線翔庵日記



おまつり、民謡、三絃、名水、温泉、酒、そして音楽のこと…日々感じたことを綴ります。

馬頭琴奏者・岡林立哉さんライブ

2013年07月15日 22時41分18秒 | 音楽
馬頭琴奏者・岡林立哉さんのライブが、松本市内のコーヒーの名店・豆工房であった。

岡林さんは、以前NHKラジオで出演されていたのを聴いた。伝統的な馬頭琴演奏、モンゴルの伝統的な歌唱ホーミーを奏するミュージシャンだ。早速、公式サイトから、アルバムを購入した。

今日は、松本にお越しになるとお聞きし、喜び勇んで豆工房をお訪ねした。


中に入ると、間近に岡林さんがおられ、あいさつさせていただいた。

2:30p.m.からの開演。馬頭琴の生の演奏を、本当に間近に見ることができた。弦を押さえる指の位置が関節であること、親指から小指まで5本の指をすべて使っていること、日本民謡にも通じるかのような小節的な装飾が、何とも心地いいこと、CDでは聞き取れなかったデュナーミクの幅の広さ、歌が入ると控えめにする弦の音、馬の嘶きのような弦と弓の擦れ合う音…。ライブならではの「発見」があった。

また、ホーミーの生音。一体どうやって音を出すのだ?といったこの喉歌は、まさに身体が楽器!という感じだ。歌唱はチベットの僧侶の読経のような超低音を支えとし、口笛のような鳥のような倍音列がウィ~ンとした音として認識され、聞こえてくる。また浪曲のような「だみ声」的な歌い方もモンゴルの伝統。まさか、浪花節の原型か(笑)?

原型といえば、モンゴル民謡のオルティンドーと呼ばれる長く声を引くタイプの曲と、日本の追分節が似ていることから、日本民謡とモンゴル民謡との関係が論じられてきた(音階論の歴史的な変遷を考えなければならないのだそうだが…)。

しかし、今日しみじみ聴いてみると、モンゴルの音楽から醸し出される音階と旋律の装飾法が日本人には共感できる部分だと思う。

また、今日は岡林さんのお話を間近で聴くことができたのもよかった。モンゴルで現地の方々の民謡や踊りを目の当たりにした話、モンゴルでの活動の話…。また、ご自身が星を見るのが大好き…という話、司馬遼太郎の「街道をゆく」の話等々、岡林さんのお人柄に触れ、何ともさわやかな気分にさせられた。

そしてプログラムの終盤で、宮沢賢治の自作曲「星めぐりの歌」を演奏された。もちろんモンゴルの曲ではないものの、馬頭琴の静かな音の上に、低い音から一気に跳躍する「赤い目玉のさそり…」の歌の旋律が聞こえたときは、暗がりの中で見上げる夜空を、勝手に想像してしまった。


お話と馬頭琴、ホーミーだけの2時間。しかし、2時間とは思えない時間の流れ。とても気持ちのいいライブであった。

お別れにサインをいただいた。

以前、CDを手にした時にいただいたサインの横に「モンゴルの草原でも、いつか!」と書いていただいた。

やはりモンゴルの草原で聴きたい音楽かもしれない。


 
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2 コメント

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Unknown (AYU)
2013-07-16 22:04:21
去年私の地域にも来て頂いて、私と夫と上の子は聴きに行きました!
馬頭琴は物語の中でしか知らなかったので、とても興味がありました。
もっと小さいものかと思ってましたけど、意外と大きくてびっくりしましたね。
技法など三味線や胡弓とも通じるものがあり、面白かったです。
ホーミーは、ずいぶん昔舞台でも聴いたことがあります。
最初は、高音か低音のどちらかしか耳に入ってこなかったのですが、
しばらく聴いている内に両方聞こえるようになりました。
楽器同士の共鳴音にも似てますよね。

モンゴルでの写真などスライドショーで見ましたが、とにかくスケールが大きいですね。
いつか行ってみたいです。
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モンゴル三昧! (庵主)
2013-07-16 22:32:44
AYUさま>
そうですか!やはりライブはいいですよね。馬頭琴というと「スーホの白い馬」のイメージがありますね!

おっしゃるように大きい楽器でした。やはり「草原のチェロ」と言われるだけのことはありますね。

技法は…三味線と随分ちがうなというのが第一印象。弦を上から押さえず、第一関節を弦のサイドから押さえていてビックリでした。

モンゴルへ行ってみたいですね。岡林さんが連れて行ってくださる企画があるそうですよ~!
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