上田市も東部の岩下地区は古い歴史を感じさせる場所。上田市民なのにあまり訪ねたこともなかったが、ふと散策してみた。岩下は千曲川沿いで、神川下流。今でも旧北国街道の道路はかなりせまい。しかし、何ともいい雰囲気を醸し出している。
まず、岩下公民館の駐車場に停めさせてもらう。その裏手には伊波保神社がある。「伊波保」は「いはほ」⇒「いわお」。案内板によれば、岩下地区東端、岩穂にあったものを水害のために当地に遷したのだそうだ。
裏手には双体道祖神像があった。
んん!?これ見覚えがある!高校卒業後、上田市内を原チャリで走り回ったとき、ここに寄った記憶が蘇ってきた。何年前だろう。
さて、街道沿いに歩いてみる。
格子戸を残すお宅が残っている。
ちょっと北側に入ると、天神宮(天満宮)がある。ここへは来たことがある。当地ではかなりの巨木である天神宮の大ケヤキがあるのだ。
これは岩のようなごつごつとした幹と根元。落雷があったとみえて、若干の空洞があるが、かなり逞しい大ケヤキだ。
街道沿いを歩くと「明治天皇岩下御小休所跡」の碑が目に入る。
明治11年、北陸東海両道御巡幸にお出になられた明治天皇。当地の尾崎惣作邸で御小休されたのだという。こんな歴史があったことすら知らなかった。
さて、ここから千曲川の方へ下ってみる。「観音様」の表示を進んでみると、福聚山無量庵という小さなお堂があった。
こんな場所に観音様が安置されていたのだ。岩下の人々の信仰を集めたのだろう。
さらに千曲川の方へ下ってみる。すると「岩下清水」の表示があった。畑の間の道沿いの石垣の下の方から水が湧いている。
かつては生活用水として、飲み水、洗い物に使われていたそうだ。また、案内板をよく見ると「20m先にもある」と書かれている。さらに畑の脇の道を行く。
ここだ!二つに分かれた水槽のある水場だ。
水はかなり冷たく感じた。上田市にもこんな水場があったのだな…。
さて街道に戻る。
格子戸の家屋、青々とした松が印象的な姿を見せてくれる通りだ。まだまだ岩下を歩いてみると、古い歴史を感じさせる史跡がありそうだ。
岩下と言えば、上田八景にも挙げられた「太鼓岩」がある。
岩ではあるが、島のようでもある?実は対岸の小牧山が火山活動が盛んであったころの噴出物であったそうだ。この岩に千曲川の水がドーンと当たる音が太鼓のようだということで太鼓岩と名付けられたという。右側に柱のようなものが見えるが、古い写真を見るとここに吊り橋があったのだ。それも昭和5年頃だそうだ。やはり上田八景だけに、かつては遊び場であったようだ。
さらによく見ると、支柱には何かが引っ掛かっているように見える。おそらく2019年10月の台風水害の後なのかな。
夏のひととき、岩下地区をひっそりと散策してみたが、案外楽しかった。