法律の施行の日(以下「施行日」という。)以後は,この節の定めるところにより,会社法(平成十七年法律第八十六号)の規定による株式会社として存続するものとする。
2 前項の場合においては,旧有限会社の定款,社員,持分及び出資一口を,それぞれ同項の規定により存続する株式会社の定款,株主,株式及び一株とみなす。
3 第一項の規定により存続する株式会社の施行日における発行可能株式総数及び発行済株式の総数は,同項の旧有限会社の資本の総額を当該旧有限会社の出資一口の金額で除して得た数とする。

(定款の記載等に関する経過措置)
第五条 旧有限会社の定款における旧有限会社法第六条第一項第一号,第二号及び第七号に掲げる事項の記載又は記録はそれぞれ第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款における会社法第二十七条第一号から第三号までに掲げる事項の記載又は記録とみなし,旧有限会社の定款における旧有限会社法第六条第一項第三号から第六号までに掲げる事項の記載又は記録は第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款に記載又は記録がないものとみなす。
2 旧有限会社における旧有限会社法第八十八条第三項第一号又は第二号に掲げる定款の定めは,第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款における会社法第九百三十九条第一項の規定による公告方法の定めとみなす。
3 旧有限会社における旧有限会社法第八十八条第三項第三号に掲げる定款の定めは,第二条第一項の規定により存続する株式会社の定款における会社法第九百三十九条第三項後段の規定による定めとみなす。
4 前二項の規定にかかわらず,この法律の施行の際現に旧有限会社が旧有限会社法第八十八条第一項に規定する公告について異なる二以上の方法の定款の定めを設けている場合には,施行日に,当該定款の定めはその効力を失う。
5 会社法第二十七条第四号及び第五号の規定は,第二条第一項の規定により存続する株式会社には,適用しない。

(定款の備置き及び閲覧等に関する特則)
第六条 第二条第一項の規定により存続する株式会社は,会社法第三十一条第二項各号に掲げる請求に応じる場合には,当該請求をした者に対し,定款に記載又は記録がないものであっても,この節の規定により定款に定めがあるものとみなされる事項を示さなければならない。

(持分に関する定款の定めに関する経過措置)
第十条 この法律の施行の際旧有限会社の定款に現に次の各号に掲げる規定に規定する別段の定めがある場合における当該定めに係る持分は,第二条第一項の規定により存続する株式会社における当該各号に定める規定に掲げる事項についての定めがある種類の株式とみなす。
一 旧有限会社法第三十九条第一項ただし書 会社法第百八条第一項第三号
二 旧有限会社法第四十四条 会社法第百八条第一項第一号
三 旧有限会社法第七十三条 会社法第百八条第一項第二号

(登記に関する経過措置)
第四十二条 旧有限会社法の規定による旧有限会社の資本の総額の登記は,会社法の規定による特例有限会社の資本金の額の登記とみなす。
2 前項に規定するもののほか,旧有限会社法の規定による旧有限会社の登記は,会社法の相当規定(次条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)による特例有限会社の登記とみなす。
3 特例有限会社については,施行日に,その本店の所在地において,会社法第九百十一条第三項第六号及び第九号に掲げる事項として,第二条第三項の規定による発行可能株式総数及び発行済株式の総数が登記されたものとみなす。
4 特例有限会社については,施行日に,その本店の所在地において,会社法第九百十一条第三項第七号に掲げる事項として,第九条第一項の規定によりあるものとみなされた定款の定めが登記されたものとみなす。
5 旧有限会社が旧有限会社法第八十八条第三項第一号又は第二号に掲げる定款の定めの登記をしている場合には,施行日に,特例有限会社について,その本店の所在地において,会社法第九百十一条第三項第二十八号及び第二十九号イに掲げる事項として,第五条第二項の規定によりみなされた公告方法の定めが登記されたものとみなす。
6 旧有限会社が旧有限会社法第八十八条第三項第三号に掲げる定款の定めの登記をしている場合には,施行日に,特例有限会社について,その本店の所在地において,会社法第九百十一条第三項第二十九号ロに掲げる事項として,第五条第三項の規定によりみなされた同法第九百三十九条第三項後段の規定による定めが登記されたものとみなす。
7 旧有限会社が旧有限会社法第八十八条第三項第一号若しくは第二号に掲げる定款の定めの登記をしていない場合又は第五条第四項の規定に該当する場合には,施行日に,特例有限会社について,その本店の所在地において,会社法第九百十一条第三項第三十号に掲げる事項が登記されたものとみなす。
8 特例有限会社は,第十条の規定によりみなされた種類の株式がある場合には,施行日から六箇月以内に,会社法第九百十一条第三項第七号及び第九号に掲げる事項の登記をしなければならない。
9 特例有限会社は,前項の登記をするまでに他の登記をするときは,当該他の登記と同時に,同項の登記をしなければならない。
10 第八項の登記をするまでに同項に規定する事項に変更を生じたときは,遅滞なく,当該変更に係る登記と同時に,変更前の事項の登記をしなければならない。
11 特例有限会社の取締役又は清算人は,前三項の規定に違反した場合には,百万円以下の過料に処する。

(旧有限会社法の規定の読替え等)
第四十四条 この節の規定によりなお従前の例によることとされる場合においては,旧有限会社法中「社員」とあるのは「株主」と,「社員総会」とあるのは「株主総会」と,「社員名簿」とあるのは「株主名簿」とするほか,必要な技術的読替えは,法務省令で定める。

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